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スタンリー・ハムニカ(はむ様)

オマケ。

「エリック、上手くやったね」

「スタンリー課長!」

 服以外に興味のないスタンリーが、他の課に顔を出す事は珍しい。エリックは仰天して腰を浮かせかけ、回転椅子がガタタと鳴った。

「どうしたんですか?」

「君、アランを手に入れただろ」

「は?」

「服を取りに来た時、キスマークがついていた」

 エリックはやや声を高くする。

「そんな筈ありません! つくとしたら、そのあとで……!」

 くくっ。スタンリーは、彼独特の笑い方をした。

「あっ……」

 カマをかけられた。そう気付いた時には、もう遅くて。スタンリーは、トレードマークの長い銀髪をかき上げた。

「君が本当の本当に、誰かに心奪われるなんてね。大切におしよ。アランは、魂の審査で救われる、〇.〇一%の魂だ」

「え?」

「いや。何でもない。とにかく、君が守ってあげる事だね」

 そう言って、ふいとスタンリーは姿を消した。

「魂の審査……?」

 エリックが疑問符を上げている頃、スタンリーは携帯で何者かに連絡を取っていた。きっかり二十コール目で、応答がある。

『なんだぁい。小生は今、お客さんを綺麗にするのに、忙しいんだけどねぇ』

「救うべき〇.〇一%の魂を見付けましたよ。イレギュラーな死に方をする、死神です」

 途端、携帯の向こうの声はウキウキと調子を弾ませた。

『へぇえ。そいつは楽しみだね、ヒッヒッ……』

「時期がいつ頃かは、分かりませんが」

『いつだっていいさ。小生たちの命は、永遠だからねぇ』

「では、その時にお会いしましょう。……兄さん」

『ヒッヒッ……』

 携帯越しの声は、新しく犠牲になる人形を見付けた子供のように、何処か残酷な響きでいつまでも楽しそうに笑っていた。

End. or Continued...
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