サシー・バウンダリー(月読様)
【prophetic dream】※R18※
「んっ…ふ…」
濃厚な口付けの隙間から、吐息が零れ落ちる。一糸纏わぬ姿で、エリックとアランはベッドの上で指を絡め合っていた。角度を変える度にアランは鼓動を高鳴らせ、先を求めて絡めた指に力を込める。
「アラン…もう欲しいのか?」
エリックが口付けをやめ、間近に上から囁く。笑みを含んだ黄緑の瞳が、快感に潤んだ同じ色の瞳と合って、片頬も上げた。
「エリック、意地悪…早く…」
アランが焦れて、我知らず腰を揺らす。二人の欲望はすでに硬く育って、身動きするたびに触れ合い、いっそう興奮を高めていた。二人分の先走りが、とろりと溢れてアランのしなやかな腹筋からヘソに溜まる。
「ぁんっ…」
柔らかくエリックがアラン自身を握る。だがそれだけで、エリックは掌を動かそうとはしない。
「ほらよ。自分で動いてみろ」
「エリック…!」
もどかしい快感に、アランが非難の声を上げるが、エリックは苦みばしった笑みを見せたまま、軽く唇を啄ばむだけだ。
「気持ちよくなりたいんだろ…?アラン」
「あっ…」
耳元で甘く台詞を吹き込まれ、ビクリと肩を竦める。その動きで腰がやや引かれ、エリックの掌からアランがツルリと滑った。
「やぁんっ…エリック…!」
快楽を追い始めたら、あっという間に羞恥は消えた。アランはもう躊躇いなく、エリックの掌の中で欲望を注挿する。先走りでぬめり、出し入れする度にヌプヌプと濡れた音がやけに大きく耳を打った。
「エリック…エリック!」
ベッドの軋む音で我に返った。腰は名残に揺れていたが。
「…あ…」
羞恥が頬に灯るが、止めるにはもう遅く、アランは腰を振り続けた。でも、空しく自身が張り詰めるだけで、一向に絶頂は得られない。
「エリック…」
額に汗の珠を光らせ、五分ほど経ってからアランは、呟いてベッドに身体を投げ出した。上がった息を整える。
「ふ…ぅん…」
細く開いたカーテンの隙間から、上ったばかりの早朝の朝陽がアランを照らしていた。アランだけを。
時計のデジタル表示は、まだ四時過ぎ。起床には随分と早い時間だが、身を焦がす熱には勝てなかった。アランはパジャマを脱ぎ散らしながら、バスルームへ向かう。
いつからだろう。こんな風に、エリックを夢見るようになったのは。そして、こうして自分を慰める事を始めたのは。エリックと出会うまで、こんな行為をした事はなかった。
火照った身体に冷たいシャワーを浴び、夢見た通り、自身を握る。
「あ…エリック…っ!」
腰を大胆に振りたくり、夢の続きを実現させる。
「あ、あっ…イくっ…!」
ゴツゴツとしたエリックの大きな掌の感触を思い出すと、あっという間に上り詰めて、白蜜がバスルームに飛び散った。
* * *
ここ一ヶ月、毎日のように早朝に目が覚めてはバスルームへ直行する生活を送っている為、睡眠が必要な死神としては、流石にアランは疲れきっていた。だが仕事に対する責任感はヒト一倍なので、けっして遅刻はせず眩暈を抑えてデスクに向かう。
絶対的に睡眠時間が足りていなく、居眠りでもして体力を回復出来れば良いのだろうが、夢の中のエリックがフラッシュバックして、眠気も来ない。日に日に、憔悴していくばかりだった。
「おはよう、アラン」
聞こえは悪いが、言ってしまえばその『元凶』が、明るい声音をかけてくる。そして、顔を覗き込むように近付けて、耳元で囁くのだった。
「どうした、アラン?顔色が悪いぞ」
「何でも、ありません」
エリックを性の対象として見ている己を恥じ、アランは若干顔を背けてギクシャクと答える。
「でもここんとこ、元気ないじゃねぇか。何か悩みがあるなら、相談にのるぞ?」
(悩みの種に、言える訳ない…)
「いえ、大丈夫です。ちょっと、寝不足なだけです」
「あー!お前、遅刻した事ねぇよな。眠いなら、少しくらい遅刻したって、協会は潰れねぇよ」
そう言って、ふわりとブラウンの頭を撫でる。ゾクリとした感覚が鮮やかに蘇って、アランは慌てた。
だがエリックは、アランには幸いな事に、それには気付かず片掌をひらひらさせた。
「じゃ、回収行ってくるな。アランは、今日付けの報告書を頼む」
「あ、はい。行ってらっしゃい」
「おう」
エリックは、デスクワークを嫌う為、殆どの報告書をアランに任せて、回収だけをやっているような状況だった。アランも一緒に回収に出た時だけ、申し訳程度に手伝うのみだ。しかし今は、それが幸いしているのには、間違いない。こんな体調で回収に出ては、実技評価トリプルAのエリックの足手纏いになるだけなのは、目に見えている。
エリックに触れられた頭を中心に、身体が疼いて、アランはため息をついた。熱の上がる顔を見られたくなくて、席を立つ。ちょうど、報告書に必要な資料を、資料室に閲覧しに行くという口実があった。
