アロウ・ラウンドカラーズ(彩矢様)
「ウィリアム」
その道のりの途中、先程二人が別れた声音が呼び止める。揃って振り返ると、アロウが一枚の書類を手にやってくる所だった。
「どうかしましたか」
「管理課の書類が一枚、紛れ込んでた。それと…」
と言いかけ、誰よりも目線が下なロナルドを見下ろす。ウィリアムはすぐに意をくんで、同じようにロナルドを見下ろした。
「ロナルド・ノックス。私は少しアロウ・ラウンドカラーズと話がありますので、先に行っていてください」
長身の二人に挟まれ、ロナルドは子供みたいに唇を突き出し、あからさまに機嫌を損ねて回収課に向かって背を向けた。
「へいへい、分かりました~」
その姿が遠ざかるまで待って、ウィリアムが尋ねる。
「大事な話ですか?でしたらそこらの会議室ででも…」
「ああいや、一分で済む」
「はあ…」
ウィリアムが不可思議そうに眉頭を寄せた。アロウは、まず管理課の書類を手渡すと、こう切り出した。
「ロナルド、最近随分、管理課に入り浸ってるようだな」
「ええ。私を、彼の趣味に付き合わせたいようです。全く…理解出来ません」
「なるほど…」
「それが何か?」
「いや、分かった。時間を取らせて済まなかったな、ウィリアム」
「はあ…」
質問の趣旨が分からずに、一瞬ウィリアムは物問いたげな表情を浮かべたが、生憎とそれを口に出すほどの好奇心を、彼は持ち合わせていなかった。アロウは、労を労うように、手間を詫びるように、ウィリアムの肩に軽く手を置くと、別れを告げて立ち去った。
その道のりの途中、先程二人が別れた声音が呼び止める。揃って振り返ると、アロウが一枚の書類を手にやってくる所だった。
「どうかしましたか」
「管理課の書類が一枚、紛れ込んでた。それと…」
と言いかけ、誰よりも目線が下なロナルドを見下ろす。ウィリアムはすぐに意をくんで、同じようにロナルドを見下ろした。
「ロナルド・ノックス。私は少しアロウ・ラウンドカラーズと話がありますので、先に行っていてください」
長身の二人に挟まれ、ロナルドは子供みたいに唇を突き出し、あからさまに機嫌を損ねて回収課に向かって背を向けた。
「へいへい、分かりました~」
その姿が遠ざかるまで待って、ウィリアムが尋ねる。
「大事な話ですか?でしたらそこらの会議室ででも…」
「ああいや、一分で済む」
「はあ…」
ウィリアムが不可思議そうに眉頭を寄せた。アロウは、まず管理課の書類を手渡すと、こう切り出した。
「ロナルド、最近随分、管理課に入り浸ってるようだな」
「ええ。私を、彼の趣味に付き合わせたいようです。全く…理解出来ません」
「なるほど…」
「それが何か?」
「いや、分かった。時間を取らせて済まなかったな、ウィリアム」
「はあ…」
質問の趣旨が分からずに、一瞬ウィリアムは物問いたげな表情を浮かべたが、生憎とそれを口に出すほどの好奇心を、彼は持ち合わせていなかった。アロウは、労を労うように、手間を詫びるように、ウィリアムの肩に軽く手を置くと、別れを告げて立ち去った。