※連載中【死神と文通を】

 よお、元気か?
 俺もアランも仕事が忙しくて、久しぶりの手紙になることを許してくれ。
 日本支部に、応援出張にも行ったなあ。
 俺たちの仕事は常に人材不足だから、英国に余裕が出来ても、よそに出張なんだ。

 「おはぎ」の命名、ありがとな!
 アランは仕事に加えて、おはぎにべったりだ。
 ちょっと妬けちまうぜ。
 でもここのところ、仕事のことで暗い表情が多かったから、嬉しそうに散歩に行く姿が見られて俺も嬉しい。
 おはぎも嬉しそうだし、アランも嬉しそうだし。
 二人でウキウキして出かけていくから、何だかその後ろ姿に笑っちまう。
 俺も何回か任されたけど、おはぎは行きは颯爽と歩くのに、帰りはまだ帰りたくねえって踏ん張るから、すったもんだのすえ抱っこして帰る羽目になっちまう。
 アランのときは、2~3分引っ張れば大人しく帰るっていうから、ひとを見てるんだろうな。
 おはぎめ!

 ちなみにおはぎは、「ご飯」と「散歩」と「可愛い」って単語に反応するな。
 「おはぎ」って呼んでも、あんまり寄ってこねぇけど。
 これが気まぐれな『柴距離』なんだって、アランに教えられた。

 でも初めて動物と家族になったけど、何て言うか……子どもみたいで、可愛いな。
 俺とアランはパートナーなんだが、子どもが生まれたらこんな風かな、って状況になってる。
 毎日の世話をして、飯を食わせて、どっちが散歩に行くか決めて。
 俺があんまり乗り気でなかったから延び延びになってたが、背中を押してくれてありがとうな。

 それから、日本の感染者は今、劇的に下がってるって聞いた。
 良かったな!
 お前はもう、ワクチンを打っただろうか。
 俺たちは頑丈だから、心配いらねぇよ。
 重症化しなくても、後遺症が残る奴も居るみたいだから、引き続き気を付けてくれ。
 じゃあ、またな!

×○×○ 9月21日 エリック
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