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親友の好きな人(番外編)

男性死神協会

 毎度のように3人が居酒屋で飲んでいると、浮竹が思い出したように、サングラスと腹巻きを取り出して、千草と京楽に見せた。
「そういえば、射場副隊長から男性死神協会に誘われたんだ」
嬉しそうに報告する浮竹を見て、千草は今まで見せたことの無い、引きつった顔で浮竹を見た。
「浮竹君………これを、着るの?」
「ん?ああ、そうだな」
浮竹がにこやかに答えると、千草は突然立ち上がり、部屋から出ていってしまった。
「千草!!???」
浮竹が慌てて追いかけると、千草は店の外で項垂れていた。
「どうしたんだ千草!?何かまずかったか?!」
浮竹が心配そうに千草を覗き込むと、千草は引きつった顔で浮竹を見上げた。
「………いえ……どこに所属して、何を着るかは浮竹君の自由だわ………私の器量が狭いの……ごめんなさい………」
そう言って千草はフラフラと居酒屋の座敷に戻って生き、浮竹も心配そうについて行った。
 座敷では、京楽がサングラスをオモチャにしながら飲んでいた。
「やっぱり無理だわ……」
千草はサングラスと腹巻きを見て、歯を食いしばりながら拳を握った。
「凄く………凄くダサい…!!我慢できないくらいダサいわ……!!明確にダサい……!!あからさまにダサいじゃない……!!」
「凄い言うね、千草」
京楽はハハハッと笑いながら、腹巻きをつまんで見せた。
「浮竹、本当にこれを着るのかい?」
「なんだ、京楽もほしいのか?」
「いや、僕はダンディで通してるから、無理かな」
「……どうして浮竹君なの……?」
少しだけ平静を取り戻した千草が、額に手を置きながら質問をした。
「男性死神協会は女性死神協会に比べて立場が弱いから、隊長を一人理事に据えたかったそうだ」
「浮竹君じゃ無くても良いじゃない……」
「それが、他の隊長達には断られてしまったそうで。それじゃあまりにも可哀想だろう」
千草は何か言いたげだったが、浮竹の人柄を知っているぶん何も言えず、小さく、頑張ってね、と言って酒を一気に飲み干した。

 翌日、男性死神協会のメンバーとおちあい、楽しそうに談笑する浮竹を、千草は建物の窓から見下ろしていた。
 するとそこに雛森が現れ、千草に声をかけた。
「横山総務官!こんにちは」
「雛森さん……こんにちは」
雛森は千草の元気があまり無い事に気が付き、千草の目線の先を確認した。
「あ、あれは………浮竹隊長……!!??なんて格好を………」
「そうよね………」
千草は溜息をつくと、雛森を見た。
「ね、もし、あなたの尊敬する藍染君がアレを着てたらどう思う?」
雛森は少し想像してから、顔をブルブル振った。
「ありえないです…!!藍染隊長が、あんなのを選ぶなんて…!!もし着ていたら、脅されたか、ご乱心されたかって思います!!」
「そうよね…………」
千草はまた大きく溜息をついた。
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