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「う…ん…ん……ん?」
朝、意識浮上と共に手を動かす
横を探るが在るべきものが無かった
うっすらと瞼を開ける、そこにいるはずのものがいなかった
「!?」
凪がいない
昨日は確かにいた
自分よりはやく起きたのか。なら何処へ......
「探しに…っと布団」
自分の布団を終い、まぁあいつが使っていたのは女中にやらせようと考えた
丁寧に布団を終うと成実は寝間着のまま移動をする
自分の部屋に行ってちゃんとした服装に着替え身を整える
いついかなる時でも、身嗜みはとても大切だ
「さて、と」
はやく起きたとしても今何処にいるんだろう
北斗の所か?
梵の所か?
小十郎の所か?
思い付く場所は沢山ある
沢山あるけれど、
「庭、かな」
成実は直感でそう思った
まだ静かな城内の廊下を静かに静かに歩く
見張り役以外は皆は寝て居るだろう
広く、長い廊下を適当に歩く
本当、なんとなく歩いて居た
「あ」
長曽我部が見えた
隣りに凪
何かを話して居るようだった
凪はいつもみたいに何処か違う所を見て居て
「…………」
成実は二人の背後に静かに近寄り、近くの石に身を隠し気配を消した
何を話して居るのか気になったのだ
凪らの言葉に成実は神経を鋭くして聞く
「俺はどうなったんだ?」
元親は、そう聞いて居た
凪の様子を見ると酷く哀しそうな瞳をしている
「聞かない方が良いですよ。あちらの世界の長曽我部元親と貴方は違う存在。聞いたとしても違う人の人生です」
あぁ、あっちの世界について。あっちの世界の自分について聞いたのか
自分達が聞いても答えてくれなかった答え
(………長曽我部には、答えたのか)
成実は知らない
凪がどんな思いで元親に話したのか
でも何故か苛々した
凪が自分達には話してくれなかった事
長曽我部と二人で話して居る事に
(何でだよ)
ギリっと拳に力が入る
まだそんなに信用ならないのか、とかそんな気持ちが湧いてくる。ぽっと出の野郎には話すのに、悔しい気持ちと悲しい気持ちが苛立ちと混ざり合う
そんなことを考えていると、昨晩のあの男が二人に近づこうとしていた
まだ長曽我部と凪は気がついて居ないようで、まだ話をしていた
「随分私の意思を無視した会話ですね」
男は二人の後ろに立っていたが、歩いて凪の前に立つと凪の手を取り、手を息で温めはじめた
それに何だか胸がチクリとする
「あ…」
「長曽我部元親さん。凪様の言った事は忘れてください。私はこれからずっと奥州にいます。あなたについていく理由はありませんし。凪様」
匡二は有無を言わさぬような瞳をしている
刺すような瞳だった
「真実はまだ話せません。それについては私も心苦しい…。
だけど、私を拒絶しないでください。私は貴方の為だけに今此所に居るんです。世界を飛んだんです。貴方の為、俺はいるんです。勝手だと、思われても構いません。
あの日貴方の前から消えた私を嫌っても良い。だけど拒絶だけはしないでください…!!私は…私は!!貴方を運命から助ける為なら、なんだってする…!!」
運命
この単語、最近何度も聞く。
運命が、あいつをどうにかしようとしているのか
成実は息を顰めて彼等を見ていた
⋯ーーーーー本当は、自分が思ったより事は深刻で。深くて。前向きに捕らえられない様な。そんな事態なのかもしれない
凪が置かれている状況は
「…蚊帳の外って気に入らねぇなぁ」
空を見上げ成実はポソリと呟いた
吐いた言葉は息と共に空に消えた。
この、ドロドロした状況も全てそんな風に消えてしまえばいいのに