羽化にはまだ早い(弓親)
慰安旅行当日の朝、真は一角と弓親と、更木とやちるの住む屋敷に行った。
3人で、更木とやちるの荷物を確かめたが、ここからいきなり一苦労だった。更木は荷物が少なすぎ、やちるは要らない物が多すぎた。3人で荷物を精査して、ようやく出発したが、更木もやちるも目を離すとすぐ居なくなるため、到着するまでに時間がかかった。
「遅いぞ!何をしているのだ!!三席から五席までそろっていて、何だこのザマは!!」
着いてそうそう砕蜂に叱られた。一角達は、反論したい気持ちを抑えて謝った。
「でも、僕達、頑張ったよね?」
弓親が、小声で真に耳打ちした。
「私、もう、帰りたいです……」
がっくりとうなだれて、真はため息をついた。その間にも、やちるは遠くに行ってしまい、また追いかける羽目になった。
「本日は、十二番隊、涅マユリ隊長、ネム副隊長は御欠席でございます」
笹木部副隊長が点呼と共に、参加メンバーを挙げた。真は、やちるを抱っこして、動かない様にしていた。
「十一番隊は、斑目三席、霧島四席、綾瀬川五席が、隊長・副隊長のお世話係として、十三番隊は、小椿・虎徹三席の両名が隊長のお世話係として参加されます」
次いで、宿の事やスケジュールを説明されていると、乱菊が近寄ってきた。
「真、お疲れ。何か、もう、疲れてない?大丈夫?」
「朝から大変だよ…副隊長、暴れないでください」
動きたくてモゾモゾするやちるを、抱き直しながら、真は乱菊に愚痴った。
「大変ね〜。何か手伝おうか?」
「ありがとう、でも、乱菊は、しっかり休んで。その為の旅行なんだから」
「あたしも、沢山遊ぶ〜!!」
「そうですね…場所をわきまえて…あ!副隊長!!」
一瞬の隙をついて、やちるが真の腕を飛び出した。やちるが走る方から、何台かの馬車が来た。
「お馬サーン!!」
馬に跨がると言って聞かないやちるを、一角が無理矢理馬車に押し込んで、一行は出発した。
窓も壁もなく、変わりに格子が付けられた大型馬車に揺られて、風を感じながら旅ができた。
しかし真達は、やちるを落ち着かせる為にお菓子をあげたり、やちるを膝に乗せて話しかけたり、風景を楽しむ暇も無かった。
暫くしてようやく、やちるは馬車の揺れで眠たくなって、真の膝枕で寝た。3人はようやくホッとして、座席の背にもたれた。
「まだ1日の半分も終わって無いなんて、信じられないよ」
弓親が天井を見ながら、疲れたように言った。
「ったく、このガキは。起きてる時は一瞬も止まらねえ」
一角が、やちるの寝顔を見ながら毒づいた。やちるはそんな事は知らず、スヤスヤ寝ている。
3人も、朝が早かった為、やちるにつられてウトウトし始めた頃、宿に着いた。
真はやちると二人部屋だった。二人分の荷物を置くと、やちるを座らせ、自分もやちるに向かって正座した。
「副隊長。お泊りに当たって、約束があります」
「約束?」
「旅館にある物を、勝手に触ってはいけません。物も、生き物もです。あと、私や三席、五席が見える所から離れないでください。その2つです。出来ますか?」
やちるは立ち上がり、大きく手を挙げた。
「できるよ!!」
真はやちるに微笑みかけ、素晴らしいです副隊長、と褒めると、更木、一角、弓親がいる部屋に連れて行った。
暫く5人でお喋りしたりして時間を潰していると、仲居さんが温泉の準備が出来ました、と各部屋に声がかかった。
更木達が颯爽と温泉に向かったので、真もやちると連れ立って温泉に行った。
脱衣場には、もう、乱菊、ルキア、七緒、雛森がいた。失礼します、と言って入り、真はやちるの側で、服を脱ぎ始めた。
