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スノウ・ウィンターフォール(ゆき様)

そう請け負って、今に至る。スノウは、内心ドキドキで、きっちり終業後、デスクで書類の後片付け・整理整頓をしているアランの帰り仕度が終わるのを待ってから、その背中に声をかけた。

「アラン先輩」

「あ…君は、スノウ?」

「はい!」

山ほどいる新人派遣員の中で、名前を覚えていてくれただけで嬉しく、思わず大きめの返事になり、アランはクスリと笑った。スノウは何とも言えない心地になって、恐縮する。

「どうしたの?」

「あ、あの、エリック先輩から話を聞いて…」

「エリックさんから?」

「俺、エリック先輩と喫煙室でよく会うんです」

「ああ…知ってるよ。エリックさんからたまに話を聞くし、よくデスクで煙草吸ってるだろ。ちゃんと喫煙室に行ってくれよ」

内容は苦情だが、後輩に向ける優しい笑顔で言われ、スノウは一瞬、アランに声をかけた目的を忘れる所だった。

「は、はい!すみません!」

だがアランの方から、話に水を向けた。

「ひょっとして、禁煙の事?」

「あ、はい。そうです」

「エリックさんに、文句でも言われた?」

「いえ、あの…」

勇気を振り絞って、スノウは言った。面と向かってみると、思っていた以上に言葉を選ばねばならなかった。

「禁煙って、凄く大変なんです。ヘビースモーカーのエリック先輩に、あんな短期間にやめろって言っても、逆効果だと思って…」

「うーん、そういう話か。…そう言えば禁煙は、グループでやると効果的だって聞いた事あるな。スノウ、エリックさんと一緒に禁煙してくれないか?」

「…え!!」

驚きは、数瞬おいてやってきた。とんだとばっちりだ。しかし、柔和に微笑むアランの笑顔には、勝てない。

「そうしたら多分、エリックさんも頑張れると思うんだ。駄目かな?」

上目遣いに見上げられ、スノウは心の中で降参のポーズを取った。

「わ…分かりました…」
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