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一晩たちそして二晩たった
二日たっても成実達は上田城には来なかった
そして才蔵も帰って来なかった
凪は幸村の鍛練を見物しながら、成実の事を思った
(私に愛想つかしたのかな)
膝に肘をつき、手の平に顎を乗せながら
ぼーっとする姿に幸村は槍を振るうのを止め、凪に近付く
「考え事で御座るか?」
「や、本当に成実さん来るのかなって思っていただけですよ」
「心配御座らん。成実殿は必ずこの上田城に参られる!さ、お茶にでもしましょうぞ!」
ニコニコと笑う幸村についつられて凪も微笑んでしまう
自分で決めた事なのに
キリキリと心が痛い
(成実さん)
――――――――――――――――
「うーん。…‥また道間違ったみたいなんだけど」
「死ね、そして生まれ変わって地図の見方を徹底的に勉強して来い」
昨晩宿屋の主人から上田城に行くにはどうすれば良いか聞いた成実
その通りに来た筈なのだが
また迷っていた
「方角的には間違っちゃ居ないんだけど」
「あぁ確かに間違ってはいないだろう。確かにその通りに来たんだからな…」
でも今居る場所は街道ではなく森の中だった
「方角は間違ってはいないが、走るべき道は間違ってると言うべきじゃないのか」
近道しよーぜー
なんてお前が言うからだ!と匡二は成実に怒鳴った
「仕方ねぇだろ!?お前は凪をはやく迎えに行きたくねぇのかよ」
「行きたいですよ。でもそれをお前が邪魔してんじゃねぇか」
「だー!言っておくけどな、凪が家出(?)したのほぼお前のせいだって事、忘れてるだろッ!!?付いて来てる分際でごちゃごちゃ言ってんじゃねー!!」
「確かにそうですね。でもまさかこんな事になるなんて思わなかったですから」
馬を休ませるために川で休憩をとる
春の小川のせせらぎ
心が和やかになる
「…」
「すみません少し苛々していました。頭を冷やして来ます」
匡二はそう言うと座っていた成実に背を向けて下流の方へと歩き出した
それを目で成実は追ったが、声を掛ける事も顔を向ける事もしなかった
苛々している人間が近くにいたっても衝突するだけだ
それを成実も匡二も分かっている
だから
「ふぅ」
小川で水を飲む馬に近寄ると、成実は馬を優しく撫でた
「ごめんなー、疲れたよなー、奥州早く帰りたいよなー?でも凪を迎えに行くまで耐えてくれよ、な」
成実の言葉に答えるように馬は顔を成実の方へ向けた
「お前は良い子だ」
よしよし、と再び撫でやる
不意にした声に成実は上を向く
…木の上に、人が立っていた
風体からしてどこぞかの忍びだろう
成実は槍を構えた
槍の矛先を自分より上に立っている者に向けて、殺気を放つ
「誰だお前」
「…真田忍隊。霧隠才蔵…貴殿は伊達成実だな」
「真田?真田忍隊っつたら…」
成実は槍の矛先を才蔵から外す
「主の命により貴殿を上田城へお連れする。異論は?」
「へ?何連れてってくれんの?」
そりゃ願ってもない事だ
「お頭が連れて来た姫様が心配しておられる。故に主が捜索せよと命を下されたのだ」
姫様、姫様とは⋯?と少し考え込み、凪の事か?となる成実
あれは姫じゃなく、お転婆娘って言うんだぞ、と突っ込みたくなったが、それを言っても仕方がない
「まじで連れてってくれんの?」
「あぁ」
「じゃあ頼む。道に迷ってしょうがないからさァ…助かるわ」
「承知した。後をついてこられよ」
成実は馬に乗ると才蔵と目を合わせた
「では遅れぬように」
シュッ、と消えたかと思えば才蔵は速く走り出していた
「ハヤッ!!うちの忍びより速くね!?」
手綱を引くと彼は勢い良く走り出す
「よーし、あいつから離れないように走ってくれよな!」
成実は忘れていた
彼についてきていた存在を
凪の所まで案内しとくれるという、願ってもない人物が現れた
が、その存在に彼はもう一つの存在を忘れてしまった
「いざ、上田城へ!!」
匡二という存在を…!!
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