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「うわぁあああ…!!」
夏から秋にいつの間になったのか
結構時間を掛けて越後の春日城…新潟の上越まで来ていた
紅葉を迎えた木々達から葉が落ち、色とりどりな絨毯が出来上がっていた
「越後はまず米だろ、酒だろ、水だろ、それから…」
「食べ物ばっかですよー?」
慶次と居ると楽しかった
穏やかにいられて、伊達の時と同じようにあれやこれやを見せてくれる。慶次は少年のようにキラキラと目を輝かせて
まるで、成実の隣りに居るみたいだった
頑なになった心が溶けていく
慶次に心移りしたのかと言われそうだけれど、それは無いと言い切れる
ふとしたときに成実の事を思い出すし、まだ気持ちは消えないのだから
溶けていくのは自分のエゴで勝手に頑なになった心だ
ゴリゴリに固まった考えが少しづつ溶けていくのが分かる
慶次は、優しかった
「ひさしぶりですね、けいじ。そちらは?」
慶次と凪が春日城を訪れ、直ぐに2人を兵士が城の中に通した
無駄なものが一切ない、整えられた城内は城の主が彼だからか、と凪はおもった
来客用の部屋でそわそわと待っていると、少しして静かな足音がした
「またせましたね」
目の前にいるのは越後の軍神
―上杉謙信―
端正な容姿をした人
美人さんだー、なんて思った
「めずらしいですね、慶次。あなたがだれをかつれてくるなんて」
「こいつは凪!俺の旅の相棒さ」
「そう、凪というのですね。あなたは…‥おうしゅうのきゃくじん、ですね」
「な…!」
そんな事一言も言っていないのに、と驚いていると
「ふふふ、わたくしにはうつくしいつるぎがいますから」
と返される
そうか、そういえば謙信の下にはあのエロティックな格好の女の人がいたっけ。と思い出した。彼女は忍びだったはずなのでそこの所は納得できた
「しかしよくぶじでこのしろにまでたどりつけましたね」
「何がだい?」
「おやしらないのですか?おうしゅうの、あるさとでたいりょうさつじんがおきたのですよ。ほかのくにでもあるようで」
「何だって!!??」
「いつですか!?」
二人は身を乗り出して謙信の話を聞こうとした
「いつといわれても…。たぶんあなたたちがおうしゅうをぬけたじきでしょう。まきこまれなくてよかったですね。あなたたちはこれからきょうへのぼるのですか?」
謙信は、すらりとした切れ長の瞳で二人を見た
二人は顔を見合わせると頷く
しかしそれに謙信は眉を寄せた
「おやめなさい」
「何でだよ―」
「とよとみが、うごいています」
豊臣という言葉に反応する二人
旅をしていて嫌でも耳に入って来た事が幾つかあったけれど、そのうちの一つに《豊臣の死神が織田を滅ぼした》というのがあった
慶次は、豊臣と言う名前を頻繁に聞く旅に反応しているのが凪には分かっていた
「ちかぢかいくさがおきます。とよとみはあざいを、うちとるつもりです。そのとき、せいえいぶたいの《しにがみ》もでるかもしれません。けいじひとりなら、きょうとまでのぼれるでしょうが…。おなごをつれてはむぼうです」
「大丈夫だって!俺守れるし」
「そ、そうですよ!今までだって怪我も無くここまでこれたんですから」
謙信は首を横に振った
「びしゃもんてんがさくばん、わたくしのゆめにでてきました。あざいのりょうちになんぴとたりともいかせとはならない。そうおっしゃっていたのです。ですから、あなたがたをいかせるわけにはいきません。どうしてもいかなくてはいけないたびならば、ふねをおつかいなさい」
そう言った謙信の鬼気に二人は頷くしかなかった