LIGHT BLUE
北春日で開催の国体予選の遠征中の、初日の夜のことでした。
この日は、現メンバー全員での遠征最後の夜と言うことで、ホテルの宴会場で食事なのだ。
朱哉「そういえば先輩、」
駿芽「ん?」
朱哉「最近また女っ気あるってまじですか?」
駿芽「いや、どこから聞いたんやその話」
朱哉「あ、マジなんですね」
駿芽「…うわ、ハメられた。マジだけどどこから聞いたのって」
朱哉「えっとー、」
と朱哉が目を向けたのは、1年生の海吏だった。
海吏「俺のせいにするんですかあ?!」
朱哉「とは言ってない」
駿芽「結局なんで知ってるのって」
海吏「明洋高校のとある後衛ですね」
駿芽「松江彩太か」
海吏「バレるのはやっ」
駿芽「あいつ知ってるもん、目撃者だから」
松江彩太というのは、明洋高校の2年生の後衛さん。江南北中出身で、駿芽の一つ下の後輩、海吏の1つ上の先輩。彩太が主将の時に団体で全中出場もしていて、高校でも1年生から大活躍している。
海吏「それで俺と朱哉先輩と青葉と3人で遊んだ時、松江先輩に会ったんですよ」
朱哉「それで彩太が、駿芽先輩どうなってるの?って俺たちに聞いてきたけど、特に俺たち何も知らないから逆にこっちが ん?みたいな感じでした」
駿芽「ああ、まあそういう流れなのね」
朱哉「というか先輩、聞かれないと絶対言わないですよねこういうの」
駿芽「ってか青葉も知ってるんだって?」
と、近くにいた 青葉くん、連行されました。
青葉「え、どうしました?」
朱哉「この前松江彩太と会った時の話覚えてる?」
青葉「あー、それガチなんですか?」
駿芽「ガチだよ!」
朱哉「ということで青葉が今連行されたってわけ。」
と話をしていたら、周りの人が数人、寄ってくる。
徹也「そして何の話してんの?」
駿芽「寄ってくんなバカヤロウ。帰れ」
徹也「酷っ、」
睦巳「女っ気あるってマ??」
駿芽「そうやって人が集ってくるー、話さねえからな」
睦巳「俺ん時あんなに強制的に質問攻めされたのにね。そうやってね」
近くにいた、というか先程まで駿芽と一緒にいた3年生の一部も、集ってきたようだ。
朱哉「ってことで駿芽先輩が女っ気あるそうです」
徹也「誰なの?」
海吏「駿芽先輩の元カノさんです」
睦巳「どの元カノよ」
駿芽「どの元カノでしょーか」
徹也「うわあそうやって焦らしてくる」
朱哉「ヒントはー、明洋高校のー、」
睦巳「相沢瑞名?」
海吏「まさかの即答」
駿芽「こいつ知ってるもん、俺の高一の時の話。あとこいつも知ってる」
と、駿芽に指を差される徹也と睦巳。
青葉「てか少年団同じでしたっけ、」
駿芽「少年団と、あと小学校も一緒。中学で離れたけど、でも実は俺ん家って中央中の地域なんだけど、俺がテニス部入るために北中に越境通学してただけで、本当なら瑞名と同じ中学だったんだよ。」
海吏「というか北中の男子大体そうですよ」
駿芽「海吏はそもそも北中行くために引っ越してきた人だけどね」
海吏「でも皆人とか、あと高崎先輩もそうですよね」
駿芽「中央中に男テニがないからね。」
そう。駿芽は本来は、江南中央中に通うべき人だったのだが、ソフトテニス部に入るために、江南北中への越境通学をしていたのだ。ちなみに、駿芽だけではないけどね。
徹也「というか駿芽って前まで振られた側だよね?」
駿芽「そう!なのに今になって好きだって来たんだよね。」
睦巳「後々になって気持ちに気づいた、とかそういうのかな?」
駿芽「いやまあ、あの時は俺の接し方が乱暴だったのが1番悪いと思うけど」
朱哉「流石手出すの早い人ですね」
駿芽「お前に言われたくねえ」
青葉「というか手出すの早い人多いですよねこの部活」
海吏「お前もだよ。少なくともここの徹也先輩以外はそうではないかと」
睦巳「あ、俺も含まれてるのね」
駿芽「睦巳が含まれるのは当たり前でしょうが。」
徹也「付き合って2週間でヤった男」
朱哉「でも2週間はまだ可愛く見えてしまう」
徹也「って思ったらこの部活全体的にもうダメだ」
まあ、付き合う前に一線超えてしまう人もいれば何やらいますからね…。
駿芽「って考えたら星の里ソフテニってやっぱそういう、エッチな面でクズ男ばっかだな」
