【へし切長谷部】特別
この本丸に来てから、長谷部はずっと近侍だった。
どんなに酷い傷を負おうとも、主は絶対に長谷部を近侍から外すことはしなかった。
当然だ、長谷部は思う。
主とは今までに幾度となく契りを交わしていたし、実際、その最中に「貴方じゃなきゃ嫌」と言われたのも一度ではなかった。
他の奴とは違う、二人だけの関係────そんな甘美な響きに、長谷部は一人優越感に浸る。
主にとって、俺は「特別」なのだ。
そんなある日の事だった。
同じく一軍で戦っているにっかり青江が重症を負った。
長谷部をはじめとする他の刀達は軽症で済んだ為、先に手入れを済ませて戦力に戻るよう指示された。
しかし、それにより手伝い札は使い果たし、資材は底をついていた。
青江を手入れするだけの分はもう残っていないだろう。
やむを得ないと判断した主は、長谷部を遠征部隊の隊長に任命した。
遠征出発前、職務室を去ろうとする長谷部を見送る主は不安げな表情を浮かべていた。
長谷部はそんな主の手を取ると、甲にキスをして囁く。
「お任せ下さい。最良の結果を、主に。」
どんなに酷い傷を負おうとも、主は絶対に長谷部を近侍から外すことはしなかった。
当然だ、長谷部は思う。
主とは今までに幾度となく契りを交わしていたし、実際、その最中に「貴方じゃなきゃ嫌」と言われたのも一度ではなかった。
他の奴とは違う、二人だけの関係────そんな甘美な響きに、長谷部は一人優越感に浸る。
主にとって、俺は「特別」なのだ。
そんなある日の事だった。
同じく一軍で戦っているにっかり青江が重症を負った。
長谷部をはじめとする他の刀達は軽症で済んだ為、先に手入れを済ませて戦力に戻るよう指示された。
しかし、それにより手伝い札は使い果たし、資材は底をついていた。
青江を手入れするだけの分はもう残っていないだろう。
やむを得ないと判断した主は、長谷部を遠征部隊の隊長に任命した。
遠征出発前、職務室を去ろうとする長谷部を見送る主は不安げな表情を浮かべていた。
長谷部はそんな主の手を取ると、甲にキスをして囁く。
「お任せ下さい。最良の結果を、主に。」
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