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あなたの名前
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ピチョン
ピチョン
ピチョン
ピチョン
滴の垂れる音が暗闇に響く
障害物もないので、反響もしない音だけが世界をたたせていた
(ど、こ)
男は探し物をしていた
しかし世界が暗闇では見つけられない
身体も重いし冷たい
ザァアア…
ザァアア…
水…?否。潮の香りだ
わ!!なんだこいつ!おかしな服着てやがるぜ…
兄貴ぃ―!!変な奴がいますぜ―!!
だ…………れ
こいつっすよ
へぇ…
おい野郎共ッ!!城へ運べッ
へいっ!!
身体が浮く
だけどまだ冷たいし重い
ここは何処だ
磯 の 香り
「あ、目が醒めた。
兄貴ぃ!!目ぇ醒ましましたぜー!」
磯の香りがする
「でも何かコイツ意識定まってないぜ?兄貴ー俺水持って来ます」
ぼんやりする世界
段々と輪郭を帯びゆくなか、男はただ天井を見つめて居た
「起きたか!…ってかまだはっきり覚醒してねぇじゃねぇか。おい、お前大丈夫か?」
男は、声がした方へ顔を向けた
そして、定まった目で元親をみた
「ここ、は」
「四国、豊岡城だ。テメェは入り江に居たんだぜ。幾ら南の海は北より温いからって、こんな時期に海に漬かるなんて死ぬ気か?」
四 国……
男の前髪は深く掛かっていて、それを手で少し外側へ払う
指を翳して広げては閉じてを繰り返した
そして元親の言った言葉に男は漸く答えた
「死ぬ、気は無い…」
そう答えて男は眠りについた
「あーまた眠っちゃいましたね。水どうします?」
「また暫くすると起きんだろ。おい、お前見張ってろ」
「へいっ」
暗闇が再びやって来た。
ふわふわとする足元
…あぁ、光もない
でもこれだけはわかる
…探し物はきっと目を開けた世界に 有る
だけど身体は動かない
きょうにぃ
きょうにぃ!
君が私の名を呼ぶ
舌足らずに呼ぶ声
もう何年も、そうは呼んでくれないけど
自分から距離をとってしまった
寂しがらせただろう、本当や寂しがり屋の君なのに
この願いは、本当に身勝手で
もう一度呼んでくれるだろうか
凪、様
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