※連載中【死神と文通を】

 拝啓。

 こんにちは。お元気ですか?
 五月病にはかかっていませんか?
 俺たちは忙しくて、病気になる暇もありません。

 エリックは普段、事務仕事は俺に任せっきりだし、LINEの返事すら面倒くさがるような筆無精なんです。
 でも君のことが心配らしく、ちゃんと手紙を書いたのに、ビックリしました。
 俺も君が心配です。

 新しい仕事には、慣れましたか?
 相変わらず忙しいですか?
 適度に、手を抜ければ良いのだけれど……。
 エリックなんか、午後二時から三時は、大体寝ています(笑)
 管理課の上司に見付かると怒られてしまうので、エリックが寝たなと思ったら、俺は上司が来るのを見張っていて起こすのだけど。
 サービス業だと、そうもいかないですね。

 ネコちゃんの写真、ありがとう。
 マンチカンだよね。
 チョコちゃんだっけ。
 短い手足がとても可愛いです。
 あ、褒め言葉だよ。
 念の為。

 うちでは飼うとしたら、黒い犬か猫がいいねって話しています。
 俺たちの正装は黒ずくめだから、家族にするなら、やっぱり黒い子が良いなって。
 日本の犬で、黒い犬はいますか?
 日本犬って、凜としてまるでサムライのようで、とても格好良いよね。
 よかったら、教えてください。 

 あ……ごめん、エリックが呼んでる。
 ご飯が出来たって。
 うちではもっぱらエリックが食事作り担当で、温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに食べないといけないってルールがあります。
 食生活が乱れると免疫が下がるから、君も食事には気を付けて。
 
 聞くことしか出来ないけれど、何でも聞くよ。
 仕事の愚痴とかあったら、遠慮なく書いてください。
 それでは、また……。

 敬具。

 二〇二一年五月十六日 アラン・ハンフリーズ
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