平子編
9.
優しいキスは段々と求めるキスになり、激しさを増した。
平子の舌が真の口に入り込み、舌ピアスがあたった。真の歯をなぞるように舐めては、舌ピアスから音がした。
「はっ……平子……隊長……」
真の苦しそうな声に、平子は名残惜しそうに唇を吸ってから離れた。
「……ん、すまん。苦しかったか?」
顔を覗き込むと、真は顔を真っ赤にして俯き、口を押さえながら首を振った。
「……ずっと……ここでは…」
真の言葉に、思わず平子も赤面した。
平子は真の手を引き、寝室に誘うと、ベッドに座らせた。
「……ええんか?無理してんなら…」
「無理していません」
真は平子の首に手を回すと、引っ張って一緒に横になった。平子は真に被さり、真を見下ろした。
「……意外やな」
「好きな人としたいのは、変ですか?」
「ん、いや、変やないな。俺もしたいもん」
平子は再び真に唇を落とすと、真の腰紐に手をかけた。
お互いに一糸まとわぬ姿になると、平子は真の首に手を回し、体を密着させた。
「……聞こえるか?心臓の音…」
肌を通して、平子の心臓の鼓動が聞こえてきた。ドクンドクン、と激しく打っているのが伝わる。
「はい……」
「お前が、俺をどんなふうに見とるか知らへんけど……割といっぱいいっぱい……」
平子は真の肩に顔を埋めた。
「ごめんな、お前、初めてやろうに……優しくしたれる自信ないわ……」
真は平子の背中に手を回した。
「大丈夫」
その後は、激しく求められた。
敏感な場所を探すように、全身に愛撫され、微かな反応も見逃す事なく、攻められた。
寝ているだけなのに、全身に刺激が行き渡り、呼吸が乱れ、汗が滲んだ。痛くも、悲しくもないのに、涙が滲んだ。
平子のキスは激薬だった。
激しいキスに頭が朦朧とし、平子に奉仕する事は叶わず、一方的に愛された。
最後は体が仰け反り、声を耐えることはできずに、叫んだ。
平子の苦しそうな顔だけが、目についた。
事が終わると、真は知らないうちに眠っていた。
平子は、キッチンから持ってきた水を机に置くと、ベッドの端に腰を掛けて、タバコを吸った。
真の寝顔を見ていると、自然と笑みがこぼれた。幸せだと、思った。
「ケホッ」
一つ咳払いをして、真がモゾモゾ動き、目をあけた。
「ンあ、すまん。煙たかったか?」
平子はタバコを灰皿に押し付け、火を消すと、水を飲んで口の中を洗った。
「いえ…起きただけ。……タバコ、吸うんですね。知らなかった」
まだ眠そうな目で、真は灰皿を見つめた。
平子は真の横に行き、うつ伏せで平子を見上げる真の隣に座った。
「若い時にな、キセルに憧れてん。こう、手付きがかっこええやろ」
平子は手をあげて、キセルを持つ仕草をした。平子の細く靭やかな指に、その姿はよく似合った。
「ええ、たしかに、カッコいいですね」
真が微笑むと、平子も嬉しそうに笑った。だが、すぐに、遠い目になった。
「……知らんうちに、回数が増えて、現世に行って、そらもうアホみたいに吸ったわ……」
「……辛かったですか?」
真の哀れみの目が、平子に届いた。
「いや、仲間おったし、辛くは…無かったねん。ただ、めちゃくちゃ後悔しとった……」
平子の目は、部屋の壁より、さらに遠くを見ているようだった。
「感づいとったねん、藍染の事……。でも、止めれんくて、仲間巻き込んで、死にかけて……俺のせいでいろんなもん、めちゃくちゃにして……」
「…そんな事……」
「せやから、こっちには、罪滅ぼしにきてん」
平子はベッドに横になり、片手で頬杖をついて、真を見つめた。
「藍染のせいで、めちゃくちゃになったもんが、ありすぎるやろ……」
平子はシーツに目を落とした。
「……最初は、桃と何話していいか分からんくて、あれこれ悩んでん。出さんようにしとったけど。けど、アイツの憔悴しとる姿見とると、余計に……俺が、あかんくなってった。そんで、あー辛いわーってサボっとった時に……」
