羽化にはまだ早い(弓親)
17.先遣隊
次の日から、真は明らかに弓親を避けた。
弓親が隊舎に来ると、真は外に行き、弓親がご飯に誘おうとすると、部下の女子たちとご飯に行ってしまい、まさに取り付く島もない状態だった。
更に、昨日の更木との戦いから、今まで真を何となく避けていた男性隊士達が、真の周りに群がるようになった。真を称賛して集まっているだけだが、弓親からしたら気が気ではなかった。
そうしているうちに、丸2日二人は喋らないどころか、顔すら合わせなかった。
真が一人で廊下を歩いていると、阿散井恋次が向こうからやってきた。横には、黒髪の小さな女性を連れている。
恋次が真に気づき、手を振った。
「霧島さん!ちょうど良かった。今十一番隊に行こうとしていて」
恋次が真の前で立ち止まった。横の女性も一緒に止まり、ジッと真見た。
「…はじめまして?」
真が女性を見ながら挨拶をすると、女性は、ハッと慌てて、頭を下げた。
「は、始めまして。霧島四席。私は、十三番隊、朽木ルキアと申します」
ああ、この子が例の朽木さんか、と思ったが、真は失礼かと思い、言わなかった。
「あの、霧島四席のお噂は、十三番隊まで届いています」
ルキアがおずおずと照れながら、真に話しかけた。
「噂?」
「十一番隊で、初めて女性隊士だけの班を作られたとか、まだ殉職者を出していないとか、恋次に勝ったとか…!」
「おい、ルキア!それは昔の話だ!!」
「うるさい!私が話しているではないか!黙っていろ恋次!」
ルキアは、横から口出しした恋次を一喝し、真に向き直った。そして、憧れの眼差しで、真を見つめた。
「霧島四席の実績だけでなく、佇まいや、部下への態度など……霧島四席は、私の憧れです」
真は、何と返したらいいか分からなかったが、ルキアの熱意に応えてあげたくなり、手を差し出した。
「…ありがとう。至らない事がまだまだあるけど…そう思ってくれる人が居てくれて、嬉しいよ」
ルキアは顔を赤くしながら、真の手を握り返した。恋次は、そんなルキアを呆れた顔で見ていた。
「そうだ、霧島さん。隊舎に一角さんいました?一角さんに用事があるんスよ」
「ごめん。今日、隊舎に行ってないんだ。分からないけど、道場にはいなかったから、いると思うよ。今日は任務も無いし」
「そっスか。珍しいッスね、隊舎に行かないなんて」
「ああ…うん、忙しくて」
真の聞いてほしく無さそうな顔をしたため、恋次はそれ以上聞かなかった。
二人は真にお礼を言うと、十一番隊舎に向かって歩いて行った。
恋次が、詳しく聞いて来なくてよかったと、真は胸を撫でおろした。一角のいる所には、大抵弓親がいる為、一角にもここ2日顔を合わせていない。これからどうしていいか分からないが、今は兎に角気まずい為、弓親に会いたくなかった。
恋次とルキアは廊下を歩きながら話していた。
「霧島四席は、もっと近寄り難い印象だったが、優しいお方なんだな」
握手した手を見つめながら、ルキアが嬉しそうに言った。
「ああ、あの人、あんまり人に心開かないし、不器用なんだよ。誰かさんみたいにな」
誰の事だとルキアが恋次に怒ったら、ちょうど十一番隊舎に着いた。
「ねえ、どうしたら、真は僕と喋ってくれると思う?」
机に顎を乗せながら、2つ向こうの机で書類を書いている一角に弓親が力なく聞いた。
「俺がしるかよ」
ぶっきらぼうに一角が答える。弓親は酷く残念そうな顔をした。
「一角から聞いてよ〜」
「何でだよ」
話の途中で、二人の後ろから、男性隊士が一角を呼んだ。
「斑目三席、阿散井副隊長がいらっしゃいました」
一角が振り向くと、恋次がルキアと共にいた。
ルキアが真の時と同様に、一角に挨拶すると、恋次が場所を移したいと言った。
「いや、いい。おい、お前らどっか行け。昼過ぎまで帰って来なくていいぞ」