内風呂でやちるの体と自分を洗い、やちるにせがまれて露天風呂に行った。遅れて四人も来た。
「私、霧島さんとお話出来て、嬉しいです」
雛森が温泉に浸かりながら、真を見て言った。真は照れて、口を押さえながら、ありがとうございます、と言った。
「朝も、話しかけようと思ったんですが…」
「ああ、あんた、一角が怖いもんね」
乱菊が、雛森の頬を突付きながら笑った。雛森は、当てられてまごついた。
「言葉がキツイだけで、いい人ですよ。
副隊長、泳いじゃいけませんよ」
真が雛森を安心させようと、にこやかに言った。
「そうよー。あんなのただの、ツルッパゲよ、ツルッパゲー」
「今、何つった松本ォ!!!!!」
突然男湯から怒号が飛んできた。雛森は驚いたが、言われた乱菊本人は平然としている。
「ちょっとー。女湯の会話に聞き耳立てるなんて、覗きと一緒よー、変態」
乱菊が面白がってからかう。やちるは、男湯が気になったらしく、湯船から出て、壁を登り始めた。真も急いで、湯から出た。
「お前の声が大きんだよ!!!って、お前は何覗いてんだ、チビ!!コラ!!!」
「あー!剣ちゃーん!!やっほー!!」
猿の様に、やちるは壁を登り、手を額に当てて男湯を眺めた。男湯には、全員では無いがほぼ揃っていた。やちるを気にして体を隠す者、気にしないもの、観覧する者、いろいろだった。
「あー!ワンワン!!今から体洗うの?手伝ってあげようか?!」
「コラチビ!!失礼だろ!!!霧島ァ!!早くこいつを降ろせ!!」
「はいはい。今やります」
そっちはゆっくり入れていいな、と思いながら真はやちるに手を伸ばした。
「副隊長、降りてきてください。受け止めますから」
そう言うと、やちるは喜んで真の胸に飛び込んだ。
「わーい!まこまこのオッパイフカフカー!!!」
やちるの元気な声が、女湯にも男湯にも響き渡った。
3人で、更木とやちるの荷物を確かめたが、ここからいきなり一苦労だった。更木は荷物が少なすぎ、やちるは要らない物が多すぎた。3人で荷物を精査して、ようやく出発したが、更木もやちるも目を離すとすぐ居なくなるため、到着するまでに時間がかかった。
「遅いぞ!何をしているのだ!!三席から五席までそろっていて、何だこのザマは!!」
着いてそうそう砕蜂に叱られた。一角達は、反論したい気持ちを抑えて謝った。
「でも、僕達、頑張ったよね?」
弓親が、小声で真に耳打ちした。
「私、もう、帰りたいです……」
がっくりとうなだれて、真はため息をついた。その間にも、やちるは遠くに行ってしまい、また追いかける羽目になった。
「本日は、十二番隊、涅マユリ隊長、ネム副隊長は御欠席でございます」
笹木部副隊長が点呼と共に、参加メンバーを挙げた。真は、やちるを抱っこして、動かない様にしていた。
「十一番隊は、斑目三席、霧島四席、綾瀬川五席が、隊長・副隊長のお世話係として、十三番隊は、小椿・虎徹三席の両名が隊長のお世話係として参加されます」
次いで、宿の事やスケジュールを説明されていると、乱菊が近寄ってきた。
「真、お疲れ。何か、もう、疲れてない?大丈夫?」
「朝から大変だよ…副隊長、暴れないでください」
動きたくてモゾモゾするやちるを、抱き直しながら、真は乱菊に愚痴った。
「大変ね〜。何か手伝おうか?」
「ありがとう、でも、乱菊は、しっかり休んで。その為の旅行なんだから」
「あたしも、沢山遊ぶ〜!!」
「そうですね…場所をわきまえて…あ!副隊長!!」
一瞬の隙をついて、やちるが真の腕を飛び出した。やちるが走る方から、何台かの馬車が来た。
「お馬サーン!!」
