●キバダンで「今になって気づいたんじゃ、遅すぎるって」をお題に描いて(書いて)ください。

「俺様、結婚する事にした」
久しぶりに休みの被った日。キバナの部屋に招かれてダラダラと酒を飲んでいると、キバナが唐突にそう言った。
「え」
「ほら、俺たちだってもういい歳だろ？そろそろ身を固めるべきかなあって思って。」

実家からもせっつかれてるしさ。何気ない様子で言って、酒を煽るキバナが途端に知らない大人の人に見えた。10歳でチャンピオンになってから、がむしゃらに走ってきた。気づけば俺たちはもう二十代半ばだ。いつまでも子供のままではいられないのだ。
「お相手はどんな人なんだ」
「ん〜、いいとこのお嬢さんよ？でも自分で会社持っててお互い過干渉せずって人だったから良いなあと思って」

キバナの家は由緒ある家でもともと貴族の家系なのだと聞いている。その女性とも身分相応だ。きっと結婚したらお互いのことを尊重して、仲睦まじく、そしてやがては2人の愛しい子が生まれるのだろう。そうすればもう友人でしかない俺はキバナの一番にはなれない。
「お前に一番に話したくてさ」
そう言って嬉しそうに微笑むキバナにおめでとうと告げた俺の顔はうまく笑えていただろうか。