睦巳「飛鳥くらいじゃんいい男」
駿芽「正直ね。乙也と岳人はすぐ手出すところ以外は完璧だと思うけど」
青葉「みんな欲求不満なんですね?」
海吏「お前もな青葉」
青葉「へへへ」
駿芽「1年生で童貞捨ててる奴って青葉だけ?」
海吏「今のところはそうかと思いますね、」
朱哉「あれ、海吏ってまだ?」
海吏「まだですよー。そういう段階に踏み込む前に別れましたからね」
徹也「てかそれならこのメンツ唯一童貞じゃない?」
海吏「あっ…そういうことに気づいちゃダメですよ先輩」
睦巳「大丈夫だ、まだ1年生だから期待がある。」
駿芽「てかそもそも童貞少ない方がおかしいんだよ」
と駿芽の言葉に、確かにと思う皆。
朱哉「そういう駿芽先輩は、相沢さんとはどこまでしたんですか」
駿芽「ご想像にお任せします」
徹也「おっとー、これは」
海吏「ご想像にお任せしますっていう人は大体もうやっちゃってる説」
青葉「確かに言われてみれば」
駿芽「てか俺が瑞名相手にしない訳がないわ」
徹也「やっぱ好きなの?」
駿芽「このままだったら多分また好きになりそうだなーって。1番後悔している相手だし、ここまで来たらやり直したい気もするし。でも2度も振られた相手に今更、という部分もある」
朱哉「複雑ですね」
駿芽「本当だよ。でも過去の事に関しては俺は振られても当然なことしかしてないから俺のせいでもあるよ。俺も結構クズだからね」
過去に好きだった女の子、駿芽にとっては初恋の女の子。また、やり直せる機会があるのかどうかは、駿芽本人も、自分次第だと言っている。
徹也「てか愛結先輩はもういいの?」
駿芽「もういい。別に未練も何も無い。」
海吏「言い切ってるあたり差が」
駿芽「俺ができることは全てやったもん。」
駿芽は4月まで年上の彼女がいたんだが、別れてしまったんですよね。
徹也「初恋の人か…。初恋の人と付き合ったって人どれくらいいるんだろうね」
朱哉「俺はそうですね、」
青葉「俺も付き合ってる人は初恋の人ですね」
海吏「俺は付き合ったけど振られました」
睦巳「ここだけでも色々といるな」
駿芽「そういう徹也は?」
徹也「中学までの俺だったら自分からアプローチとかできてなかったし、相手中学の時ずっと彼氏いたし」
睦巳「あ、初恋の人は別にいるんだね」
徹也「そう。でも何も無かったから逆に、今でも普通に仲良い幼なじみ、みたいな感じ。北春日商業のテニス部だから、よく大会で会って話す」
駿芽「ああ、あの背高い?」
徹也「そう。たまに俺の親とも話し込んでる」
朱哉「北春日商業のテニス部の人なんですか?」
徹也「うん。そして少年団も一緒だし、ずっとテニスやってるよ。今1番手かな?」
と、徹也は初恋の女の子の、インスタを見せた。
駿芽「ああ、思い出した!大内菜緒子ちゃんだ!」
徹也「そして昔は俺よりも背高かった」
駿芽「…が、徹也の初恋なんだ…」
青葉「徹也先輩って美人な人がタイプなんですか?」
徹也「いや別に意識はしたことないけど…」
海吏「でも今の彼女さんも美人さんですよね」
睦巳「まあ可愛いか美人かって言われたら美人系統ってことじゃない?」
徹也「って言われてみればそうなのかもね」
朱哉「逆に駿芽先輩の好みは可愛い系統なのかもですね」
駿芽「かも、じゃなくてそうだわ。」
海吏「流石アイドルオタク」
駿芽「それ関係ねえ…いやあるか」
駿芽って実はこう見えて、あるアイドルグループが大好きなんですよね。
徹也「1年生に言っとくけど、今のうちだからな、3年の恋バナいっぱい聞けるの」
睦巳「そうだ??もっと3年に聞きたいことは今のうち聞いとけ?」
青葉「はーい。じゃあ睦巳先輩の話聞きたいです」
朱哉「たしかに俺もあんまり聞かないです」
睦巳「意外と話してなかったんだな後輩たちに。」
駿芽「ぶっちゃけ相手もテニス部じゃないしね、今は」
睦巳「今は、ね。でも俺の彼女、中学の時の萌優のペアだから」
海吏「そうだったんですか?!」
睦巳「だから割と結構知ってる人は知ってる、って感じかな。俺らの世代では。県大会も出てたしね。でも高校では昔から習っているダンス続けるって言って、テニスは続けてないけど」
青葉「どこ高でしたっけ?」
睦巳「東陵学園。」
