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ルーナ・ヴェルディ(月椿様)

その頃の、グレルとルーナ。

山ほどの団子を肴に、ワンカップを2人で10本以上は空けていた。泣き上戸のルーナに、笑い上戸のグレル、バランスが良いと言えば良い。

「可哀想ですっ…ひっく」

「まぁ~だそんな事言ってんの?呑んで忘れちゃいなさいヨ、もう」

「…そう言えば…ジャパンのお花見って、花の精を喜ばせる宴会ですもんね、泣いてちゃ駄目ですよね…」

(それにグレル様と2人っきり!)

後半は心の中で叫び、ルーナはゴシゴシとやや乱暴に瞼を擦った。グレルがプッと吹き出す。

「なぁに、その乳臭い豆知識。花の精ですって?ルーナ、桜がこんなに綺麗に咲くのは…何でだと思う?」

「え?桜の精のおかげじゃないんですか?」

街灯もなく、向かいの団子屋から漏れる薄明かりのみの暗がりで、グレルはニンマリと白い歯を見せた。

「桜の下には、死体が埋まってるの。その人間の魂を養分に咲くから、綺麗なのヨ。だから、ジャパンにイレギュラーが多いのネ」

途端、ルーナは青くなった。

「え?桜の下って…魂って…キャー!!」

座っていたベンチの下に視線を落とした後、ルーナは飛び上がってそこから離れ、グレルの夜目にも鮮やかな紅いロングコートの裾を引っ張った。

「嫌ですよぅ、そんな桜恐いです!帰りましょうよぅ、グレルさぁ~ん!」

グレルは高く笑った。

「死体が恐いなんて、死神が聞いて呆れるワ。ほんとアンタって、飽きないコ」

「誉められて嬉しいけど、帰りましょうよぅ~!」

「誉めたつもりはないんだけど…。あ~、お酒おいしっ」

「グレルさぁ~ん!!」

「オ~ホッホッホ!!」

その夜遅くまで、泣き声と笑い声が交互に続いたそうな。

おまけ終わり。
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