刀剣乱舞
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「んじゃ大将。池田屋まで出陣して来るぜ」
今回の部隊長である薬研がそう言うと陽菜は、ぽん、とその頭に優しく手を置く。
「気を付けて行ってきてね。くれぐれも無茶な進軍はしないように」
「ああ、分かってるって」
何処か照れくさそうに答えた薬研の黒髪を軽く撫でていると、近侍である一期一振が声をかけてきた。
「主、そろそろ時間です」
「そうだね。じゃあ皆、頑張ってきて」
そう言って部隊を送り出すと短刀たちは「はーい!」や「任せとけ!」など、それぞれ返事して現地に向かうのであった。
──短刀たちの部隊を池田屋へと送り出したあと、部屋に戻った陽菜と一期は二人して(というか一人と一刀だが)、そわそわと落ち着きがなかった。
「あの子たちは大丈夫でしょうか。薬研が隊長とはいえ、心配です」
「未だに敵の本陣目前で手詰まりするって愚痴ってたものね……他の短刀たちもストレス溜まってなきゃいいけど」
「出来ることなら様子を見に行きたいものですが、それは不可能ですからね……」
ままならないものです……と呟きながら目の前を行ったり来たりを繰り返す一期を見て、陽菜は口を開く。
「……何だろう……私、今ちょっと某おつかい番組の保護者の気持ちが分かった気がする……ていうか一期、座ったら?」
そう促す陽菜に一期は、いえ、と首を横に振ると、何を思ったのか襖に手をかけた。
「何処か行くの?」
「ええ、少し。弟たちが頑張っているというのに、私だけ何もしない訳にはいきません。外に行って参ります」
質問にそう答えた一期の言葉で、ピン!ときた陽菜は「じゃあ私も」と言って立ち上がる。
「主、仕事は……」
「そんなもの後でも出来ます!家族優先!」
さあ行こう!と自分より先に部屋を出て外に向かった陽菜を、一期は慌てて追いかけるのであった。
──数時間後……夕方になり、池田屋から本丸へと帰城した薬研たち短刀編成部隊は、乱と五虎退の二振が重傷を負っていた。
「乱!五虎退!嗚呼、なんてことだ……早く手入れ部屋に!」
「いち兄、取り乱し過ぎだって。大将の方が落ち着いて……、……ん?」
言いながら陽菜に顔を向けた薬研だったが、彼らの主は全身真っ白になり立ったまま気絶している。
「おーい、大将ー?」
薬研が呼び掛けながら、ひらひら、と眼前で手を振ってみる……が、陽菜は何の反応も示さない。
「……駄目だな。完全に気ぃ失ってる」
「そ、そんなに……僕と乱が重傷を負ってたのが、えっと……“しょっく”、だったのかな」
覚えたばかりの言葉を使ってそう言った五虎退に、だろうな、と薬研が溜め息を吐きながら同意する。
「とりあえず、乱と五虎退は手入れ部屋に行って来なさい。主の方は私が何とかするから」
一期にそう言われた二振は「はーい」と返事をして、薬研と共に手入れ部屋に向かった。
「前田、秋田、平野。お前たちは先に部屋に戻って、ゆっくり休みなさい」
「はい。分かりました」
「いち兄。またあとで」
と、それぞれに返しながら、弟らが自分たちの部屋へと戻って行くのを見送ったあと、一期は未だに気絶中の陽菜に声をかける。
「主?主、お気を確かに。……失礼致します」
何も反応がないのを見て埒が明かないと思ったのか、そう断りを入れてから一期は陽菜をお姫様抱っこして、本丸の主の部屋へと運ぶのであった。
──その道中、長谷部と鉢合わせてしまった一期が後で散々あれこれ言われたことは、言うまでもない。
親バカ主と兄バカ男士
(成長は嬉しいけど、やっぱり怪我はさせたくないよ)
(薬研。乱と五虎退の手入れは終わったか?)
(ああ……って、いち兄どうした。疲れた顔してんな)
(少しだけ、主のことで精神的な軽傷を負ってしまって……)
(……長谷部か)
2017.04.07
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