一角が、部屋にいる隊士達に呼びかけると、隊士達は、ラッキーと言いながら出ていった。
部屋には、一角と弓親、恋次とルキアだけになった。
「……弓親、お前もどっか行けよ」
「えー!やだ!僕も聞く」
一角が弓親を追い出そうとしたが、恋次が別にいいッスよ、と一角止めた。
4人はソファに向かい合って座り、話を始めた。
「…で、何だ。飲みの誘いでは無さそうだな」
改めて一角が恋次に聞くと、恋次が神妙な面持ちで、身を乗り出した。
「…現世に、破面が現れました」
そこから恋次は、ルキアと自分が現世組と合流するよう上から言われた事と、一角の力を貸してほしい事を伝えた。
「なるほどな。いいぜ、行ってやる」
一角が承諾すると、隣の弓親が騒いだ。
「え!?一角が現世行くなら、僕も行く!絶対行く!」
「お前は誘われてねえだろ!」
「この状況で僕を置いていくの!?酷くない!?」
「酷くねえよ!!」
二人が行く行かないで騒いでいると、突然扉が開いて乱菊が入ってきた。
「外で聞いてたんだけど!!!現世に行くんだってー!?あたしも行きたい!!」
結局、5人で現世に行きたい旨を、山本総隊長に進言する事になった(恋次が)。総隊長は、隊長を一人引率に付ける事を条件に出した。
「隊長って、浮竹隊長か、朽木隊長か、更木隊長か、日番谷隊長って事?」
一番隊からの帰り道に、乱菊が全員に聞いた。
「浮竹隊長は、昨日からまた伏せっていますので、難しいかと…」
ルキアが残念そうに言った。
「朽木隊長か、更木隊長か、日番谷隊長か…」
一角が呟くと、全員が黙った。
「…日番谷隊長じゃね?」
全員が頷いた。
〜その後〜
「って訳なんで、隊長一緒に行きましょー」
「何で俺なんだ」
「えー、隊長が行かないと、朽木隊長か、更木隊長が現世に行く事になるんですよー?」
「…………」
「ねー?お願いしますよ、日番谷隊長〜」
「………くそっ」
次の日から、真は明らかに弓親を避けた。
弓親が隊舎に来ると、真は外に行き、弓親がご飯に誘おうとすると、部下の女子たちとご飯に行ってしまい、まさに取り付く島もない状態だった。
更に、昨日の更木との戦いから、今まで真を何となく避けていた男性隊士達が、真の周りに群がるようになった。真を称賛して集まっているだけだが、弓親からしたら気が気ではなかった。
そうしているうちに、丸2日二人は喋らないどころか、顔すら合わせなかった。
真が一人で廊下を歩いていると、阿散井恋次が向こうからやってきた。横には、黒髪の小さな女性を連れている。
恋次が真に気づき、手を振った。
「霧島さん!ちょうど良かった。今十一番隊に行こうとしていて」
恋次が真の前で立ち止まった。横の女性も一緒に止まり、ジッと真見た。
「…はじめまして?」
真が女性を見ながら挨拶をすると、女性は、ハッと慌てて、頭を下げた。
「は、始めまして。霧島四席。私は、十三番隊、朽木ルキアと申します」
ああ、この子が例の朽木さんか、と思ったが、真は失礼かと思い、言わなかった。
「あの、霧島四席のお噂は、十三番隊まで届いています」
ルキアがおずおずと照れながら、真に話しかけた。
「噂?」
「十一番隊で、初めて女性隊士だけの班を作られたとか、まだ殉職者を出していないとか、恋次に勝ったとか…!」
「おい、ルキア!それは昔の話だ!!」
「うるさい!私が話しているではないか!黙っていろ恋次!」
ルキアは、横から口出しした恋次を一喝し、真に向き直った。そして、憧れの眼差しで、真を見つめた。
「霧島四席の実績だけでなく、佇まいや、部下への態度など……霧島四席は、私の憧れです」
真は、何と返したらいいか分からなかったが、ルキアの熱意に応えてあげたくなり、手を差し出した。
「…ありがとう。至らない事がまだまだあるけど…そう思ってくれる人が居てくれて、嬉しいよ」
