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朝起きたら成実さんの顔がドアップでありました。(by凪)
「★@§℃¥×◎〒※▼→$#*∴≧!!!????」
「あ、」
凪の体に掛けものが掛っていた
昨晩成実と一緒にくるまっていた筈なのに、独り占めしていた事に気がついた
ゆっくりと横に滑るように転がると体を起こし、まだ肌寒い中着物一枚で寝て居る成実に触れた
前屈みになって寝て居る体勢は結構キツい筈だと思い、ゆっくりと前に成実の体を落としてやる
立ち上がるとまだ痛みがあった
「うん、足冷やしておこうかな」
朝の水ならきっと冷たいだろうし
丁度この集落には川が流れて居た
そこまで頑張って歩けば、後は座って冷やして居れば良い
「起きるの待ってたら冷たい水につかれなくなっちゃう…いいよね!起きる前にちょこっと!」
と意気揚々と彼女は片足ケンケンで川まで向かうのであった
しかし起きるまでに帰ればいいよねーと
確かに殆どの人はそう思いだろうが、
そうは問屋が降ろさない
都合良く物事は進まないのですよヒロインさん
「ぬ…?ぁッ」
奇妙な声を発したあと、成実は昨日確かに感じていた柔らかい存在を手で探して居た
というか床の感触を成実は体の正面全てで体感していた
床の感触にすぅ…と意識が冷めて行く
「ッ!凪ッ!!」
起き上がってみれば彼女がやはり居ない
「ッ!何処だ…あのバカッ!!」
ほんの数分前に川に行きました。
と気がつく由も無く、成実は飛び出して行った
■■■■■■■
「ひゃーきもちいぃいッーーー!!」
透明度が高い川に足を入れて、凪は楽しそうに痛くない足の方を動かし、水飛沫を作っていた
「はぁ、田舎っていいなぁ」
空気は美味しいし、澄んでるし、水は綺麗だし
(虫がいっぱいいるけどね)
何より心が穏やかになる
「♪~」
さてご満悦状態な凪とは反対に、ご機嫌斜めな人物がいた
成実だ
いっつもこんなんばっかだな、と成実は内心思いながらも村中を走った
パシャン…
成実の耳に音が入った
「…」
音がした方へ行くと、陽の光が反射しキラキラ輝く水面に足を突っ込んで、片足で水を蹴って居る凪がいた
蹴られた水も太陽の光でキラキラと光っていた
一枚の絵に、とまでは行かないけれど
成実の一瞬時が止まったようだった
「……ハッ!」
ぼけっとして居る場合ではない
「あいつは…全く」
凪のそばにまで駆けて行く
「凪!!っ…とうぉわっ!」
「成実さん?っきゃあッ!」
激しく水面を蹴っていたのか、凪付近の雑草が濡れて居た
その為成実は態勢を崩してしまう
凪は成実を助けようとしたが、二人共川へ落ちてしまった
「冷たいです…」
「…」
ごめん、と成実は呟いたが、そこで何でこうなったか思い出した
「つーか!お前が勝手にまたいなくなるからこうなったんだろうが!」
その言葉に凪はカチンと来た
「川に落ちたのはあたしのせいなんですか!?足を滑らせたのは成実さんじゃないですかッ!」
「あ"ぁ!?」
「もう!逆ギレはやめて下さいッ!!それにすぐ戻るつもりでした…」
水に濡れて居るから気のせいかと思ってしまいそうになったが、凪の目が潤んで居た
成実は、怒鳴ることは無かったと反省する
「…怒鳴って悪かった。またかと思って焦ってたからさ…悪い」
眉に皺を寄せて悲しげな瞳をする成実
凪も、成実が起きる迄待てば良かったなと反省する
いつまでも川の中に居る訳にもいかないので、二人は川から上がり水浸しのまま手を繋いで道を歩く
地面に染み込む水
点々と二人の後に出来る跡
また、繋いだ手から一つ雫が
落ちた
「凪」
「?」
成実は立ち止まると、凪と向き合った
「消えるなよ」
「消えませんってば」
「…なんか不安」
「心配しすぎです!」
「…。本当に、消えるなよ」
君が大事なんだ