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リリス・ヴァイオレット(紫音様)

*    *    *

「はぁ…はぁ…」

明らかに息が苦しい。アランは、Yシャツもベルトも寛げ、ベッドの中で独り悶えていた。

「…あっ!」

寝返りを打った拍子に、だらりと投げ出された掌が自分自身に触れ、声が出てしまう。そこは、いつの間にか硬く育ってスラックスの前を押し上げていた。

「ぅ…ん…」

堪らずチャックを下げると、花芯が飛び出してくるほど猛っている。肩で息をつき、アランは鈍る頭で考えた。

(どうしよう、これ…でも、我慢出来ないっ…)

暑くて熱くて、アランはスーツの上下を脱いでしまう。シャツ一枚になって、シーツの中で自身を握ると、嬌声と透明な蜜が溢れた。目をきゅっと瞑ると、無意識に言葉が零れ落ちる。

「エリック…!」

夜毎愛される大きな掌を思い出し、震える手で動きを真似る。緩く早く、緩急を付けて花芯を扱くと、無意識に腰が揺れた。

「あ…エリック、もっと…っ」

アノ時の、エリックのセクシーでワイルドな顔が浮かぶ。

「っあ、あ、エリック、エリック、イく…っ!」

シーツの中で、アランの花芯から白い蜜が大量に飛んだ。独特の匂いが医務室に充満する。

「はぁ…ん…エリック…」

汗だくで、まだ納まらない熱を握り締めて呻く。

「アラン…?」

「!!」

自慰に夢中で気付かなかった。エリックが、呆然とした顔で目の前に立っていた。

「どうした、お前…」

アランは、羞恥と昨夜からの怒りに、背を向けてしまう。そんな姿に、エリックは殊勝に謝った。

「アラン、嘘を吐いたのは悪かった。けど誓って、浮気なんかしてねぇ」

「…んっ…許してなんか…あげないっ…」

掠れた震え声で、アランは強がるが、身体はいう事をきかない。意に反して、息が乱れる。エリックが近くにいるからこそ、尚更。

「アラン」

エリックは、横たわるアランの背中に、そっと手をかけた。

「あ…っ!や、エリック…!」

裏腹に、触れただけで艶めいた吐息を零すアランに、エリックはピンときた。

(リリスの奴だな…)

「アラン、リリス先生に何か薬だって飲まされなかったか。辛いだろう、こっち向け」

「やっ、だ…」

エリックは言葉に従わず、シーツを捲くり取った。熱い肌が外気に晒されて、アランが身震いする。

「アラン、今度からこういう時は、ちゃんと鍵してするんだぞ。あと、他人を信用し過ぎない事」

アランの息遣いが聞こえた時に、すでに医務室は施錠してあった。エリックはスーツの上着を脱ぐと、床に脱ぎ落とされたままになっているアランのスーツも、昨夜のように拾い集める。ハンガーにかけて皺にならないようにすると、ベッドの上で丸くなっているアランを両腕の中に閉じ込めた。

「アラン…」

耳元で低く囁く。

「あ…っ」

それだけで、達したばかりのアランの花芯は、ふたたび受精しようと頭をもたげた。言葉で幾ら強がっても、身体に力の入らないアランを仰向けにさせ、唇を奪う。と同時に、花芯を握っているアランの手の上からエリックも手を添え、巧みに扱いた。

「んんっ…ふ…駄目っ…」

角度を変える合間に、唇の隙間からは拒絶が漏れるが、身体は素直に悦んでビクビクと跳ねていた。

「や…イッちゃう…!」

「辛いだろ。イけよ」

言うと、アランの手を外し、直接エリックが花芯を握った。もどかしかった快感が、身体の芯が痺れるような愉悦に変わる。

「あぁっ…!エリック、イイっ…!イくっ…!!」

エリックに触れられている。そう思っただけで、あっという間に上り詰めて、白蜜が勢い良く散った。自慰の時とは比べ物にならない深い悦が、アランの思考を奪っていく。慣らされた身体と心は、エリックを求めて縋りついた。

「エリック、早く…!欲しい…」

自ら足を開いて、茂みの中の蕾をあらわにする。そこはもう、白蜜でぬめってヒクついていた。エリックが、ゴクリと喉を鳴らす。すぐにでも押し入りたい衝動を抑えて、中指と人差し指をきついそこへ差し込んだ。

「あ、指じゃ嫌っ…」

「ちょっと待て。慣らさないと痛いぞ」

二本の指で、内部を引っかくように刺激する。知り尽くしたイイ場所も、やや乱暴に抽挿して擦りあげた。

「や、エリック、が、欲しいっ…」

再び苦鳴にも似た喘ぎが上がり、エリックは耐え切れずに指を引き抜いた。抜かなければ一つにはなれないが、喪失感に思わずアランが不平の呻きを漏らし、その可愛らしさに、エリックは思わず頬を綻ばせた。

スラックスの前を寛げ、すでに先走りを零している雄を、アランに宛がう。彼を気遣ってさして力も入れなかったが、アランの方が積極的に動き、エリックはつるりと中へ導かれた。直後、内部が絡みつくように収縮してくる。

「アラン…っ」

エリックが余裕のない声で呼んだ。そんなエリックを、アランが自ら腰を振り、追い上げる。

「アラン、すげっ…。動いたら、すぐイッちまうぞ」

「良いよ、エリックの、いっぱい中に頂戴…っ」

とろけたアランの表情を眼下に、エリックは理性を飛ばした。激しく抜き差しすると、アランは歓喜の悲鳴を上げながら、その動きに追随する。

「愛してる、アラン…!」

「俺、もっ…!」

幾度も白蜜を飛ばしたが、アランの求愛は止まらず、終業近くまで二人は深く愛し合った。

失神したアランの身体をタオルで清め、シーツを取り替えてスーツを着せてやる。エリックも身支度を整え、殆ど手付かずの報告書を仕上げに、回収課へ戻った。
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