ルキアは顔を赤くしながら、真の手を握り返した。恋次は、そんなルキアを呆れた顔で見ていた。
「そうだ、霧島さん。隊舎に一角さんいました?一角さんに用事があるんスよ」
「ごめん。今日、隊舎に行ってないんだ。分からないけど、道場にはいなかったから、いると思うよ。今日は任務も無いし」
「そっスか。珍しいッスね、隊舎に行かないなんて」
「ああ…うん、忙しくて」
真の聞いてほしく無さそうな顔をしたため、恋次はそれ以上聞かなかった。
二人は真にお礼を言うと、十一番隊舎に向かって歩いて行った。
恋次が、詳しく聞いて来なくてよかったと、真は胸を撫でおろした。一角のいる所には、大抵弓親がいる為、一角にもここ2日顔を合わせていない。これからどうしていいか分からないが、今は兎に角気まずい為、弓親に会いたくなかった。
恋次とルキアは廊下を歩きながら話していた。
「霧島四席は、もっと近寄り難い印象だったが、優しいお方なんだな」
握手した手を見つめながら、ルキアが嬉しそうに言った。
「ああ、あの人、あんまり人に心開かないし、不器用なんだよ。誰かさんみたいにな」
誰の事だとルキアが恋次に怒ったら、ちょうど十一番隊舎に着いた。
「ねえ、どうしたら、真は僕と喋ってくれると思う?」
机に顎を乗せながら、2つ向こうの机で書類を書いている一角に弓親が力なく聞いた。
「俺がしるかよ」
ぶっきらぼうに一角が答える。弓親は酷く残念そうな顔をした。
「一角から聞いてよ〜」
「何でだよ」
話の途中で、二人の後ろから、男性隊士が一角を呼んだ。
「斑目三席、阿散井副隊長がいらっしゃいました」
一角が振り向くと、恋次がルキアと共にいた。
ルキアが真の時と同様に、一角に挨拶すると、恋次が場所を移したいと言った。
「いや、いい。おい、お前らどっか行け。昼過ぎまで帰って来なくていいぞ」
一角が、部屋にいる隊士達に呼びかけると、隊士達は、ラッキーと言いながら出ていった。
部屋には、一角と弓親、恋次とルキアだけになった。
「……弓親、お前もどっか行けよ」
「えー!やだ!僕も聞く」
一角が弓親を追い出そうとしたが、恋次が別にいいッスよ、と一角止めた。
4人はソファに向かい合って座り、話を始めた。
「…で、何だ。飲みの誘いでは無さそうだな」
改めて一角が恋次に聞くと、恋次が神妙な面持ちで、身を乗り出した。
「…現世に、破面が現れました」
そこから恋次は、ルキアと自分が現世組と合流するよう上から言われた事と、一角の力を貸してほしい事を伝えた。
「なるほどな。いいぜ、行ってやる」
一角が承諾すると、隣の弓親が騒いだ。
「え!?一角が現世行くなら、僕も行く!絶対行く!」
「お前は誘われてねえだろ!」
「この状況で僕を置いていくの!?酷くない!?」
「酷くねえよ!!」
二人が行く行かないで騒いでいると、突然扉が開いて乱菊が入ってきた。
「外で聞いてたんだけど!!!現世に行くんだってー!?あたしも行きたい!!」
結局、5人で現世に行きたい旨を、山本総隊長に進言する事になった(恋次が)。総隊長は、隊長を一人引率に付ける事を条件に出した。
「隊長って、浮竹隊長か、朽木隊長か、更木隊長か、日番谷隊長って事?」
一番隊からの帰り道に、乱菊が全員に聞いた。
「浮竹隊長は、昨日からまた伏せっていますので、難しいかと…」
ルキアが残念そうに言った。
「朽木隊長か、更木隊長か、日番谷隊長か…」
一角が呟くと、全員が黙った。
「…日番谷隊長じゃね?」
全員が頷いた。
〜その後〜
「って訳なんで、隊長一緒に行きましょー」
「何で俺なんだ」
「えー、隊長が行かないと、朽木隊長か、更木隊長が現世に行く事になるんですよー?」
「…………」
「ねー?お願いしますよ、日番谷隊長〜」
「………くそっ」