2
あなたの名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
成実に忘れ去られた匡二
彼は見事、己と馬だけで上田城に行き着いていた
…成実と凪が奥州に既に帰っているとは知らずに
「しかし俺が上田城に直々に乗り込んでも良いモノなのか…?」
隠し通路のような路から、上田城の上に出てしまい如何したモノかと悩む
(今居る場所は某上田城の戦での隠し通路ですね)
「上田城、真田幸村、猿飛佐助」
いっそのこと、すみません。
うちの凪様居ますか?
と尋ねてしまおうか
…そんな事したら、まるで不審者だ
ジャリ…ジャリ…
と背後で何か音がした
神経が、すぅ…と冷える
目付きも鋭くなり、匡二は静かに立っていた
真田の忍か………?
「あー、また迷子に……わ。綺麗な兄ちゃんだ」
どうやら真田の忍では無い様だ
農民の様な格好をし、手には何か包んだものを持っている
「おっかしいなぁ…上田城に行かなきゃなのに…って此所上田城の真上ッ?!ゲ…」
少女は崖の上から下を見下ろした
ごくり、と唾を飲み込む
「上田城に何か用事でも?」
匡二は営業スマイル(一応花屋で働いて居たから、営業スマイルは得意)で聞いてみた
「知らない人には教えられないよ。兄ちゃん、ここの人間じゃないでしょ」
「…」
にこりとした顔を崩さない匡二
しかし内心はどうしてそれが分かったと、少し冷や汗をかいて居た
「その馬は、北の奥州ら辺に住む馬だ。ここいらの馬じゃない。つまり、奥州から来た可能性が有る。あとこの路は、ここいらの人間なら絶対登らない路…。登ったら上から奇襲出来ますよって敵に教えちゃうからね」
どうやら見た目に反し、この少女は頭がキレる様だ
聡明、それが一番しっくり来る
「以上の結果から貴方はここいらの人間じゃないと判断しました。危険物とは関われません」
そう言うと路を歩き出す少女
「上田城に行くんでしょう?なら方向は下の方だと思いますけど」
少女が向かったのは上田城へと降りる路とは真逆な路
「いい、行きますけどぉッ!?」
…こいつ方向音痴だ
「なぁにしてんの」
いきなり声がした
大きな鳥が空を飛んだと思ったら、そこから人が降りて来たのである
迷彩柄を身に纏い、夕焼け色の髪をした青年
「騒がしいと思って来て見れば…。あんた凪ちゃんと一緒に居た奴じゃない?」
佐助は匡二の顔を見ると、あぁそうだ!と言った
「佐助様!」
真逆の方向へ行こうとした彼女は、佐助様と佐助を呼び佐助に飛び付いた
「春まで…」
「ほら!出来上がったから届けに来たんだよ!」
少女は包みを佐助に渡した
包まれたものが、開けられる
「苦無と小刀。父から伝言、小刀の方は申し訳無いけど更に研ぎを入れた。刀の濁りが凄すぎだ!だって」
「あはははは⋯」
「あまり切りすぎないでね?多くの血を啜った刀は災厄しかもたらさないから」
佐助と春と呼ばれた少女が話して居る時、匡二は刀をずっと見て居た
小刀、彼女はそう言った
刀鍛冶に関係がある少女なのだろう、けれど凪と年も変わらない少女が…?
「あ、ごめんね~。なんか蚊帳の外みたいにして」
「あ、あぁ。凪様はこの城に居るんですよね?会わせ「いないよ」
会わせて下さい。と言おうとしたら「いない」と言われた
目を見開いたまま匡二は動かない
「数日前に伊達成実が一人で来て連れて帰ってったよ」
まじで?
「あのクソガキ…ッ!人を置いてったあげく、人の存在忘れてさっさと帰りやがって…ッ!」
ブラック匡二の一部が出て来た瞬間だ
「あぁ、でももうここに凪様はいないんですよね…。じゃあいるだけ無グゥー
お腹が減った時に鳴る独特な音がした
その音は匡二から…
「…あのさぁ、もしかしてあんた今一文無し…?」
匡二の姿を見て佐助はもしかして…と考えて居た事を言った
薄汚れた着物、疲労困憊な顔
それが答えを物語っていた
「…あのクソガキがお金やらお金やらお金を持ってましたからね。はい、一文無しですよ」
「やばいって!ご飯は!?」
「食べてませんが?まぁ人間水が飲めれば多少生きて行けますから」
と言いつつも匡二の足取りはふらふらだ
「道中倒れられても嫌だしなぁ…」
凪を連れて来た手前、なんだか自分が悪い気がしてならない
嫌、本当に悪いのは彼を置いて行き忘れた成実なのだが
でも今旦那は大将の所に行って居る
此所で勝手に彼を世話するのはいけないし…
「なら、暫くうちで働かない?」
春が突然妙な事を言い出した
「2食付き、お金も出してあげる」
「おいおい、春ちゃん…!親方がそう言うのは決めるんでしょ!?」
「親父も良いっていうよ!うちらじゃ刀作るの大変だし、この春に刀を研いでおかないといけないから」
どのみち人出不足なんだ。と言った
「ど?急いで戻るにしてもまぁ…今の状況だと無理だね」
「何…?」
「奥州へ登る道、なんか夜盗が出てね。しかもそれが、その地方を治める大名の仕業らしいんだ。今それを信玄様と幸村様が討伐に…って乗り出してるから、奥州に行くなら越後を周り越後山脈を超えなきゃ多分無理。そうなると月日が倍かかるよ?お金も掛かるし」
数日迷っていた間にそんな事が起きて居たなんて匡二は驚いた
「…分かった。背に腹は代えられない」
「よっしゃ!!じゃあ付いて来て!!」
「え!まじで彼を雇うの!!!!???」
「あったりまえでしょ!!」
と匡二と春は消えて行った
残された佐助は、ただ呆然と立ち尽くして居た
next>