馬に跨がると言って聞かないやちるを、一角が無理矢理馬車に押し込んで、一行は出発した。
窓も壁もなく、変わりに格子が付けられた大型馬車に揺られて、風を感じながら旅ができた。
しかし真達は、やちるを落ち着かせる為にお菓子をあげたり、やちるを膝に乗せて話しかけたり、風景を楽しむ暇も無かった。
暫くしてようやく、やちるは馬車の揺れで眠たくなって、真の膝枕で寝た。3人はようやくホッとして、座席の背にもたれた。
「まだ1日の半分も終わって無いなんて、信じられないよ」
弓親が天井を見ながら、疲れたように言った。
「ったく、このガキは。起きてる時は一瞬も止まらねえ」
一角が、やちるの寝顔を見ながら毒づいた。やちるはそんな事は知らず、スヤスヤ寝ている。
3人も、朝が早かった為、やちるにつられてウトウトし始めた頃、宿に着いた。
真はやちると二人部屋だった。二人分の荷物を置くと、やちるを座らせ、自分もやちるに向かって正座した。
「副隊長。お泊りに当たって、約束があります」
「約束?」
「旅館にある物を、勝手に触ってはいけません。物も、生き物もです。あと、私や三席、五席が見える所から離れないでください。その2つです。出来ますか?」
やちるは立ち上がり、大きく手を挙げた。
「できるよ!!」
真はやちるに微笑みかけ、素晴らしいです副隊長、と褒めると、更木、一角、弓親がいる部屋に連れて行った。
暫く5人でお喋りしたりして時間を潰していると、仲居さんが温泉の準備が出来ました、と各部屋に声がかかった。
更木達が颯爽と温泉に向かったので、真もやちると連れ立って温泉に行った。
脱衣場には、もう、乱菊、ルキア、七緒、雛森がいた。失礼します、と言って入り、真はやちるの側で、服を脱ぎ始めた。
内風呂でやちるの体と自分を洗い、やちるにせがまれて露天風呂に行った。遅れて四人も来た。
「私、霧島さんとお話出来て、嬉しいです」
雛森が温泉に浸かりながら、真を見て言った。真は照れて、口を押さえながら、ありがとうございます、と言った。
「朝も、話しかけようと思ったんですが…」
「ああ、あんた、一角が怖いもんね」
乱菊が、雛森の頬を突付きながら笑った。雛森は、当てられてまごついた。
「言葉がキツイだけで、いい人ですよ。
副隊長、泳いじゃいけませんよ」
真が雛森を安心させようと、にこやかに言った。
「そうよー。あんなのただの、ツルッパゲよ、ツルッパゲー」
「今、何つった松本ォ!!!!!」
突然男湯から怒号が飛んできた。雛森は驚いたが、言われた乱菊本人は平然としている。
「ちょっとー。女湯の会話に聞き耳立てるなんて、覗きと一緒よー、変態」
乱菊が面白がってからかう。やちるは、男湯が気になったらしく、湯船から出て、壁を登り始めた。真も急いで、湯から出た。
「お前の声が大きんだよ!!!って、お前は何覗いてんだ、チビ!!コラ!!!」
「あー!剣ちゃーん!!やっほー!!」
猿の様に、やちるは壁を登り、手を額に当てて男湯を眺めた。男湯には、全員では無いがほぼ揃っていた。やちるを気にして体を隠す者、気にしないもの、観覧する者、いろいろだった。
「あー!ワンワン!!今から体洗うの?手伝ってあげようか?!」
「コラチビ!!失礼だろ!!!霧島ァ!!早くこいつを降ろせ!!」
「はいはい。今やります」
そっちはゆっくり入れていいな、と思いながら真はやちるに手を伸ばした。
「副隊長、降りてきてください。受け止めますから」
そう言うと、やちるは喜んで真の胸に飛び込んだ。
「わーい!まこまこのオッパイフカフカー!!!」
やちるの元気な声が、女湯にも男湯にも響き渡った。