進む君と止まった私(ダンロズ)
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●ダンロズで「どうしても君のことだけは忘れたかったのに」をお題に描いて(書いて)ください。
「見つけたぜ」
馴染みがあるような、それでいて少し低くなった声にローズは思わず足を止めた。振り返るのには少し勇気が足りなかった。ここはアローラ。ガラルからは遠く離れた地。どうしてここでガラルのバトルタワーのオーナーの声がするのか。
「捕まえた」
肩越しにみれば青年から成人へと体つきの変わった彼がいた。首回りも太くなり、肩幅もがっしりしている。童顔なのは相変わらずだが表情のせいか、大人びた色気が見え隠れしており、ローズは知らず知らずらずのうちに小さくため息をついた。いつの間にこんなにも大きくなったのか。
「ずっと探していたんです。今ならあなたの話が理解できるんじゃないかと思って」
そこまで聞いてようやく体を反転させる。見上げたダンデくんの顔は少し成長していて、自分の記憶とはやっぱりどこか少し違って見えた。
彼は理解しようとしてくれたのだろうか。行き過ぎた感情で罪を犯してしまったこの私を。あの日ついぞ分かり合えなかったこの私を。もう権力も地位も何もかも失ったこの私を。
だなんて。
「アローラはどこも目新しくて、私の生活も大きく変わりました。マクロコスモスのことも、ガラルのことも、その未来も、長らく忘れていた。
…いえ、嘘は良くありませんね。忘れようとしていました」
前に立つ青年は何も言わず聞いていた。正直にいうと口を挟んで欲しい。そうすれば話の腰が折れるから。このままでは余計なことまで話してしまいそうだ。
「ふとテレビでガラルの復興の様子を見ても、どちらかといえば嬉しく思っていましたよ。それはガラルがまた新しく進み始めているということだから」
彼はまだ何も言わない。どこまで話していいだろう。どう言えばごまかせるだろう。
「君の姿は見たくなかった。
君が私がいなくても成長できるのはわかっていましたが。私はその姿を見たくはなかった。どうしても君のことだけは忘れたかったのに。でも君は私の前に姿を見せるんだね」
彼は何も言わない。そして黙って目の前の女性を抱きしめた。華奢な女性はダンデくんの体の中にスッポリと収まってしまう。自分の記憶の中の幼いダンデくんがキテルグマの抱擁だ!と声を上げたせいで思わず笑ってしまった。
私はこのダンデくんと歩み続ける。たとえそれが擦り切れ、歪んだ記憶であっても。私にはもうこれしかないのだから。私は見上げていたスクリーンに背を向けて歩き出した。
「ドラマの主演なんてバトルタワーのオーナーも大変ですねえ」
思わず微笑みながら呟けば、記憶の中の少年も嬉しそうに笑って頷いた。
「見つけたぜ」
馴染みがあるような、それでいて少し低くなった声にローズは思わず足を止めた。振り返るのには少し勇気が足りなかった。ここはアローラ。ガラルからは遠く離れた地。どうしてここでガラルのバトルタワーのオーナーの声がするのか。
「捕まえた」
肩越しにみれば青年から成人へと体つきの変わった彼がいた。首回りも太くなり、肩幅もがっしりしている。童顔なのは相変わらずだが表情のせいか、大人びた色気が見え隠れしており、ローズは知らず知らずらずのうちに小さくため息をついた。いつの間にこんなにも大きくなったのか。
「ずっと探していたんです。今ならあなたの話が理解できるんじゃないかと思って」
そこまで聞いてようやく体を反転させる。見上げたダンデくんの顔は少し成長していて、自分の記憶とはやっぱりどこか少し違って見えた。
彼は理解しようとしてくれたのだろうか。行き過ぎた感情で罪を犯してしまったこの私を。あの日ついぞ分かり合えなかったこの私を。もう権力も地位も何もかも失ったこの私を。
だなんて。
「アローラはどこも目新しくて、私の生活も大きく変わりました。マクロコスモスのことも、ガラルのことも、その未来も、長らく忘れていた。
…いえ、嘘は良くありませんね。忘れようとしていました」
前に立つ青年は何も言わず聞いていた。正直にいうと口を挟んで欲しい。そうすれば話の腰が折れるから。このままでは余計なことまで話してしまいそうだ。
「ふとテレビでガラルの復興の様子を見ても、どちらかといえば嬉しく思っていましたよ。それはガラルがまた新しく進み始めているということだから」
彼はまだ何も言わない。どこまで話していいだろう。どう言えばごまかせるだろう。
「君の姿は見たくなかった。
君が私がいなくても成長できるのはわかっていましたが。私はその姿を見たくはなかった。どうしても君のことだけは忘れたかったのに。でも君は私の前に姿を見せるんだね」
彼は何も言わない。そして黙って目の前の女性を抱きしめた。華奢な女性はダンデくんの体の中にスッポリと収まってしまう。自分の記憶の中の幼いダンデくんがキテルグマの抱擁だ!と声を上げたせいで思わず笑ってしまった。
私はこのダンデくんと歩み続ける。たとえそれが擦り切れ、歪んだ記憶であっても。私にはもうこれしかないのだから。私は見上げていたスクリーンに背を向けて歩き出した。
「ドラマの主演なんてバトルタワーのオーナーも大変ですねえ」
思わず微笑みながら呟けば、記憶の中の少年も嬉しそうに笑って頷いた。
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