親友の好きな人(京楽 浮竹)
44.戦いの後に
「藍染……!!?何で藍染が……。それに、総務官……」
日番谷は混乱し、倒れている千草とそれを見下ろす藍染を交互に見た。
「日番谷隊長!!奥に雛森さんがいるわ!!早く救助して!!」
千草が倒れたまま叫ぶと、日番谷は藍染を通り過ぎて雛森の所へ走って行った。
「そんなに叫んでいいのかい?丹田を突いたのに。そこだろう?この偽物の霊力の心臓は」
柔らかな笑顔の藍染を千草が睨みつけた。
すると背後から冷気を感じ、雛森を抱いた日番谷が現れた。
「……どういう事だ、藍染……何で雛森から、お前の霊圧が………」
「ちゃんと殺せていたかな?苦しまないようにしてあげたんたが」
「…っ!!てめえ!!!」
日番谷の霊圧が跳ね上がり、雛森をしずかに下ろすと日番谷は斬魄刀を抜いた。
「だめよ…!!!日番谷隊長!!」
「卍・解!!」
千草の静止も虚しく日番谷は卍解し、藍染に向かったが、その刃は届く事なく、無残に散った。
「日番谷隊長!!!!!」
「さて、時間がない。急ごう、ギン」
日番谷の事などもう忘れたかの様に藍染は市丸に向き直った。
市丸が懐に手を入れ紐を出すと、それが市丸と藍染を包んだ。
「おまちなさい」
そこに現れたのは卯ノ花と勇音だった。
卯ノ花は倒れている雛森、日番谷、千草を見、市丸と藍染を見た。
「全て偽装だったのですね」
「死体の違和感に気づいたかい?だが、少し遅かったな、卯ノ花隊長」
藍染は言葉を残し、市丸と共に消えた。
卯ノ花はすぐに千草に駆け寄ってきた。勇音は千草の悲惨な姿に口を覆った。
「私は偽物だから大丈夫です。それよりも藍染を」
「ヤツの目的は?」
「朽木ルキアの殺害です。双極が破壊されてもまだ終わっていません。場所を特定し、全ての隊長副隊長達に伝えてください。私の霊力ももう保たない、それまでに、分かる範囲でお教えします」
「勇音」
「はい!」
勇音が藍染の居場所を特定している間に、千草は起こっていたすべての出来事を説明した。
ルキアの中の崩玉の事、藍染の能力の事、四十六室の殺害、千草の監禁、大霊書回廊への侵入、そしてここでの戦い…。
勇音が双極に藍染の霊圧を見つけると、直ぐに天艇空羅で隊長副隊長達に知らされた。そしてそれを見届けると、千草の体は紙に戻った。
「藍染が………?!千草が、負けただと………」
浮竹と京楽は双極から離れた場所で元柳斎と対峙しながら、藍染の裏切りと、千草の敗北を知った。
「僕ら、こんな事してる場合じゃないんじゃない?山じい」
京楽の問いかけにより、3人は双極の丘に走った。
浮竹達が到着した頃には、崩玉は奪われた後だった。
隊長副隊長で藍染達を囲んだが、虚達が藍染達を連れ去り、手を下す事は出来なかった。
後には、怪我人達と無力感だけが残った。
四番隊が動き出し、怪我人か治療されていく中で卯ノ花が双極の丘に到着した。
日番谷と雛森の事は部下に報告していたが、千草の事は何も言わなかった。
浮竹と京楽は、少し離れた所でその様子を見ていたが、心配になってきて、双極の丘を降りようとした時、千草の声が二人を呼び止めた。
「浮竹君、京楽君、お疲れ様」
声のした方を見ると、総務で一番新人の女がいた。その手の中には、落書きみたいな張り子の犬がおり、動いていた。
「双極破壊できたのね。ありがとう」
「千草??!!!」
新人が張り子犬を地面に置くと、犬は彼女に総務に戻るよう言った。
「大丈夫なのか?動いて」
浮竹がしゃがんで、犬を見た。
