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スタンリー・ハムニカ(はむ様)

*    *    *

 ぽっかりと、意識に灯が点った。眠っていた訳でなく、開いたままだった瞳に唐突に見慣れた顔が映る。その顔は、しとどに泣き濡れていた。

「……エリック……? ここ、天国?」

「人間界だ。俺たち、助かったんだ、アラン!」

 俺たちは苦しいくらい抱き締め合って、痛いほどにキスをして、夜が明けるまで愛し合った。セミダブルのベッドの中できゅうきゅうに引っ付いて眠りに落ちる直前、ふと枕に、微かに血がついている事に気が付いた。

「アラン?」

「ん……?」

 アランも目も開けていられないほど疲れ切っているのに、まだ名残惜しそうに俺の唇に人差し指で触れている。

「血がついてる。怪我、したか?」

「してない。それは、ブラバットの……血だよ……俺、幸せ。エリック……おやすみ」

 そう言って、アランは規則正しい寝息を立て始めた。寝息は、伝染する。

「ああ……俺もだ。アラン……」

 俺も呟いて、眠りの淵に落ち込んでいった。二人ぼっちの幸せが、始まる。

End. 
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