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「ねぇ梵―」
夜、政宗が一人で月見酒をしている所に成実がやってきた。成実は寝間着に身を包んでいて、政宗の隣りに腰を下ろす
「へへ。俺にもちょーだい」
「いいぜ。ほらよ」
盃に酒を注ぐと成実はグイッと飲み干した
「うまい」
月を見上げながら彼らは、ぽつりぽつりと何かを話し始めた
「梵はそろそろ正室迎えようかなとか思わない?」
「It is what suddenly.(いきなりなんだ)」
「んと、ほら。俺ら結構いい年だしさ。だから…」
ははぁ、と政宗は成実が言おうとして居る事が分かった
成実の年齢=付き合い歴だ。大体の考えだってわかる
「凪と夫婦になりたいのか」
ブッ!と成実は飲んでいた酒を吹き出した
ゴホゴホと咳き込むと、涙目になりながら政宗を見る
「いきなり何でそこ行くんだよ!!俺が聞いたの梵が正室迎えようかなとか思わないの?だろ!?」
「俺はまだいらねぇ。確かに跡取りをと言ってくる輩は多いが、俺のlifeだ。好きにしたっていいだろうが」
「うーん。そうだよね」
「recently…、最近…凪に対する視線が変わったから何を考えてるんだと思ったら、そんな事考えていたのか?ククッ…正室にしてぇならすればいいじゃねぇか。反対する奴がいたら押さえてやっても良いぜ」
「あははは。それ何人ぐらいいるかなー」
はぁ、と成実は溜め息を付いた
「あのさ、無責任だって言われてもいい。俺アイツを正室にしたい」
「正室にする事の何処が無責任なんだ」
政宗には劣るが、それなりに成実は夫とするには条件が良い。見目は伊達の血筋で良い方に入るし、とても強い。
そんな所の正室にする事がどうして無責任なのだろう
「俺、実はこの間、匡二の部屋の前で匡二の独り言聞いたんだ」
凪はここで《幸せ》をみつけてしまった
俺はそれを今壊すなんて出来ない
アイツが凪の運命を変えるならそれを見ていこう…そう思う
運命が変わるまで
運命が変わったら
俺達は
きっと
この世界から、消えるのに
「いつか帰るかもしれないけど、それでも良いと…思った。前は。今は違う。帰したくない、自分のそばに居て欲しい。俺と生涯を共にして、俺の子供を育てて、暮らしたい。だけど俺の望みを叶えてしまったら、って思ったんだ」
「成実…」
鈴虫の鳴き声がやけに耳に入る
盃を置いて、成実は両手を床について後ろに少し体重を掛ける
目を閉じれば、凪が見える
「アイツを想うと無責任かなって心のどこかで思うんだ。だけどその気持ちより、自分のにしたい気持ちが強いんだ」
「俺なら、つなぎ止めるな」
政宗はそう言った
「泣いても叫んでも、帰りたいともし言ったとしても、周りが帰そうとしても、俺なら惚れた奴は絶対手放さねぇ。離すものか」
「離さない…か」
ぱんっ!と成実は頬をはたくと立ち上がった
「梵!俺、求婚するっ!!」
「そうか」
月を背にして、成実は政宗の前に立った
その顔は逆光でよくは分からなかったけれど、吹っ切れた表情をしているのは分かった
「帰さないし、帰したくない。帰れなくしてでも、そばに置きたい。天女を奥さんにした奴の気持ちが少し分かる気がするよ」
だけどそれでもそばに居たいし、そばに居て欲しい
「もう考えない。いつかなんて考えないよ」
前を見る
障害なんて壊してやる
「…なんて、言うかなぁ」