平子は優しい目で、真を見た。
「お前が、来てくれた」
「あの時……」
「俺な、あん時、スランプやってん。人と、何話したらいいか、行き詰まっとった。けど、お前が仕事とは関係なしに、話を聞いてくれよったから、話し方思い出せて、桃とも……笑って話せるようになってん」
今までになく、優しく愛おしそうな目を、平子はしていた。
「ありがとうな、真。あの日、俺の所に来てくれて」
平子とは反対に、真は悲しげだった。
「……私、あなたを勝手に、強いと思いこんで、甘えてた………」
後悔している真の頬に、平子の細い指が届いた。
「惚れた女に甘えられて、喜ばん男がおるかいな。ほれに、お前はこうして、答えを出してくれたやないか、十分や」
真は平子の手を握り、体を起こしてキスをした。
「どないした」
唇を離した真に向かって、平子は不思議そうに聞いた。
「あなたを、知りたい。時間をかけて…」
切なそうな声で、真は呟いた。
平子は笑って、真を引き寄せると、抱きしめた。
「せやな。時間はあるし、ゆっくりやっていこか」
翌朝、平子が出勤すると、先に出勤していた真が冷たい目で睨んできた。
平子は、昨夜のやり取りを思い出した。
同隊の隊長と三席が付き合っていると知られるのはお互いに気まずい、と言うことで、周りには隠す事にしたのだ。
真の目は、下手な事をするな、と訴えていた。
平子は指でOKサインをだすと、呆れた顔を真にむけた。
(安心せえ。俺かて気まずいねん。知られたないわ)
真はギロリと睨むと、プイッと顔を背け、頬を赤くして仕事机に向かった。
お前の方が顔に出とるやんけ……。
仕事をし始めても、真も平子も集中できずにいた。
同じ部屋にいると………
意識してしまう……。
昨日ん事、思い出してまう………。
優しいキスは段々と求めるキスになり、激しさを増した。
平子の舌が真の口に入り込み、舌ピアスがあたった。真の歯をなぞるように舐めては、舌ピアスから音がした。
「はっ……平子……隊長……」
真の苦しそうな声に、平子は名残惜しそうに唇を吸ってから離れた。
「……ん、すまん。苦しかったか?」
顔を覗き込むと、真は顔を真っ赤にして俯き、口を押さえながら首を振った。
「……ずっと……ここでは…」
真の言葉に、思わず平子も赤面した。
平子は真の手を引き、寝室に誘うと、ベッドに座らせた。
「……ええんか?無理してんなら…」
「無理していません」
真は平子の首に手を回すと、引っ張って一緒に横になった。平子は真に被さり、真を見下ろした。
「……意外やな」
「好きな人としたいのは、変ですか?」
「ん、いや、変やないな。俺もしたいもん」
平子は再び真に唇を落とすと、真の腰紐に手をかけた。
お互いに一糸まとわぬ姿になると、平子は真の首に手を回し、体を密着させた。
「……聞こえるか?心臓の音…」
肌を通して、平子の心臓の鼓動が聞こえてきた。ドクンドクン、と激しく打っているのが伝わる。
「はい……」
「お前が、俺をどんなふうに見とるか知らへんけど……割といっぱいいっぱい……」
平子は真の肩に顔を埋めた。
「ごめんな、お前、初めてやろうに……優しくしたれる自信ないわ……」
真は平子の背中に手を回した。
「大丈夫」
その後は、激しく求められた。
敏感な場所を探すように、全身に愛撫され、微かな反応も見逃す事なく、攻められた。
寝ているだけなのに、全身に刺激が行き渡り、呼吸が乱れ、汗が滲んだ。痛くも、悲しくもないのに、涙が滲んだ。
平子のキスは激薬だった。
激しいキスに頭が朦朧とし、平子に奉仕する事は叶わず、一方的に愛された。
最後は体が仰け反り、声を耐えることはできずに、叫んだ。
