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匡二と成実は男たちが消えたあと、すぐ次の行動に移した
まだ生きている者が何人かいるかもしれない、と生存者の確認を行った
遺体の多さからもういないかもしれない、と思ったが、どうしたことか、生存者は案外いた
というのも死体は全て里にある一族の人間で、その一族以外の人間は、里外れの小屋に押し込められていたのだ
と言っても10人程しかいなかったが、それでも僅かな生存者だ。全員を小屋から解放するとその時有様に全員が絶句した
嘆いても怒っても死人が生き返るわけじゃない
次に成すべきことは弔うことだった
里の外れに穴を掘り、遺体を生存者たちと埋葬し、成実と匡二は殺された人達の為に祈ることしか出来なかったがそれでもやらずにはいられなかった
そして今。
二人は、沢山殺された一族のうちの生き残りの二人を連れて、政宗の前に座っている
「やられた理由は」
「…お前たちが外れたモノだから、そう申しておりました」
「Shit...!!···何だか知らねぇが、俺の民を殺すたぁ気に入らねぇな…!!」
政宗の瞳は怒りに満ちていた
小十郎は、そんな政宗を押さえる。今動いても仕方無いと思っているのだろう
「匡二!お前は知り合いなのか。ソイツと」
匡二は政宗を見た
言うべきか言わざるべきか、と匡二の瞳が揺らいでいるのを政宗は見た
「…そこの二人を外に出したら話します」
「Ok.小十郎」
小十郎は生き残りの二人を部屋の外に連れ出した
そしてすぐに戻って来た
部屋のは政宗、成実、小十郎、匡二の四人だけ
外に人の気配もない
それを確認すると、匡二はゆっくりと口を開け
匡二はいつもと表情は変わらないものの、内面では相当キツいのだろうと何となく思う
…凪が居れば慰めたり出来るのだろうか
「間蔵、この名字に聞き覚えは?」
「間蔵…、小十郎聞き覚え有るか?」
「いえ、生憎···いやでも···どこかで」
「…黒衣の死神の名前は、間蔵北斗」
匡二は、俺を見た
「あの人の名前は、…凪様の苗字は間蔵 。分かりますよね、この意味を」
梵と小十郎は、答えに行き着いた様だった
俺にはまだ分からない
「彼は凪様は実の兄です」
何、だって…!?
そう言われてみれば顔は少し似ていた気がする。鼻筋とか、口元とか
「という事は、ソイツもお前たちと同じ世界から来たって事か」
「えぇ、そう言う事です。片倉さん」
だからあの二人を外に出した訳だ
違う世界の話なんて俺ら位しか知らないんだから
「まさか、彼もこの世界に来ていたとは…。しかも、人殺しだなんて…!!」
「人殺しってのは生易しい表現だぜ?あれは殺戮、虐殺っていうんだ」
俺はあの絵図をそう感じ取れた
一族じゃない民は無事だったけれど、少なからず一族の血を引いた人間は殺されていた。女子供構わずに
「どうして…殺しなんか…。凪様の為に何でもして来たけれど、それだけは…。それだけは絶対しなかったのに……!!運命を変えるに殺人だけはしないと······!」
「あのさ、この間から気になってたんだけど『凪の運命を変える』って何??」
小十郎と梵が俺を見た
運命を変える、その言葉に多分勘で反応したのだろう
「…、そうか、あの子は、まだ話していなかったのか…」
ポツリと匡二は呟いた
何かが隠されている。そんな気がした
「…あの方がこの世界にきた理由を君たちは知っているかい?」
「いや、誰かが飛ばしたとしか聞いてないな。お前からは」
「それは真実です。でも話には続きがあります。とても残酷な、ね」
勿体ぶって話したがらない匡二
いや、勿体ぶってなんか居ない。話したくないのかもしれなかった
「…話せと、仰るんですよね。あぁ、そうだよな。彼のことを本格的に話すには本質を明かさなければならい。運命について」
あの光景を思い出して、言葉を選び始めた。物語を語るように……