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あなたの名前
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「奥州、伊達政宗」
軍師のアイツに書いて貰った紙切れを手に城を仰ぎ見た
目的地からかなり離れているのだが、男はどうしてもこの城を見なければならない気がして居た
「町人の反応を見るか」
茶屋にでも寄り伊達政宗とはどういう人物なのか聞き込みをする事にした
しかし男の格好は良く目立つ
全身黒ずくめなのだから仕方がないが…
「いらっ……しゃい」
一件の茶屋に入ると主人が男を物珍しそうに席へ案内する
そして入れ変わり女の子が男の元に来た
「ご注文は?」
「団子を五つくれ」
「はい」
団子五つです。と女の子は奥の主人に伝えた。店内は賑わっているが、皆男が入って席についてから男をじぃ…とみていた
男は外套と首に巻いていたものを外しす
そして男は女の子の店員を呼んだ
「伊達政宗ってどんな人?」
「え、政宗様を知らないのですか?」
「俺は南から来たばっかだから」
ニコリと笑う
その笑みは外見や風貌とは裏腹に柔らかいものだった
「とても良いお方です。善政で私ども民は安心してくらせてます。またとても気さくな方です。時折お忍びで城下町へいらっしゃったりしてますよ」
へぇ、と男は呟いた
善政をしいていると言うだけあって民に好かれているようだ
「そういえば成実様最近いらっしゃらねぇな」
「成実?」
「あんた成実様も知らねぇのかい!?」
「南の田舎からきたもんで…」
ここで団子が運ばれて来た。次々に男は団子にかぶりつく
男の微笑に警戒心をといた客達が集まって来た
「伊達三傑の成実様だよ!戦じゃ常に最前線を守り、武に秀でており伊達にとって無くてはならないお方さ!!」
「へぇ、随分人気が有るんだな」
「でもここ最近本当に見ないな。連れの女の子も来ないし」
客の一人はそう呟いた
男はついでに女の子の事を聞くことにした
「さぁ俺らも良くは知らねぇさのぅ。ただ仲は良いみたいだ」
「そうですか」
カラン、と頼んだうちの団子を殆どを短時間で食べ尽くした男はお代を払い立ち上がった
残った団子は包んでもらい後ほど食べる事にした
「美味しかったです。ありがとうございました」
外套と首巻きものを再び装着しなおして暖簾を潜った(くぐった)時だった
「そうだ、女の子の名前“凪”って成実様呼んで無かったかい?」
ぴたりと男の足が止まる
後ろで成実と良く来ていた女の子の名前を思い出して、客達のテンションは高くなっていた
あんまり女の人連れ歩かない成実様が珍しく一緒にいたり、その子がこの城下町歩く時には伊達の家臣の誰かしらがいるよねぇ、など話がどんどん出てくる
男はゆっくり足を店内に戻し、そして賑わう客の前に立った
「それは本当か」
「何がだい」
「女の名前」
「そうだよ、確か凪と」
「……そうか、ありがとう」
男は踵を返して店を出た
凪
やっぱりお前はこの時代にいるんだな
どうしようもない、運命の流れに乗っかって…
ということはあいつも傍に居るのだろうか。いや、あの時探していたのだからきっと傍に居るのだろう。匡二…
「今は、まだ」
知らないだろう二人に自分は何も告げられない
この手は既に救済の手から、絶望という名前の血まみれの手になっているからだ
「お前の為だ、凪」
俺が手を赤く染めたのも
銃を取ったのも
あいつらを殲滅しようとしているのも
すべてお前の為だけだ
「成実という奴が運命のキーパーソンなら、そいつに頑張ってもらうしかあるまいな」
見上げた空は自分とは対極でとてもきれいだった
もうあんな綺麗な色に戻ることは、出来ない
「さぁて、殲滅しにいこうか」
異端の人間を