「今、虎徹副隊長に霊力を回復して貰いながら動いているの。卯ノ花隊長達が来てくれなかったら、危なかったわ」
「別に無理して来る必要無かったのに」
京楽は腰を曲げて、笠に手をやった。
「お客様のお迎えが必要かと思って」
「もう準備してきたのか?!」
「6部屋、部下が準備してる」
張り子の千草は向きを変えて、元柳斎の方にテチテチ歩き出したが、あまりにも進みが遅く、見かねた浮竹が拾い上げて連れて行った。
「総隊長、客人を迎える準備ができました」
浮竹の手の中で千草が言うと、元柳斎はギョッとして目を見張った。
「お主……千草か!?」
「今霊力が少なくて、本体が動けないんです。すみません」
「いや、それはよい。とにかく無事でなにより。しかし、一人で戦闘に向かうなど不用心にも……」
「お説教は後で聞きます。それより旅禍の子達はどちらに?」
「あれじゃ」
元柳斎が見た方に、ちょうど治療を終えて起き上がった一護がいた。
千草の目にも、その少年は海燕に似て見えたが、浮竹には言えなかった。
浮竹は千草を抱えたまま、一護達一行の所へ行った。
「やあ、こんにちは」
浮竹がにこやかに挨拶すると、一護達が顔を上げて浮竹を見た。
「あれ、あんた、前牢の前にいた……」
「覚えていてくれたのか、ありがとう。俺は十三番隊隊長の浮竹十四郎だ、朽木の上司なんだ。部下を助けてくれてありがとう」
浮竹が膝をついて頭を下げると、一護達は焦ったように浮竹を見た。
「やめてくれよ!お礼言われる為にやったんじゃないんだ。俺が勝手に……」
「私達が出来なかった事をしてくれたんだから、お礼言わせて」
浮竹の腹の辺りから女の声がする、と一護達が目を見張ると、隊長羽織の下から、張り子の犬がぴょこんと出てきた。
「ありがとう。旅禍の方々」
「犬ーーー!!!????」
「藍染……!!?何で藍染が……。それに、総務官……」
日番谷は混乱し、倒れている千草とそれを見下ろす藍染を交互に見た。
「日番谷隊長!!奥に雛森さんがいるわ!!早く救助して!!」
千草が倒れたまま叫ぶと、日番谷は藍染を通り過ぎて雛森の所へ走って行った。
「そんなに叫んでいいのかい?丹田を突いたのに。そこだろう?この偽物の霊力の心臓は」
柔らかな笑顔の藍染を千草が睨みつけた。
すると背後から冷気を感じ、雛森を抱いた日番谷が現れた。
「……どういう事だ、藍染……何で雛森から、お前の霊圧が………」
「ちゃんと殺せていたかな?苦しまないようにしてあげたんたが」
「…っ!!てめえ!!!」
日番谷の霊圧が跳ね上がり、雛森をしずかに下ろすと日番谷は斬魄刀を抜いた。
「だめよ…!!!日番谷隊長!!」
「卍・解!!」
千草の静止も虚しく日番谷は卍解し、藍染に向かったが、その刃は届く事なく、無残に散った。
「日番谷隊長!!!!!」
「さて、時間がない。急ごう、ギン」
日番谷の事などもう忘れたかの様に藍染は市丸に向き直った。
市丸が懐に手を入れ紐を出すと、それが市丸と藍染を包んだ。
「おまちなさい」
そこに現れたのは卯ノ花と勇音だった。
卯ノ花は倒れている雛森、日番谷、千草を見、市丸と藍染を見た。
「全て偽装だったのですね」
「死体の違和感に気づいたかい?だが、少し遅かったな、卯ノ花隊長」
藍染は言葉を残し、市丸と共に消えた。
卯ノ花はすぐに千草に駆け寄ってきた。勇音は千草の悲惨な姿に口を覆った。
「私は偽物だから大丈夫です。それよりも藍染を」
「ヤツの目的は?」
