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春にしてはまだ肌寒い日
「凪様ッ!凪様ッ!?」
匡二は声を荒げて、凪を探していた
お使いとやらについてきていたのだが、凪が目を離した隙に居なくなってしまったのだ
「凪さまッ」
「おい!」
お供についていたもう一人を城にやり、人手を借りようと匡二は思っていたのだが、よりにもよってその人手の変わりとして来たのは成実と鬼庭だった
「町外れには居なかった。忍びも使って探してみたけど…それらしい場所には居なかった。なんで目を離したんだ!」
「…言い訳はしない。目を離したのは事実ですから…」
「アイツは立場的に狙われる可能性があるから、ずっと側にいなきゃ駄目なのに…。クソッ!」
「ここで立ち止まっても仕方がないでしょう!!二人共ッ!日が暮れる前に探し出さないとッ」
「そうですね…!」
■■■■■■■■
ぞわ…
背中に何か感じた
「うん?」
「あー、タレが落ちるよ?凪ちゃん」
「ん、何か背中がざわついて」
凪は佐助と一緒にお茶をしていた
何故ここに佐助がいるのかと言えば、北の方に軽い任務(と佐助は言って居たが忍びの仕事は普通の仕事より多分過酷だと思う)に来た帰りに寄ってみたらしい
で、城に行ってみようとした所おつかいに来て居た凪を発見し、
声を掛けた
「にしても断りも無く連れて来ちゃったけど本当に大丈夫だったの?」
「いいです。大丈夫です。だって息が詰まります。たまにはこういうのも良いはずです」
実際はよくなかった
ずずっとお茶を呑むと、最後の団子を食べ始める。佐助の奢りなのだが、美味しいモノは美味しいのだ
「成実さんや、政宗さんならまだしもあの人にずっと側に居られると息詰まります。一度あたしから離れたくせに」
「ふぅん、なんか複雑そうな関係なんだね」
「まぁ」
窓の外の色が橙色に変わり行く
夕方、だ
「取り敢えず遅くなるとヤバそうだから文やっとくよ?」
「あ、じゃあ付け足して書いて欲しいことが…」
■■■■■■
― 一方、佐助とお茶しているなんて思ってない一向―
「いねぇ…」
「いない、ですね」
「…」
あちこち探し回った
夜盗の集まる場所(居なかったけど、取り敢えず夜盗は捕まえた)や、裏路地(猫や犬しかいなかった)など
探しても居なかったのだ
「他国に攫われたと思った方がいいのでしょうか…?」
「忍びの報告じゃ他国のものが奥州に入ったっつーのは聞いてない。それは可能性としては低い」
なら一体何処に彼女は消えたのか
成実は舌打ちをして匡二に突っ掛かる
「もう二度とテメェとあいつを一緒にするもんか!あいつな何かあったらテメェを、四国に送り返してやるッ」
そんな成実を鬼庭は久し振りに見た
あんな成実は…そう。自分達が作戦(成実の気持ちを気付かせよう作戦)で、宗時に見せた剣幕に近いモノだった
「成実ッ」
そこに信康が駆けて来た
手には何かを握って…
「凪殿なら無事だ」
「何だって!!」
一気に三人は信康を囲んだ
詰め寄る三人に信康は行き場を無くす
「だぁっ!!近いっ!!近すぎッ!!男になんざ囲まれてもうれしくねぇッ!!!」
「凪様が無事、ってことは見つかったんですかッ!?」
「だからッ近いって!!見つかったっつーか、ほれ」
信康は手に握っていたものを成実に渡す
成実はそれを静かに開けると、目で読み始めた
「猿飛ィ…!!ッ」
ぐしゃり、とその紙を成実は握りつぶした
「な、何してるんですか成実殿ッ!凪殿の居場所が…!!」
「居場所も何ももう奥州にいねぇよッ!!チッ!!俺は行くぜ!!」
「行くって何処に!!」
匡二は成実の腕を掴む
成実は振り返り、言った
「甲斐に決まってんだろ!!」
お久し振り、竜の旦那
えっと凪ちゃんがなんか奥州から出たい!みたいな事言ってたから連れてくよ
あ、ちゃんと身の安全は保証するから安心してね
それから凪ちゃんからの言付け
たまには羽をのばしたいです
だって
なんかお供についてた男とずっと一緒だから息が詰まるって言ってたよ
仲悪い人をお供につけるなんて良くないんじゃない?
じゃあね
佐助
手紙の内容はそんなものだった
だけど動くには充分で
「やっぱりお前、凪のそばにいると凪が嫌がるみたいだ。…凪連れ戻したら梵とお前の処遇、考える」
匡二の手を払うと成実は駆け出す
城目掛けて一直線に
城に付くと成実は政宗に事の次第を報告する
政宗は「別にいいじゃねぇか」と言ったが成実は良くない!!と言い支度を始める
「待って!!」
在る程度の道具を急ぎ揃えた成実は厩舎にいた
そこに匡二が来た
「私も、行きます」
「あのな、お前と一緒にいると息が詰まりそうだからってアイツは猿飛について行ったんだぞ!!連れてなんか…」
馬を撫でてやり、調子を確かめる
愛馬の調子はどうやら良いみたいだ
「私が悪いなら、私も行きます。凪様の息が詰まるなら理由を聞きます。直せるなら…直したいと思うので。誰が何と言おうが私は行きます。馬を貸してください」
厩舎の中ずらりと並ぶ馬達の中から匡二は乗る馬を選ぼうとする
そして一頭の馬と目があった
「…」
「そいつ、暴れ馬だぜ?認めた奴しか乗せない。お前、馬乗れんのか」
「…、馬は賢い生き物。って誰か言ってましたっけ…」
馬の前に立ち、匡二は馬の顔を両手で挟んだ
そして自分の額をくっつけると暫くそのまま動かなかった
(力を、貸してください)
貴方の速さに私を乗せて下さい
匡二は馬の腹を撫でて鞍を付けた
そして馬に乗る
「へぇ…お前やるな」
「馬が良い奴なんですよ」
ブルルッ…
「付いて行きますよ?有無は言わせません。さぁ、甲斐とやらに行きましょう!」
「本当は連れてきたくねぇんだが。…その馬に乗れたから仕方がねぇな。俺の馬はその馬より速いぜ?はぐれても俺は探さねぇよ」
「それで結構。見くびられても困ります。この子は、付いて行けますよ」
さぁ、甲斐へ
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