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赤ちゃんを両親とお祖父さんに返してしまったら、少し寂しくなった
自分に対して笑いかけたり、納得がいかないと泣いたり。短い期間だったのに、愛しさが芽生えた
「ふぅ…」
湯浴みをしたあと、凪は縁側に座り、空を見上げていた。久しぶりのひとりの時間だ
普段なら部屋へ帰るのだけど今日は違う
匡二がここで、待っていて下さいと言ったからだ
星々が個々として輝きを放つ夜空
その煌めきに人は空に向かい夢を思うのだろう
「凪」
後ろで成実の声がした
何の用だろうかと、ゆっくり後ろを向く
成実も湯浴みをしたのだろうか。髪はおろされ、寝間着に着替えていた
ひた、ひたと彼は歩み寄る
そして凪の隣りに腰を下ろした。成実は、いつもの表情で凪を見ずに…、彼女と同じく空を見上げた
二人は無言のままだ
語りかけようにもそれをさせない雰囲気の成実
どうしたのだろうと凪は思った
「俺の隣りにずっといるつもりは無い?」
無言の空間を破ったのは、成実の一言だった
凪は、「え」と成実の方を向いた。そして固まってしまう。成実の、成実の表情が悲しそうな顔で…。だけど瞳は怒っていて。こんな顔見たことが…
いや、一度あった気がする
成実に拒絶された、あの時だ
「どうしたんですか?今居るじゃないですか。隣りに」
成実の頬を触ろうとした時、視界が変わった
背中に板張りの廊下の感触。自分の上には成実と、さらに成実の上には天井が見えた
成実の表情を見ると、顔を見せないようにしているのか、それとも違うのか…。凪の肩に顔を埋めて居る
「はぐらかすなよッ!」
成実の声が耳にダイレクトに響く
「そばに居て欲しい、ずっと、ずっと。そう願うのは悪い事かよ…ッ!一生ものだって想う女にそう願うのは駄目なのかよッ!!何だよ…なんなんだよ…!!俺の幸せを願えばこそ夫婦にはなれないって!!」
成実の言葉に凪はハッとする
彼の幸せを願えばこそ私は、夫婦にはなれない
それは今日の昼に慶次との会話で凪が言った言葉だった
どうしてそれを知って居るのだろうか。慶次にしか話していないのに、と思った所でその話を成実にしたのが誰か分かった
(別れは辛いけど、私はきっといつか帰る。だけど…)
凪は瞼を閉じ、手を成実の頭に乗せて、彼の髪を撫でながら、静かに言った
「…私、実は元の世界に婚約者がいるんです」
嘘、そんなのいない
そんな人がいたら私の人生多少変わっていたはずだ
だけどこれは、自分を守る為の嘘
泣いてしまわぬように、自分につく悲しい嘘
これ以上の関係に進まない様に、
最後が悲しくならない様に成実を騙す嘘
お願い
嘘 だ と 見 破 ら な い で
「いつか帰ったら、わたし、彼のお嫁さんになるんです」
あぁ、成実さんとそんな関係も良いな
同じ世界に生きて、同じ時代に生きていたらきっと、間違いなく求婚受け入れられるのに
成実さんはきっと、いい旦那さんになるだろうな
子供も、成実さんに似るならきっと可愛い子と格好良い子が出来ると思う
成実さんと、死がふたりを分かつまで、時を重ねてもいいと心底思う
生まれた世界が同じならばよかったのに
「私は成実さんが好きです。だから…好きだから…幸せを願いたいんです。私が隣り居る未来じゃなくて、成実さんが私よりも好きな人を見つけて楽しそうにしている未来を願いたいんです。それはいけない事ですか…?」
貴方は言った
いつか帰るとか関係無いと。でもいざそう言う話が目の前に見えた時、私は耐えられない
もう、辛い別れは嫌だ
「…俺は嫌だ。そんなの知らない。お前のそんな気持ち知りたくも無いし、分かりたくねぇッ!!」
「…」
「帰る時がきたとしても、帰さない。泣いて喚こうが帰すもんかよ!!」
成実の手が襟の合わせに掛かる。「?」と凪が顔を起こそうとした時、襟の合わせを左右に勢いよく開いた
「や…っ!!」
月の光だけだが、それでも身体のラインははっきり見える
滑らかな肌、誰にも汚されていない肌、成長期に入ってから誰にも見せたことがない胸
それらが外気に触れる
抵抗を試みるけれど男の力には勝てなくて
晒された双丘を成実は扱い慣れたように、女が感じるように優しく柔らかく、揉みしだく
「ぃ…!いや…ッ!な、るみさ…!!やめて下さいッ!!やめて!!」
「黙れよ」
成実は凪の肩 に埋めていた頭を持ち上げ、凪に口付けをする
