頂き物
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大人しくて、控えめで、声が小さくて。
いつも自分の席で本を読んでいるような、俯いて誰かの、幼馴染みであるサリ~の背中に隠れてしまうような、だけど優しい女の子が、俺の目にはキラキラして、眩しくて、ずっと、視線で追っていた。
「明星くん」
アルト寄りのソプラノの綺麗な声で、初めて俺の名前を呼んでくれたとき、心臓が破裂するかと思うくらい、ドキドキして、嬉しかった。
「明星くんは、キラキラしてるね」
その言葉を口癖みたいに伝えてくれるヒナのほうが、俺にはずっとずっと、キラキラして見えた。
出会って半年過ぎる頃には、みんなに、俺の気持ちがバレてて。
内気だけど、優しくて一生懸命な女の子が、大好きで、大好きで、しかたなかった。
だけど、ずっと境界線を引かれてるみたいで。
おはよう、って声を掛けても、震える声で挨拶して、サリ~の背中に隠れてしまう。
サリ~や朔間先輩の弟とは楽しそうにお喋りするのに、俺が話しかけると俯いてしまう。
ずっと、ヒナに頼りにされて、綻ぶような笑顔を向けてもらえる、そんなサリ~が羨ましかった。
俺にもその顔を見せてくれたらって。
そう思いながら、毎日声を掛けていた。
そんなヒナが、3年に進級した春。
ずっと長くしていた髪をバッサリ切って、長く垂らしていた前髪をキラキラした星がついたピンで上げて、登校してきた。
ミディアムショートの髪も、彼女によく似合って。
大人しいヒナを、明るい雰囲気に見せていた。
「ヒナ、髪切ったんだね!似合う似合う!可愛い☆」
そう声を掛けた俺に、顔を上げて。
初めて、真っ直ぐ、俺の顔を見て。
嬉しそうに、はにかむように、笑ってくれた。
「わたしね、ずっと、明星くんと同じ景色が見たかったの。長い前髪越しじゃなくて……明星くんが見せてくれるもの、ぜんぶ、ぜんぶ、とってもキラキラしてキレイだったから」
ずっと、その勇気がなくて、ごめんね。
よかった。
俺の言葉は、気持ちは、ヒナに、ずっと届いていたんだね。
そしてヒナが、境界線を踏み越えて、俺の方に手を伸ばしてくれた。
どれだけの勇気を出してくれたんだろう。
嬉しくって。笑顔が、溢れた。
「明星くんが、好きです」
真っ赤になって、震えながら紡がれた言葉に。
答えなんて、決まってる。
「俺も、ヒナが好きだよ。大好き!」
小さくて華奢な身体を抱きしめて、さらさらした前髪に触れて、キスをした。
ほら。
きみがくれた言葉が、俺を見てくれる瞳が、こぼれた涙が、笑顔が、ぬくもりが。
俺が知ってるもののなかで、いちばん、キラキラしてる。
Let's look at the same scenery
(これからも、隣で。ずっと、同じ景色を見よう)
(ここから、恋人同士の俺たちで、始めよう)
『流星の彼方』葵様より。企画リクエストにて書いて頂きました。ありがとうございました!
2019.03.31
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