2
あなたの名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
何だかんだ、直ぐに帰るのかと思えば元就は
“客人がいようと、策を巡らす事は出来ようぞ”
と滞在していた
突っかかって喧嘩売りそうになった事を翌日謝罪したら、覚えておらぬ、と一言だけ言って元親の元へ元就は向かっていった
元親は元親で、元就の相手と交易の準備を進めており大変そうだったけれど、それでも苛立つ素振りはなかったのでお察し、というやつだ
さて、元親の城へ来てから三日
「悪かったな、今朝方全て揃えたぜ」
朝餉が終わった後元親がそう言った
色を付けた分の用意が出来たらしい
そういえば、交易の品を元就は珍しげに見ていたなぁと凪は思い出した
「あぁ良かった!!これで漸く帰れる…」
鬼庭は涙を流していた
漸く帰れるのが嬉しいらしい
…なんか暑くて寝れないって嘆いてたからなぁ…
「準備は出来たが、お前この間会った四月覚えてるか?」
「あ、はい」
紫電の髪の女性
オルゴール
忘れる訳、ない
「四月が会いてぇそうだ。今夜あの丘で、と。確かに伝えたぜ」
あの見晴らしのよい丘に夜に…と
一人で行かなくてはならないのだろうか
外出するにしても鬼庭に、きつーく
「ここは幾ら長曽我部殿の領地と言え、油断禁物です!後生ですから必ず外出の歳には私か、長曽我部殿の家臣の誰かしらつけて外出してください!!何か有ったら私殿と成実殿に何されるか…!!」
と涙目で訴えられてしまった
うーんと唸っていると、鬼庭がやってきた
「鬼庭さん!今日の夜時間ありますよね?ちょっと付き合って貰いたいんですけど…」
「夜、ですか?時間はありますが…」
「おい、まさかコイツと行くつもりか」
元親が眉頭を寄せて、凪を見る
凪は
はい
と縦に首を振った
「…四月にゃ出来ればお前一人か俺と二人だけで来いって言われてんだ。駄目だぜ」
何ですと?
なら最初からそう言ってくれれば、とため息をついた
鬼庭は何がなんだか分からない様子で、凪の顔を覗きこむ様にして視線を合わせる
「時間は空いていますけど、夜は町へと長曽我部殿の家臣の皆様からお誘いが有りまして。用事が有る様なら断りますが?」
お別れ会でもするのだろうか
夜に町へ行くだなんて…
それだとしても城でやればいいのに
「い、いえ!用事があるなら別に。それに元親さんが付き合ってくれるそうなので大丈夫。すみません引き止めて」
両手をブンブン左右に振り、本当に大丈夫です。だから皆さんとどんちゃんしちゃってください。と続ける凪
鬼庭としては、何処かに行くなら連れて行って貰いたい限りなのだが…
(凪に何か有ったら、自分の首が飛ぶだろう位の事になりそうだからだ)
何より元親と出掛ける事自体余り鬼庭には宜しくない様子で…
だけれど、気遣う凪に無理強いをさせる事も出来ず
(成実殿、長曽我部殿は野蛮な事はなさらないと思うのでここは見逃して下さい)
今この場には居ない彼にそっと謝った
「わかりました。長曽我部殿、凪殿に傷一つでも付けたら、成実殿が今度怒涛のごとく城に奇襲しますよ」
にっこりと、微笑んだ
鬼庭はそう言うと去って行った
彼の背中が見えなくなるまで、元親はぽかーんとしていた
「成実って、お前の近くにいた野郎だよな?恋仲か?」
「そ、そんな所です多分」
傷一つで奇襲とは…
「随分惚れられてんのな、お前」
苦笑する元親
確かに傷一つで奇襲とは只事では無い
鬼庭も冗談が上手いなと思った
「じゃ、夜迎えに行くからよ。支度してまってろ」
「あ、はい」
――――――――――――
それは、貴方に語る
貴方だけに送るもの
私達の存在意義
さぁ、
約束を果たそう
最初の約束を
――――――――――――
Next