「あんちゃん、むしポケモンの世話得意か？」
「パラセクト？」
「おう、保護した」
「おっさん、警官やめて保護施設として働いたら？」
「ばか、これも島キングとしてのお仕事よ」

巡回から帰ってきたクチナシは大きなパラセクトを連れてきた。スカル団は早期に島巡りを断念した者が多いので、むしポケモンを連れている奴が多い。とはいえグズマ自身はパラセクトの世話をしたことがない。そう告げれば、じゃあおじさんが手伝うからと返された。そこは俺が手伝いでおっさんが世話をするもんじゃないのか。仕事しろよ税金泥棒。

「このパラセクトずいぶんキノコが大きいな」
「その分いっぱい養分吸われちゃうのよ。このままじゃキノコごと下のパラサイトも死んじまうな」

かわそうにねえ、と呟きながらパラセクトにフーズを与えるクチナシに、グズマは何も言えなかった。パラセクトの姿が自分と重なったからだ。宿主に寄生し果てには殺してしまうキノコと、島キングであるクチナシのお情けで交番で暮らしているグズマ。一体何の違いがあるだろう。