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ルーナ・ヴェルディ(月椿様)

──ざあっ。

また風が強く吹くと、今度はアランの胸元に椿が咲いた。少しの刺激でも敏感になっている為、花が肌に触れる感触にも、アランは小さく声を上げる。エリックが含み笑った。

「花に嵐って言うけど、かえって色っぽくて良いじゃねぇか」

ワイシャツをはだけた半身を、エリックの唇と歯と舌が、余す所なく唾液で滑らしていく。その滑らかな感触に、アランは鼻にかかった声を漏らす。が、薄暗かったそこが、急に光をしばたたいて明るくなった。アランの白い肌と、紅の椿があらわになった。街灯がついたのだ。

「嫌っ…!エリック!」

言葉と裏腹に発される事の多いアランの『嫌』だが、流石に今回は違ったようで、覆い被さっているエリックの肩に掌を当てると、ぐいと拒む。

「誰か来るから、用意してあるんだろ…!」

だが火照った身体をもて余し、涙目でにらみあげてくるアランに、エリックはニヤリと片頬を上げた。

「分かった。じゃ、続きはお前んちでな。…立てるか?」

肩を貸してやるエリックに、よろけながらもアランが、強気に叱責する声が遠ざかっていく。

──ざあっ。花に嵐。

"この2人"にとっては、そうだったろう。

「ああ!行っちゃったわ~」

「もう少しだったのに…」

「最近、エリック先輩がアランくんの尻に敷かれてるのよ!」

「でも、アランくんの半裸はバッチリ押さえた」

「よくやったわホープ!」

「焼き増しは任せたアルクス」

「「グッ!」」

椿に宿る、花の精の計らいだったのか。エリックとアランは、誰にも邪魔されずに睦みあう事だろう。

End?
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