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「ふみゃあああ」
「ahー…」
「あー…」
「泣いてますが」
「おしめですかねー。ほらよしよしー」
上から成実、凪、赤ん坊、政宗、慶次、小十郎、匡二の声である
赤ん坊…?
鳴いている赤ん坊を匡二は抱き上げた
生後一年は経っただろう赤ん坊が鳴いている
その子を揺らしてあやしてやると鳴き声はきゃっきゃっと言う事に変わった
「誰の子ですか。ていうかこの陽気な空気の輩は誰ですか」
匡二と慶次は初対面だった
慶次は、へらっと笑って赤ん坊を抱く匡二の前にたった
「俺は前田慶次!こいつは夢吉!なぁ俺にも抱かせてくれよ」
にかにかと笑う慶次。ガタイが良い慶次が赤ん坊を抱いたら壊れてしまうのではと思ったが、匡二の言動に他の人間はドキドキだった
「抱いてみます?」
匡二は赤ん坊を慶次に渡す
しかし抱き方がわからず、赤ん坊にはぎこちない抱き方が嫌だったのだろう
再び顔を真っ赤にして鳴き出した
「ふみゃあああ!!」
「鳴き声が独特ですねぇこの子は。ほら嫌がってますから貸しなさい」
「はいよ」
慶次は赤ん坊を渡す
匡二は再びあやしにかかる
赤ん坊はまたきゃっきゃっと笑う
「匡にぃうまい…」
「It's great!」
「当たり前です。俺は小児か産婦人に行きたかったんです。子供があやせなかったら出来ませんよ。それに赤ん坊の頃の凪様の面倒だって見ていたことありますしね」
ねー、と赤ん坊に笑いかける匡二の表情は、普段とは別人だ
「でもこの赤ん坊誰の子?まさか政宗か成実の隠し子!?」
慶次の頭に二人の手刀が落ちた。
いでぇっと声が上がった
「なんで俺ら限定なんだよ」
「全くだ」
「や、節操なさそ「よーし、やっぱりいっぺん死んでみるかー」
成実は慶次の胸倉を掴むと、本当にやってしまうのではないかと思う気迫だった
「で、結局誰の子なのですか?」
小十郎がまさにまっていた疑問を言った
そうだ誰の子だろう
「私は赤ん坊が鳴いてるのを聞いて来て見たら、皆さんがいたと…言う感じですね。あ、笑った。怖いおじさんがいっぱいですね―」
「怖いは余計だ。私と政宗様は一緒に来たから分かりませんね」
「Ah」
「俺が来た時は成実と凪だったぜ」
「………」
「……えへへ。」
一同は嫌な予感がした
「「「どうしたんだ」」」
「仲の良いお団子屋さんの娘さんの赤ちゃんです―」
「お団子屋さんの娘さんの赤ちゃん―――!?」
「What kind of thing is it?」
「えっと、旦那さんと夫婦喧嘩しちゃって実家に娘さん帰っちゃったんです。旦那さんは娘さん追って、で団子屋にはお祖父さんしかいなくて、凄く大変そうだったので預かって来ました」
ニコニコしている凪
成実と匡二以外は「「「え」」」と言う顔をした
「あ"―俺も実はその場面に居たんだけど止められなかった…悪い」
(否、お前凪に弱いから《止められなかった》じゃなくて《止めなかった》だろうが)
と一同が思ったのは言うまでもない
「一歳ぐらいだと不安定な一人歩きしますから、まぁ気が気じゃないでしょうね。お祖父さん」
「うん。私は暇だし、だったらいいかなって。大変そうなの見て見ぬ振りできないし」
ふふふ、と赤ん坊の顔を覗きこんで凪は微笑した
母性本能が刺激されているのだろうか…
その微笑みは、やわらかくあたたかかった
「しかし、凪。おめぇ、赤ん坊の世話なんか出来るのか」
小十郎が尤もな意見を言った
パッと見て、凪は子守の経験がなさそうに見える。それは鳴いていた時表情をみたからだった
「赤ん坊ったって、しめも取れてねぇんだぞ。それに乳はどうするんだ」
お乳とおしめの事はすっかり忘れていた様子だ
一歳だなんてまだ一人で用を足すなんて出来ない。世話が必要だ
「ご飯は軟飯を食べるそうで、多分離乳食だと思うのでそこは大丈夫かと。おしめは匡にぃに教えてもらいます…!!」
「といっても流石に私も布おむつは分からないんですよ」
「え"」
「紙おむつが主流の時代ですから、私たちのいた時代って。布おむつ使用してる人ももちろんいますけど、まぁ紙おむつの方が便利ですから紙おむつしか替え方知らないんですよね」
おむつ問題は解決しなかったようだ
ご飯は問題無いのに…!!
「―――俺の乳母つけてやろうか」
「乳母、というと。喜多さん?」
「姉上をですか??」
喜多は小十郎の姉でもあり、鬼庭綱元の姉でもある。政宗の父親から乳母を命じられ、政宗を小十郎と共に育てた人物だ
「しめの取り換え方を学べばいいんだろ?それ位構う事ぁねぇ。おい小十郎、喜多を呼べ」
「はっ」
小十郎はそうすると室内から出て行った
「喜多ねぇちゃんかぁ…」
成実はぼそりと呟く
「あれ?成実顔青いよ」
「だって俺苦手だもん…喜多ねぇちゃん」
どうやら怖い思い出があるらしい
「ま、暫くしたら喜多も来るだろう。それまで子守hold out(もちこたえろ)よ」
政宗は立ち上がり出て行ってしまった。後に残された四人は赤ん坊をあやしはじめる
「うーあ、きゃっきゃっ!アァゥ…んむんむ…まんま!」
「いないいない―ばぁ!」
「きゃっきゃっ!!」
凪は、いないいないばぁであやしている
表情レパートリーが少ないのが残念だが、赤ん坊は楽しそうだ
「あ!夢吉ぃっ!!」
「キィ――――!!」
赤ん坊は夢吉の尻尾を掴みぐいぐい引っ張る。夢吉は痛そうだが、赤ん坊の引っ張る力は侮れない。無理矢理抜いてしまうのも、相当痛いだろうと抜くのを止めた
「凪―、俺も執務に戻っていい?」
「どうぞ―。太郎くん―いないいないばぁ!!」
凪は赤ん坊…太郎に夢中で成実に素っ気無い返事を返した
そっと襖を開けて、ゆっくり部屋を出た成実だったが、凪は一度もこちらを見なかった
それが成実には寂しく感じられた