「んっ…ふ…」
濃厚な口付けの隙間から、吐息が零れ落ちる。一糸纏わぬ姿で、エリックとアランはベッドの上で指を絡め合っていた。角度を変える度にアランは鼓動を高鳴らせ、先を求めて絡めた指に力を込める。
「アラン…もう欲しいのか?」
エリックが口付けをやめ、間近に上から囁く。笑みを含んだ黄緑の瞳が、快感に潤んだ同じ色の瞳と合って、片頬も上げた。
「エリック、意地悪…早く…」
アランが焦れて、我知らず腰を揺らす。二人の欲望はすでに硬く育って、身動きするたびに触れ合い、いっそう興奮を高めていた。二人分の先走りが、とろりと溢れてアランのしなやかな腹筋からヘソに溜まる。
「ぁんっ…」
柔らかくエリックがアラン自身を握る。だがそれだけで、エリックは掌を動かそうとはしない。
「ほらよ。自分で動いてみろ」
「エリック…!」
もどかしい快感に、アランが非難の声を上げるが、エリックは苦みばしった笑みを見せたまま、軽く唇を啄ばむだけだ。
「気持ちよくなりたいんだろ…?アラン」
「あっ…」
耳元で甘く台詞を吹き込まれ、ビクリと肩を竦める。その動きで腰がやや引かれ、エリックの掌からアランがツルリと滑った。
「やぁんっ…エリック…!」
快楽を追い始めたら、あっという間に羞恥は消えた。アランはもう躊躇いなく、エリックの掌の中で欲望を注挿する。先走りでぬめり、出し入れする度にヌプヌプと濡れた音がやけに大きく耳を打った。
「エリック…エリック!」
ベッドの軋む音で我に返った。腰は名残に揺れていたが。
「…あ…」
羞恥が頬に灯るが、止めるにはもう遅く、アランは腰を振り続けた。でも、空しく自身が張り詰めるだけで、一向に絶頂は得られない。
「エリック…」
額に汗の珠を光らせ、五分ほど経ってからアランは、呟いてベッドに身体を投げ出した。上がった息を整える。
「ふ…ぅん…」
細く開いたカーテンの隙間から、上ったばかりの早朝の朝陽がアランを照らしていた。アランだけを。
時計のデジタル表示は、まだ四時過ぎ。起床には随分と早い時間だが、身を焦がす熱には勝てなかった。アランはパジャマを脱ぎ散らしながら、バスルームへ向かう。
いつからだろう。こんな風に、エリックを夢見るようになったのは。そして、こうして自分を慰める事を始めたのは。エリックと出会うまで、こんな行為をした事はなかった。
火照った身体に冷たいシャワーを浴び、夢見た通り、自身を握る。
「あ…エリック…っ!」
腰を大胆に振りたくり、夢の続きを実現させる。
「あ、あっ…イくっ…!」
ゴツゴツとしたエリックの大きな掌の感触を思い出すと、あっという間に上り詰めて、白蜜がバスルームに飛び散った。
* * *
ここ一ヶ月、毎日のように早朝に目が覚めてはバスルームへ直行する生活を送っている為、睡眠が必要な死神としては、流石にアランは疲れきっていた。だが仕事に対する責任感はヒト一倍なので、けっして遅刻はせず眩暈を抑えてデスクに向かう。
絶対的に睡眠時間が足りていなく、居眠りでもして体力を回復出来れば良いのだろうが、夢の中のエリックがフラッシュバックして、眠気も来ない。日に日に、憔悴していくばかりだった。
「おはよう、アラン」
聞こえは悪いが、言ってしまえばその『元凶』が、明るい声音をかけてくる。そして、顔を覗き込むように近付けて、耳元で囁くのだった。
「どうした、アラン?顔色が悪いぞ」
「何でも、ありません」
エリックを性の対象として見ている己を恥じ、アランは若干顔を背けてギクシャクと答える。
「でもここんとこ、元気ないじゃねぇか。何か悩みがあるなら、相談にのるぞ?」
(悩みの種に、言える訳ない…)
「いえ、大丈夫です。ちょっと、寝不足なだけです」
「あー!お前、遅刻した事ねぇよな。眠いなら、少しくらい遅刻したって、協会は潰れねぇよ」
そう言って、ふわりとブラウンの頭を撫でる。ゾクリとした感覚が鮮やかに蘇って、アランは慌てた。
だがエリックは、アランには幸いな事に、それには気付かず片掌をひらひらさせた。
「じゃ、回収行ってくるな。アランは、今日付けの報告書を頼む」
「あ、はい。行ってらっしゃい」
「おう」
エリックは、デスクワークを嫌う為、殆どの報告書をアランに任せて、回収だけをやっているような状況だった。アランも一緒に回収に出た時だけ、申し訳程度に手伝うのみだ。しかし今は、それが幸いしているのには、間違いない。こんな体調で回収に出ては、実技評価トリプルAのエリックの足手纏いになるだけなのは、目に見えている。
エリックに触れられた頭を中心に、身体が疼いて、アランはため息をついた。熱の上がる顔を見られたくなくて、席を立つ。ちょうど、報告書に必要な資料を、資料室に閲覧しに行くという口実があった。