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総大将の遺体がある部屋に幸村、信玄、がやってきた
佐助は任務終了、と言って上田城へと飛んで行った
総大将の遺体とその妻と側室、子どもの遺体を幸村達は見る
「自分がやばいからって妻や子まで殺す事は無かったのにな」
「…それが正しいとは限らぬよ、成実殿」
幸村は黙祷をすると、成実と視線を絡めた
「子どもが、男児であったなら。将来遺恨となる可能性があろう?そういったものは全て絶やさねばならぬ。それは成実殿も承知の筈」
「分かってるさ。遺恨を絶つ事の⋯大事さ位は」
「ならその様な顔なされるな。確かに幼き命が親により奪われた事は、許し難い事。いつの世であっても子殺しはあってはならぬ。だが某らは兵、武士。割り切らぬといつかこちらがやられてしまうぞ」
あぁ、分かってるさ
だけど、総大将を打ち取った時ふと凪の顔が浮かんで、自分の手を見た
…こんな手で、触れない
そう思った
「取り敢えずこの首は晒さねばならんの。幸村ぁああッ!包みを持ていッ」
「はッ!!」
大将の首を信玄は切り落とし、首を包みに包んだ
成実はその様を遠目に見、あの部屋に向かった
そう、あの部屋だ
「宗時?」
「あ、いらっしゃったようで」
宗時は縁側に刀を置いて、彼には似つかわしくない鍬を持って立っていた
「何して…」
「ふふ、何をと聞きますか?…埋めてあげようかと。このままでは可哀相ですから」
ザクッと土を掘り起こし、穴を作っていく
「信玄公にお願いしておきました。後ほど、念仏を僧侶にあげてもらいましょう」
こんな簡単な墓で申し訳ないですが
と鍬を振り下ろす
「…武士に嫁いだからには、主や城と命運を共にする覚悟はとうに出来ていた筈ですから、彼女達に何か負い目を感じる事は無い。成実殿、これは仕方ない事ですよ」
ザクッザクッ
仕方がないという宗時だが、その顔は悔やんでいる顔だった
成実は袖をまくる
「俺も手伝う」
「…そこに近くの農家から鍬借りてきましたから、お好きに」
成実は鍬を持つと、宗時と共に土を掘り始めた。土は固くなかなか掘り進まなかったけれど、
数刻して、彼らは全ての遺体を埋め終えた
土だらけになった二人は縁側に腰をおろし、空を見上げる
「…帰ろうか奥州に」
「えぇ」
ふと、凪を思い出した
―四国―
「忘れモンはねぇな?」
「はい!」
帆船に荷物を積み込み、凪は元親の前に立ちそれに答えた
見送りの中に四月は居なかった
居たら居たで、紫電の髪は目立つからきっとどこかで見ていやがるんだろう、と元親は言う
『さぁ、私がやるべき事は終わりました。また次に糸が絡まった時にお会いしましょう。さぁ、お帰りなさって』
と昨晩のあれから四月はそう言って二人を帰した
何かを聞こうにも聞けず、言おうにもそれが出来ない空間だった
「…また機会があったら来ますね」
「あぁ、いつでも来いよ」
凪は船に乗り込んだ
海に光りが反射しキラキラとしている
帆を張り、船が動き出す
船尾に行くと手を大きく振り、元親にバイバイをする
「お―せ―わ―に―な―り―ま―し―たー!!」
「おぅ!!」
四国の鬼は、手を振ってくれた
暫くすると、岸から離れていった為岸に居る人が小さくなる
そうなるまで手を振っていたのだが、そこで手を振るのを止めた
風が吹く
海の潮風
「成実さん」
奥州へ、帰ろう
成実さんがいる、奥州へ
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