「朽木ルキアの殺害です。双極が破壊されてもまだ終わっていません。場所を特定し、全ての隊長副隊長達に伝えてください。私の霊力ももう保たない、それまでに、分かる範囲でお教えします」
「勇音」
「はい!」
勇音が藍染の居場所を特定している間に、千草は起こっていたすべての出来事を説明した。
ルキアの中の崩玉の事、藍染の能力の事、四十六室の殺害、千草の監禁、大霊書回廊への侵入、そしてここでの戦い…。
勇音が双極に藍染の霊圧を見つけると、直ぐに天艇空羅で隊長副隊長達に知らされた。そしてそれを見届けると、千草の体は紙に戻った。
「藍染が………?!千草が、負けただと………」
浮竹と京楽は双極から離れた場所で元柳斎と対峙しながら、藍染の裏切りと、千草の敗北を知った。
「僕ら、こんな事してる場合じゃないんじゃない?山じい」
京楽の問いかけにより、3人は双極の丘に走った。
浮竹達が到着した頃には、崩玉は奪われた後だった。
隊長副隊長で藍染達を囲んだが、虚達が藍染達を連れ去り、手を下す事は出来なかった。
後には、怪我人達と無力感だけが残った。
四番隊が動き出し、怪我人か治療されていく中で卯ノ花が双極の丘に到着した。
日番谷と雛森の事は部下に報告していたが、千草の事は何も言わなかった。
浮竹と京楽は、少し離れた所でその様子を見ていたが、心配になってきて、双極の丘を降りようとした時、千草の声が二人を呼び止めた。
「浮竹君、京楽君、お疲れ様」
声のした方を見ると、総務で一番新人の女がいた。その手の中には、落書きみたいな張り子の犬がおり、動いていた。
「双極破壊できたのね。ありがとう」
「千草??!!!」
新人が張り子犬を地面に置くと、犬は彼女に総務に戻るよう言った。
「大丈夫なのか?動いて」
浮竹がしゃがんで、犬を見た。
「今、虎徹副隊長に霊力を回復して貰いながら動いているの。卯ノ花隊長達が来てくれなかったら、危なかったわ」
「別に無理して来る必要無かったのに」
京楽は腰を曲げて、笠に手をやった。
「お客様のお迎えが必要かと思って」
「もう準備してきたのか?!」
「6部屋、部下が準備してる」
張り子の千草は向きを変えて、元柳斎の方にテチテチ歩き出したが、あまりにも進みが遅く、見かねた浮竹が拾い上げて連れて行った。
「総隊長、客人を迎える準備ができました」
浮竹の手の中で千草が言うと、元柳斎はギョッとして目を見張った。
「お主……千草か!?」
「今霊力が少なくて、本体が動けないんです。すみません」
「いや、それはよい。とにかく無事でなにより。しかし、一人で戦闘に向かうなど不用心にも……」
「お説教は後で聞きます。それより旅禍の子達はどちらに?」
「あれじゃ」
元柳斎が見た方に、ちょうど治療を終えて起き上がった一護がいた。
千草の目にも、その少年は海燕に似て見えたが、浮竹には言えなかった。
浮竹は千草を抱えたまま、一護達一行の所へ行った。
「やあ、こんにちは」
浮竹がにこやかに挨拶すると、一護達が顔を上げて浮竹を見た。
「あれ、あんた、前牢の前にいた……」
「覚えていてくれたのか、ありがとう。俺は十三番隊隊長の浮竹十四郎だ、朽木の上司なんだ。部下を助けてくれてありがとう」
浮竹が膝をついて頭を下げると、一護達は焦ったように浮竹を見た。
「やめてくれよ!お礼言われる為にやったんじゃないんだ。俺が勝手に……」
「私達が出来なかった事をしてくれたんだから、お礼言わせて」
浮竹の腹の辺りから女の声がする、と一護達が目を見張ると、隊長羽織の下から、張り子の犬がぴょこんと出てきた。
「ありがとう。旅禍の方々」
「犬ーーー!!!????」