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成実達は、奥州へ早馬で帰った
あの総大将の首は晒し首となり、それからは知らない
その所業で残された一族はお家断絶になるかもしれないし、ならないかもしれないが彼らには関係が無い事だった
手綱を引く力は強く、ただ奥州へと走った
そして…
「…」
「桜、散っちゃいましたか」
奥州を離れてかなりたってしまった
桜は散り、緑の葉をつけていた
「筆頭に事の次第を報告しましょう」
宗時と成実は懐かしい城の中へと入る
成実と宗時の顔を門番の一人は見るなり、何処かへ走りさってしまった
帰城した事を政宗に伝えて貰う為目の前を通り掛かった政宗の小姓に取り次ぐ様にお願いをした
それから馬を厩舎へと繋ぎ、身なりを整える
形式上ではあるが大切なことだ
広間で政宗をまち、政宗が入ってきたと同時に二人で頭を下げ政宗が上座につくのをまつ
衣擦れがおさまったと同時に政宗は口を開いた
「討伐ご苦労だったな。宗時、お前の妻が何だか報告してぇ事があるらしいぜ?はやく帰ってやれ」
「妻が?ですが報告が…」
「報告は成実にも聞けんだろーが。はやく行け」
宗時はその言葉に押される様に、一度深く頭を下げると立ち上がり、部屋を出た
室内には成実と政宗だけ
そして、静かに今回の事を喋り始めた
「ククッ、流石だな」
「まぁね。報告はそれだけ。…凪は?」
確か同時期に四国へ旅立っていた筈
だったら帰って来ている筈だ
「まだ帰って来てねぇ」
政宗は立ち上がり、窓の障子戸を開けた
清々しい蒼が広がる空
腕を袖から抜いて、合わせ襟の隙間から政宗は腕を出す
帯に手を掛け、成実を見ずに言った
「手柄取ったのに嬉しそうじゃねぇな。手柄は武勲並の栄誉だろうが」
ピクリ、と成実の肩が揺れた
視線を政宗から床へと落とす
「思うものがあるだけだよ。梵、もういい?疲れたから寝たいんだ」
「あぁ、そうだな。下がっていい」
成実は立ち上がり、部屋を出た
襖を後ろ手で閉じると、そのまま歩き出す
「思うものが、か」
気にしていても仕方が無い
何時もの様に振る舞わないと。凪に会うまで
「あー、安らぎてぇ…」
凪にあって
抱き締めて
それから
それから、あいつの話を聞くんだ
きっと一生懸命説明してくれる
そんな様が成実にはすぐ想像できて、顔が綻ぶ
無性にあいつの声が聞きたくなった
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