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高らかに、高らかに
空は青くて風は気持ちが良い
鉛や鉄を作るにはやはり気分的にはこういう天気の方が好きだ
青年はその長い外套の裾を風に靡かせて工房に入った
「どうだ?」
「あぁ旦那。弾はこの通り出来てますぜ。武器の方はちと時間がかかりますが、形にはなってやす」
男は青年に黒光りしている武器を渡した
その武器は銃。しかもオートマチックピストルだった
「ふん…まぁこの時代の技術者にしては大した出来上がりだ。急がなくて良い。これと全く同じものに仕上げてくれ」
コトリ、と銃を机に置く
技術道具など細々としたものが散乱する中、その銃は異彩を放っていた
「次は何処に?」
「少し単独で遠征する」
青年は口だけニヤリとして微笑するが瞳は笑っていない
「奥州に」
城を出て一週間たった
結局北斗の速度には合わせられず途中から抱っこした形で速度を飛ばした
秋の形を少し感じられる山中の宿場
慶次と凪と馬と北斗は茶屋でお茶を飲んでいた
「凪、その刀見せてもらってもいいかい?」
座る慶次に凪は刀を渡した
「守り刀としちゃ大きいな」
「大きい?」
「身を守るっていう意味でなら懐に忍ばせられる懐刀が一番良いのさ」
はい、と凪に刀を戻した
足を広げて空を仰ぐ
「越後まであと何日位ですか?」
「そうは掛からないけど、謙信の城まではあと三日かな。そろそろ出発しようか」
「あ、ちょっと待って下さい。忘れ物しました。先に行って待ってて下さい」
凪は立ち上がり真向かいの宿屋の中へと消えていった
慶次はそれを見てから馬の方まで歩き出す
乗っていると凪には空気が冷たいらしく、顔半分が覆われる布を巻く事にしたらしい
―――――――――――――
「これです―!ありがとうございます!」
首から顔半分を布で覆い、宿屋の主に礼をして外に出た
と同時に誰かにぶつかる
どんっ、という衝撃が身体に響く
後ろにのけ反り尻餅を付きそうになったのを、誰かが肩を掴んでくれたお陰でつかずにすんだ
「すみません…!」
すぐにぶつかった相手を見た。凪は一瞬目を奪われる
黒の外套を纏い、黒の洋式な服・ストールの様なのを首に巻き、男はぶつかった事等痛くもなさそうに呟いた
「いや、俺も悪かった。気配に気がつかなかった。すまない」
灰色で毛先は紫に近い色をした髪が風に揺れる
指先の無い皮手袋をした大きな手が肩から離れる
「ありがとうございました」
ペコリとお辞儀をすると、凪は馬がある方向を見て一歩踏み出した
男は凪の背中を見て、自分も行くべき道へ踏み出す
反対方向に進む二人
凪は一度振り返り、背中しか見えない黒ずくめの男を見た
誰かに似て居る、そう思ったから