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あなたの名前
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「うーん」
慶次は唸って居た。畳みの上でゴロゴロと転がりながら、唸って居た。春日城に取り敢えず二日間だけ世話になる事を決めた二人。ご飯もお風呂もお世話になり、あとは寝るだけになった
しかし隣りの部屋の慶次がずっと唸っているから眠れやしない。仕方無く起き上がり、慶次の部屋に繋がる唯一の襖を開ける
想像通りに彼は床に寝転がっていた。そんな慶次の隣りに腰を降ろして、話しかけた
「どうしたんですか」
「うーん、凪。秀吉の部下の“死神”…もしかしたら知り合いかなぁって」
でもなぁ、と呟いた
そういえば、慶次は秀吉と友達だと旅の道中聞いた記憶がある
「あいつかなぁ…いや、でも違う気がするし…。そもそも聞いた容姿と知ってる奴の容姿は少し違うしなぁ…でも名前が…」
「その知り合いって人はどんな人なんですか?」
「そいつは、真っ直ぐな奴だった。―···アイツは山の中で生き倒れててさ、秀吉と俺が助けたんだけど、その時記憶が無くてさ、それでもすっごく真っ直ぐな奴だった。まぁ秀吉と会わなくなってからアイツとも会ってないんだけど」
「記憶を無くしたって…なかなかありませんよ」
慶次はでも、と続ける
「記憶が無いっていうか全部じゃなかったんだよ。多少抜け落ちた記憶はあったみたいなんだけど、あ。そう言えば凪の犬と同じ名前だったな」
ドクン、と心臓が強く打たれた音がした
北斗と同じ名前…?
「珍しい名前だよな」
この時代じゃ珍しいというかそんな名前は無いだろう
何か、予感がした
彼という可能性がある
だって彼は言っていた
二人で頑張ってきたと。もしかしたら、もしかしたら…
「そうそう!俺が知ってる容姿は、黒髪…の中に菫色の髪の毛があって、身長は俺ぐらいで細身に見えるんだけど鍛えてある体してて、顔は…」
「······目が」
これは、確信に近い質問だ
自分にとっては愚問かもしれない。だって何となくそんな予感はするから
「私と似ていませんか」
慶次はじぃっと凪の顔を見た
「…そー言われれば、似てるなぁ」
「……そうですか」
確信は確かなものになる
自分だって馬鹿では無い。ここまで糸口があれば推理する事は出来るのだから
「もしかして、アイツの知り合いかい?」
「会わないと何とも。ただ、もしかしたら」