と話していると、横から更に、話に入ってきた人がいる。
健一「俺の彼女と睦巳の彼女仲良いよ」
睦巳「うわ出た、」
健一「ちなみに俺、睦巳の彼女とスタジオ同じだから、ダンスも」
海吏「凄い繋がりですね」
睦巳「本当な。」
健一くんが話に入ってきたようだ。今まで近くで空真たちと喋っていたが、睦巳の話をちら聞きして、入ってきたようだ。
海吏「じゃあ健一先輩から見て、睦巳先輩たちカップルってどんな感じなんですか?」
健一「んー、色々な意味で大人だなとは思う」
睦巳「どういう意味」
駿芽「睦巳すぐ手出すから?」
健一「それもあるけど。」
睦巳「それもあるんかい」
健一「でも、考え方もしっかりしてるなって、この前とか俺の中学の奴がお騒がせしちゃったけど、対応とか考え方とか大人だなって思って俺たちも見習おうね、って奈緒と話してたくらい」
徹也「ああ、彼女の元彼の件は大丈夫だったの?そういえば」
睦巳「それは大丈夫。」
朱哉「なんかあったんですか?」
睦巳「…まあ、彼女が元彼と付き合ってた頃の恥ずかしい写真とか流出されてて、それで元彼と話し合っているところが他人に見られて撮られて、東陵で騒ぎになったっていう話。」
健一「それでなんか俺と奈緒も巻き込まれたんだけどね」
睦巳「その節は本当にお世話になりました」
今月の中頃くらい、だから結構最近なんだけど、睦巳の彼女の志麻ちゃんが、2年生の時に付き合ってた元彼との写真が、今更流出していたようだ。
駿芽「それってその元彼が流出させたの?」
健一「流れたのはそこから。で、志麻の元彼の…セフレ?みたいなもんだよねあの人。」
睦巳「そう。それで元彼さんの過去の携帯にその志麻のデータが入ったままで、そのセフレの女がそれを持ち帰って、そのまま流出させた。」
海吏「結構酷いこと起きてたんですね」
睦巳「結構ね。でも俺は別に、過去のことに口出そうも仕方ないことだし、ただ志麻が心に傷負わなきゃ良い、それだけなんだけどね」
朱哉「まあ紫音の元カノが酷い仕打ちされたせいで変わって紫音との関係も切っちゃったっていう例もありますからね、怖い」
健一「まあ志麻はそんな心配なかったな、今回の件は」
睦巳「でも最後まで泣いてたけどね。でも色々と話して、俺たちまだこれからだし、頑張ろうや、ってことで」
睦巳くんも、色々と苦労はあったようだが、彼女のことを信用して、これからも頑張ると言っているようだ。
駿芽「本当にこの部活の奴ら色々とあるよな。酷い例も増えてきた」
徹也「逆に何も無いほうが怖くなってきた」
青葉「徹也先輩たちって喧嘩とかしたことあります?」
徹也「いや、ない。」
睦巳「尊敬中の尊敬だよね」
青葉「本当にまともですよね、さっきの話じゃないけど」
健一「まあ確かに徹也たちは喧嘩する理由もまだ生まれたことがないってことかもしれないし、これからどうなるか、ってのはあるかもね。」
駿芽「でも徹也も唯香ちゃんも2人とも自分の意見ハッキリ言う人じゃないから、自然と争いが生まれないのかもしれないし」
青葉「我慢とかしてるっていう訳ではないんですよね?」
徹也「まあ、ちょっとだけだよ、ちょっとだけ」
でも結局は、ちょっとでも相手に思うところはあるようだ。そういうものです。
海吏「まあ逆に何も思わないほうがすごいですけどね」
朱哉「ずっと一緒にいる限り、相手の悪い部分も見えてくる訳だし。でも徹也先輩は部活でもそうですけど、人の悪いところを悪く言わないというか、むしろポジティブに考えてくれるから、徹也先輩の性格が素晴らしいってことなんでしょうね」
徹也「そういえば俺、朱哉に色々と言ったよね」
朱哉「昨年の校内試合の時の話ですよねあれ。」
睦巳「でも言いたい時はガツンって言ったほうがいいよね」
駿芽「それで我慢してその後嫌な思いするよりはね。」
健一「喧嘩して、そこでサヨナラ、だったらそれまでの関係だし、そこで成長できるならよりよい関係になれるってことだからね。」
青葉「やっぱり先輩の言葉はすごい…」
海吏「俺達も良い恋愛ができるように頑張ります!!」
ってことで、沢山恋バナをした皆さんでした。
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