LIGHT BLUE
県大会は、後輩たちの応援に行く3年生も多い。亘は、山岡くんと一緒に来ていた。というか、山岡くんの実家のあるさくら市での開催なので、2人は前日お泊まりしていた様だが。
広夢「女子のとこチラ見ばっかして。正直、後輩の応援よりも彼女応援したいって思ってるだろ」
亘「バレた?しかもまだ今日会ってないし。タイムテーブル見たらまだまだっぽかったけど」
広夢「女子のとこ回ってみる?会えるかもよ?てか見てみたいかも。俺見たことない、亘の彼女」
亘「そうだっけ?でも誰に見られたことあるかも覚えてないや」
亘の彼女は、一つ下で、地元明峰北高校の女子ソフトテニス部。今大会も出ています。
というわけで、女子側に行くことに。
亘「あ、意外とすぐ近くにいた。」
広夢「どれどれ?」
亘「そこの白着てる人たちが明峰北で、左から2番目」
広夢「あー分かった。思ってたけど亘と似てるよね、見た目」
亘「それ結構言われるんだけどそう?」
広夢「なんかいつも、彼女との写真見てて似てるなーって思ってる。」
亘「乙也とかにも言われたなそれ」
そして更に近くまで行く亘くん。
栞「ちょっとまって、県大会行かないって言ってたよね?」
亘「俺も一昨日までは行くつもりなかったけど慎吾のせいで行かざるを負えなくなった」
栞「なるほど。試合見ないでよ、恥ずかしいから」
亘「いやいや、せっかくだから見る。」
栞「いやー。明峰のレジェンドに試合見られるのは恥ずかしいなー。」
そこで栞ちゃんのチームメイトは、「あ!彼氏登場じゃん!」なんて騒ぐみなさん。
栞「てか月曜日帰ってくるんでしょ?」
亘「ていうか明日大会終わったら慎吾の親が送ってもらう」
栞「そうなんだ。てか明日もいるの?」
亘「うん。高校の友達の実家に泊まらせて貰って。」
栞「あーなるほどね。とりあえず明後日楽しみだね」
亘「月曜日久々にジュニアのメンツ集まるから楽しみだわ。」
亘たち明峰ジュニアのメンバーは、彼ら世代はほんの数人しかいなかった。今は当時の倍くらいの人数はいますが…。
ちなみに月曜日と火曜日は祝日なので、少しだけ帰省するみたいな亘くん。栞ちゃんともお泊まりの予定もあるようだ。
亘「はい、これ差し入れ。試合頑張れよ」
栞「え、ありがとう。」
亘はさりげなく、差し入れという形で、飲み物とグミを栞ちゃんに渡した。それも、栞ちゃんの好きなものだ。流石彼氏、分かってますね。
とりあえずそんな風に話して、一旦その場を離れた。
広夢「見てるだけで楽しかったわ」
亘「いつもみんなに言われるそのセリフ」
広夢「じゃあみんな思ってんだわ」
亘「栞が試合始まったら俺女子のとこ行くわ」
広夢「じゃあ着いてく」
亘「何でよ」
広夢「面白そうだから。彼女を応援する亘なんて多分今日しか見れないよ」
亘「そういうこと?でも確かに今日しかないよな。」
広夢「でも亘は本当にすごいなーって思う。滅多に会えないのにこんなにデレデレで」
亘「デレデレって言うな。」
広夢「だって本当の話じゃん」
亘「でも滅多に会えないからこそ、っていうのはあるかもしれないね。あと意外と自分って遠距離向いてるんだって実感する」
広夢「まあ向いてなかったら続いてないとは思うけどな」
亘「結局はね。」
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