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夜、皆が寝静まった後元親らは凪の部屋を訪れていた
炎の光しかない室内
炎の光は優しくて、だけれど光が作り出す闇は底が無かった
元親は匡二を拾った経緯、何故奥州に来たのかと言う理由を話した
「…貴方が私を拾ってくれたんですか」
お世辞にも、礼儀良くとは言えない座り方をしている元親に視線をやる匡二
「ありがとうございます」
「あ?」
「得体の知れない私を拾って、しかも会わせてくれて。私は神を信じないが、神と貴方に感謝をします」
「感謝される覚えはねぇ。そもそもテメェを拾ったのは面白そうだったからだ」
「それでもだ。感謝の意を言うには充分だ。さて、私が凪様に巡り合えた理由が知る事が出来ました。次に私についてですね…。皆さんの聞きたい事に出来るだけ答えましょう。最も私が知りうる限りの事しか答えられませんがね」
凪は匡二とは反対の場所に、対極に座っていた
「じゃあ聞くぜ。お前とアイツは知り合いだと言ったな。お前らは何処の人間だ」
それは政宗、小十郎、成実は既に知っている事
元親はまだ知らないのだった
凪と知り合い
・・・・・・・・・・
つまり、向こうの異世界の人間と言う事
「おや、そこの若者から政宗様とやら達は知っていると教えられていたのだが…。おっと、口調が地に…すみません。えぇと長曽我部さん?何処の人間かとおっしゃいましたね?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何処でもありませんよ。この国、日本、外
・・・・・・・・・・・・・・
国、世界、何処の出身でも無い。」
その言葉に元親は目を見開いた
この国、否世界の何処の出身でも無いだと!?
では一体どこから来たと言うのだ!!
・・
元の場所がなければあの場所に流れつく筈が無い
「私達は異なる世界から来たのです。次元や世界を超えて、まさか昔の日本に近い世界に飛ぶなんて思わなかった。…魔女も中々やる」
鼻ではっ、と笑う男は続けた
「信じられませんか?長曽我部様。現実に私達は異世界から来て此所に存在しています。因みに貴方達と多分人間的中身外身構造は同じかと。脈も有りますし、血だって赤いし、ね」
「その世界たぁ、どんな世界なんだ?」
おや、ビックリしていたのは世界を飛んで来た事では無く自分達とは違う文化を持つ世界があると知ってだったのか
「そうですね、一言で言うなら此所と近い世界。私達の居た世界で国では貴方方と同じ名前の武将が存在していましたよ。最もその世界で、その武将が居た時代はもう遥か昔ですが。あぁ、あと一つ言える事もありますね。非なる存在もいる世界、だと」
成実は隣りの凪をつついた
「(何だよ非なる存在って。お前の説明じゃ無かった言葉だぞ)」
「(い、いや。そんな事聞かれても。私だって聞いた事無いですよ。非なる存在なんて。あったとしても伝承だったり、おとぎ話だったりとか。本当何なんですかね)」
「(馬鹿野郎。質問してんのに質問で返すのかお前。それに自分の世界の話だぞ?知らない筈ねぇだろ)」
「(だーかーら、知らないものは知らないんですって!!)」
匡二は更に続けた
「私達の住む世界は、平和で争いは……無きにしも非ずですね。外国じゃあ戦争起きてるわけですし。だけれど貴方達みたいに刀を持って暮らしてはいない。そんな世界ですよ。満足な回答になりましたか?」
「ちぃと分からねぇがまぁ大体は」
それは良かった、と匡二は言った
「じゃあ俺質問していい?」
「どうぞ」
・・・・・・・・・
「どうしてあんた、この世界に来たんだ?」
凪はこの世界に来た時帰り方が分からないと言った
この世界に来たのは偶然が引き起こしたものと凪は思っていた
そう、偶然だと
しかし同じ世界の人間二人が、しかも知り合いが、偶然にも同じ世界に飛ぶなんて有り得るのだろうか?
否、それは限り無く低い
そして匡二はこう言った
と
それはつまり、凪を探していたと言う事
元親の説明からするに匡二は今日に至るまで眠りの底にいた。凪の事を誰かに聞いた訳ではない。眠っていたのだから
なのに凪を見るなり見つけたと言ったのだ
この世界にこの男はやって来た
成実にはそう思えた
「おやおや随分鋭い。中々の観察眼、思考だ。そうですね、来た方法は教えられないですが私は凪様を見つけに来ました。とでも言っておきましょう。そして私は自分の意志でここにいる。凪様と違って、ね」
苦笑する匡二は凪を見た
世界を自分の意志だけで飛ぶ事が出来るなんて
そんなの聞いた事が無い
正にそれこそ非なる存在じゃないか
「因みに誤解が無い様に言っておきますがね、私自身に世界を飛ぶ力はありません。私ただの人間ですから。首を刎ねられれば死にますし、心臓を突かれたら死んじゃいますから。まだ時では無いですから教えられませんが…時が来たら来た方法は教えて上げますよ。時が来たらね」
勿体ぶる匡二に政宗はため息をついた
「随分勿体ぶった話し方が気に入らねぇが、大体は理解した。お前凪を見つけに来たんじゃねぇ。連れ戻しに来たな?」
「!!」
政宗の言葉に凪は目を見開いた
「連れ戻しに…って政宗様」
「Ha!凡そそんな感じだろうが?違うか?」
「本当、随分賢い人達だ。あぁそうだね、連れ戻しに来たんだよ」
凪は成実の後ろに隠れた
そんな凪を哀しげに見て匡二は続けた
「凪様、貴方が居なくなって直ぐ、失踪に気がつきました。あぁ、その時が来たのだと。それからすぐ、私と貴女のお兄様は別々で探すことにした。貴女が消えた先へどうやって行くのか、を」
「!?」
その説明はおかしい
捜索を開始したのは良い
だがその後が問題だ
「消えた先へ…?」
「飛んだ場所はわかっていたから、方法だけだった。アイツはアイツでどこかへ消えて、私は途方に暮れました。頼みにしていた人が、殺されていなければすぐに貴女を追ってこちらへ来る予定でしたから」
くそ、何処までも嫌な奴なんだと匡二は呟いた
待って
待って
待って
「事前に布石を打っていたのに、こうなら無い様に布石を何年も前からしていたのに。世界を飛ばない様に防ごうとしていたのに。くそっ!!運命なんか知らない、だからこそ違う道へと布石をしたのに、貴方は飛んでしまった。あの日からこうならないようにしていたのに!!」
匡二は興奮状態に陥っていた
もう何を言っているのか分からない
でも分かる事もあった
凪がこのBASARAの世界に来たのは偶然でも何でも無いと言う事
定まっていた事だと言う事
「きょ、じ」
ねぇ、
貴方何を知っているの?
私がこの世界に来たのは偶然では無かったの
ねぇ匡二
「道は一つじゃないって証明したかったのに…!!どうしてあの人の思う様に事は進むんだ…!!」
ねぇ
貴方
私の知らない
私の何か知っているの………?
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