平子の苦しそうな顔だけが、目についた。
事が終わると、真は知らないうちに眠っていた。
平子は、キッチンから持ってきた水を机に置くと、ベッドの端に腰を掛けて、タバコを吸った。
真の寝顔を見ていると、自然と笑みがこぼれた。幸せだと、思った。
「ケホッ」
一つ咳払いをして、真がモゾモゾ動き、目をあけた。
「ンあ、すまん。煙たかったか?」
平子はタバコを灰皿に押し付け、火を消すと、水を飲んで口の中を洗った。
「いえ…起きただけ。……タバコ、吸うんですね。知らなかった」
まだ眠そうな目で、真は灰皿を見つめた。
平子は真の横に行き、うつ伏せで平子を見上げる真の隣に座った。
「若い時にな、キセルに憧れてん。こう、手付きがかっこええやろ」
平子は手をあげて、キセルを持つ仕草をした。平子の細く靭やかな指に、その姿はよく似合った。
「ええ、たしかに、カッコいいですね」
真が微笑むと、平子も嬉しそうに笑った。だが、すぐに、遠い目になった。
「……知らんうちに、回数が増えて、現世に行って、そらもうアホみたいに吸ったわ……」
「……辛かったですか?」
真の哀れみの目が、平子に届いた。
「いや、仲間おったし、辛くは…無かったねん。ただ、めちゃくちゃ後悔しとった……」
平子の目は、部屋の壁より、さらに遠くを見ているようだった。
「感づいとったねん、藍染の事……。でも、止めれんくて、仲間巻き込んで、死にかけて……俺のせいでいろんなもん、めちゃくちゃにして……」
「…そんな事……」
「せやから、こっちには、罪滅ぼしにきてん」
平子はベッドに横になり、片手で頬杖をついて、真を見つめた。
「藍染のせいで、めちゃくちゃになったもんが、ありすぎるやろ……」
平子はシーツに目を落とした。
「……最初は、桃と何話していいか分からんくて、あれこれ悩んでん。出さんようにしとったけど。けど、アイツの憔悴しとる姿見とると、余計に……俺が、あかんくなってった。そんで、あー辛いわーってサボっとった時に……」
平子は優しい目で、真を見た。
「お前が、来てくれた」
「あの時……」
「俺な、あん時、スランプやってん。人と、何話したらいいか、行き詰まっとった。けど、お前が仕事とは関係なしに、話を聞いてくれよったから、話し方思い出せて、桃とも……笑って話せるようになってん」
今までになく、優しく愛おしそうな目を、平子はしていた。
「ありがとうな、真。あの日、俺の所に来てくれて」
平子とは反対に、真は悲しげだった。
「……私、あなたを勝手に、強いと思いこんで、甘えてた………」
後悔している真の頬に、平子の細い指が届いた。
「惚れた女に甘えられて、喜ばん男がおるかいな。ほれに、お前はこうして、答えを出してくれたやないか、十分や」
真は平子の手を握り、体を起こしてキスをした。
「どないした」
唇を離した真に向かって、平子は不思議そうに聞いた。
「あなたを、知りたい。時間をかけて…」
切なそうな声で、真は呟いた。
平子は笑って、真を引き寄せると、抱きしめた。
「せやな。時間はあるし、ゆっくりやっていこか」
翌朝、平子が出勤すると、先に出勤していた真が冷たい目で睨んできた。
平子は、昨夜のやり取りを思い出した。
同隊の隊長と三席が付き合っていると知られるのはお互いに気まずい、と言うことで、周りには隠す事にしたのだ。
真の目は、下手な事をするな、と訴えていた。
平子は指でOKサインをだすと、呆れた顔を真にむけた。
(安心せえ。俺かて気まずいねん。知られたないわ)
真はギロリと睨むと、プイッと顔を背け、頬を赤くして仕事机に向かった。
お前の方が顔に出とるやんけ……。
仕事をし始めても、真も平子も集中できずにいた。
同じ部屋にいると………
意識してしまう……。
昨日ん事、思い出してまう………。
