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レイラ・ローズ(レイラ・ローズ様)

【BURN/前】

「あーっ!駄目だ!堪えらんねぇ!!」

そうエリックが叫んだのは、NEW YEARになってから半日、12時ジャストの事だった。エリックとアランは、今日未明に勃発したテロリズムに対する報復空爆の死亡予定者の魂を、派遣協会から緊急呼び出しを受けてから、ひたすら狩り続けているのだった。

ウィリアム・グレル・ロナルドの三人は、同時多発テロの方の指揮に当たっている。空爆の方を、エリックとアランが任されたのだった。

だが大規模な空爆で、死亡予定者が建物の下敷きになっていたり、時間が経つにつれて対象者が増えていったりと、遅々として回収は終わらない。不良死神のエリックがイラつくのも無理はなかった。おまけに、もうひとつの理由が──。

「エリックさん。余計な事は言わないでくださいよ!」

焦燥の色を濃くしたアランの声音が、言葉尻を捉えてかき消すように叫び返す。そのうなじはほんのりと、まだ咲かぬ桜色に染まっていた。周囲に幾人かいる派遣員には気付かれなかったが、エリックもアランも、等しくもどかしい思いを抱えていた。

今朝未明、エリックとアランはベッドの中にいた。これ自体に不思議な事はない。だがその状況は。

「あ、あぁん、イイっ、エリックっ、イく…っ!」

「ああ。俺もイキそうだ…っ一緒にイこうぜ、アラン」

繋がった箇所がグシュグシュと濡れた水音を立て、エリックの腰の動きが速くなる。アランが、嬌声を高くした。

「あん、や…っ!エリック…!!」

「アランっ…!!」

そこへ。

──トゥルルルルル…。

「「?!」」

二人がまさに絶頂を迎える寸前、サイドテーブルに並べてあった携帯が鳴ったのだった。鳴っているのは、エリックの携帯だけだ。NEW YEARコールにしては遅過ぎるし、エリックにはNEW YEARコールをするほど親しい死神は、今組み敷いているアラン以外にはいなかった。

「あ…!」

いまだ萎えぬ自身をアランの中に留めたまま、エリックは素早く電話に出て、ゆっくりと腰を使いながら話す。アランは、漏れそうになるハスキーな声を両掌で自ら塞いで、その物足りない刺激に堪えていた。

「…んっ…!」

「こんな夜中に何の用だ」

『アラ、ご挨拶ネ。まずは「HAPPY NEW YEAR」じゃなくて?』

受話器の向こうで、グレルの真っ赤な長髪と笑みが揺れるのが目に浮かぶ。しかしエリックは、取り合わず端的に用件を切り出した。

「緊急か?」

『ご名答ヨ』

「ぁっ…!」

猛ったままのエリックの雄が引き抜かれ、アランは涙声を滲ませる。燃える下肢の感覚はそのままで、絶頂への最後の刺激を求めて、アランの爪先が儚く空をかいた。

「死亡予定者数は?」

『当直の死神が二十人くらい狩ったらしいけど、ぜぇんぜん足りないみたい。予想では二千人を越えるんじゃないかって、ウィルが…』

「ウィリアムさんと一緒なのか?」

『NEW YEARの夜ヨ、当然グギッ』

何かに小突かれたような苦鳴が返ってきて、エリックはその真を確信する。エリックも熱を持て余したまま、眼下のアランの頬をゆるりとひとつ撫でて、話を纏めようとした。

「分かった。十分で現地に行く。仔細はメールしてくれ」

『了解DEATH★アランも聞こえてるワネ?『姫初め』邪魔しちゃってごめんなさいネ、オ~ホッホ…』

ブツリ。エリックはなるべく邪険に、思い切り終話ボタンを押した。バレてるとは思っていたが、声高にアランにも聞かせられ、腹が立ってすっかりムスコは萎えてしまっていた。

アランはバレていないと頑なに信じていたので、携帯から漏れ聞こえたグレルの声に混乱していたが、ピンクに脈打つ花芯はまだ勢いを失っていなかった。エリックは、素早くずり下がってそれを口に含む。

「えっ?!エリッ…あ、あぁ…っ!!」

ギリギリだったアランの絶頂は、湿った口内に強く吸われて、呆気なく終わった。しかし、エリックに開発されきった蕾が、まだ彼を求めてヒクついている。肩で喘ぐように呼吸しながら、アランはくぐもった涙声を漏らした。

「エリック…緊急?」

「ああ。二千人規模だそうだ。シャワー浴びるぞ、アラン」

「う、うん…」

散々焦らされ、蕾は教え込まれた通り従順に花開き始めていた。だが、そんな事をしている暇はない。エリックに担がれるようにしてシャワーをざっと浴び、二人はスーツに着替えて、メールで指示された地区へ急行したのだった。

「クソッタレが…!」

熱の上がる身体を持て余しながら、エリックが毒づく。辺り一面は焦土で、人間には聞こえぬ怨嗟のようなシネマティックレコードの立ち上る音が蔓延していた。それを次々と狩っていく。

「スノウとルーナは右へ回れ!クロ、シュリム、アリスさんは左だ!」

エリックが回収課員に、的確に指示を出していく。

「レイラさん、危ないっ!!」

「キャッ」

立ち込める粉塵で薄暗く、一瞬見失っていた彼女に一本のシネマティックレコードが牙をむき、アランが体当たりするようにしてそれを寸での所でかわす。

「大丈夫か!」

「はい、俺もレイラさんも無事です!」

二人は阿吽の呼吸で連携し、13時までには回収を終えたのだった。
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