「んっふぅ···っ!はぁ」
凪の言葉を、遮る様に
成実はただひたすら凪を蹂躙していく
いつもの成実じゃない行動に、凪は瞳に涙を浮かべ、成実の口付けから逃れ様と左右に頭を動かすけれど、苦しくなって口を少し開ければその隙に成実は己の舌を凪の口内に滑り込ませる
にゅぷ、ちゅぷ、と凪の舌と成実の舌を絡ませ、凪の舌が逃げても成実はそれを許さない
口内を蹂躙される感触…それは優しさなんてものは一つもなかった
「ん…っ、ふっ…!!ンンン…ッ!!」
唾液の絡まる音、衣擦れの音が聞こえる
成実の手は凪の胸の頂きを犯し始める。強く揉みしだく度、ビクッと背中を少し反らせる凪
「な、る……ふぁ…っ」
「ん…」
ちゅく、と成実の舌が凪の口内からいなくなる
唇が離れると、二人の唇の合間に銀糸が糸を引いた
凪に馬乗りになったまま、成実は口からこぼれる唾液を荒々しく手の甲で拭う
その顔は普段の成実ではなかった
『男』の顔だった
成実は月明かりに照らされた凪の肌をみてゾクリとする
桃色に染まる肌、涙目の瞳、成実が与えた刺激によって勃起した乳首が成実の欲情をかき立てる
─────なんだ、こんな簡単なことだった
普段の成実ならそんな事思わない
あれだけ大事に、大事にしていた関係を壊すようなこんなことを簡単なことと思うのは、凪の身勝手さに怒りが止まらないからだろうか
成実は自身の着物の上半身を脱ぎ、鍛えられた身体を見せる
そしてそのまま、凪の乳房へと吸いついた
「や、っ!!やだ···!な、るみさっ!!」
体験したことの無い快楽
更に行為を及ぼそうとする成実に、嫌だといっても成実には届かない。いや、耳には届いているだろうが聞きたくないのだろう
成実の手が、下へと伸びる
いつもの成実の思いが、優しさが伝わらない今、凪にはただ、同じ言葉を繰り返すしか思い付かなかった
「いやだぁ…ッ!」
「俺だって嫌だ!!」
彼の声は、悲しみと痛みの声だった
行為を止めて、片手で顔の半分を覆い、成実は凪の上で言葉を紡ぐ
「知らない、知りたくも無い!!お前の決意なんて!!言ったじゃねぇか…。いつか帰るとか関係無いって…!!幸せなら俺はそれでも良い…!!その時が来たら、お前の手を引っ張って逃げてやる…!!なのに、どうして、その気持ちをお前は…、俺に嘘をついてまではぐらかそうとするんだよ!!」
「うそ、なんか」
「お前の癖なんか、もう見抜けるんだよ…」
成実は苦しそうに笑うと、今いる位置より下に少し下りた。成実の重みが消えたと思えば、グイッと成実は凪の膝を上げた
「やっ…!!」
大事な所が丸見えになる
独自にだけれど下着を作ってもらったが、下着をしていてもそこは他人になんか見せた事の無いカ所
恥ずかしさと恐怖が同時に襲う
この先の行為がどういうものかわかるから
「なぁ、太郎…可愛かったよな。俺とお前のガキなら結構顔立ちの良いガキが出来るぜ」
くすくす、と成実が笑う
成実のしたい事がわかる
でも、それは自分の決意に反してしまう
もう、成実に気持ちは届かない
「…そうかも、しれないですね。でも、私は成実さんと繋がりを作れない。別れが辛くなる…!!だから、ごめんなさい」
すぅ、と息を吸った
この状況を、破る為に
これ以上、成実を傷付けない為に
「匡にぃいい――――――――――――――――――――――――――――――!!」
きっと、彼なら。
打破してくれると信じた
「来るかよ…。俺が二人きりに出来ないかって頼んだんだからよ」
「…忘れてませんか?彼は、私の世話役だったって。政宗さんにとっての小十郎さん的存在なんですよ」
彼の事は何年離れていても、わかる
だから
「糞餓鬼、その手を退けろ」
その声と同時に凪の上から成実が消えた
勢いよく成実の身体は庭へと放り出される
「ありがとう、匡にぃ…」
「いえ…。おい糞餓鬼、テメェプロポーズするんじゃなかったのか?何で凪様が犯されかけてるんだ!!」
匡二は凪の前に立ち、左手を凪を守る様に横に出した
凪は乱れた寝間着を直して庭に転がる成実を見た
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい
成実さんの気持ちはうれしいけど
私は成実さんのようひ強くない
だからこれから言う事を、許してなんて言わない
好きだから、好きだから、好きだから、私はこの道を選ぶ
「こんな事する人だなんておもいませんでした…!!成実さんなんか、大嫌いです…!!」