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「やぁ凪殿」
宗時は凪に声をかけた
凪はあの時の事が忘れられず一瞬固まると一歩後退り身体を反転させ廊下を逆走してしまった
「あ…」
宗時はあの事以来凪に完ッ璧に嫌われていた
(よ、予想はしていたけどなんだか…な)
因みに嫌われているのは宗時だけだったり
―――――――――――――――
「で?お前らのある意味命掛けの策はなったのか?」
小十郎の手伝いを
成実からあの策の代償としてやらされている
綱元は包丁を上手く扱い人参の皮を剥いていた
「成りました。成りましたけど、なんだか本当に成ったのか不安です…」
「まぁ…な」
二人(成実の方)は変わると思った
策の事を後で聞いた政宗・小十郎両名は驚いたが、いざ成実の様子をみて遊んでやろうかと思ったら
「怖かったよな。大丈夫だ。アイツ(ら)はとっちめておくからな」
何か黒いものを纏い成実は凪の頭を撫でていた
その様は以前と何等変わらない。本当に自分の気持ちに気がついたのだ
暫くして政宗は成実を呼び出し、成実のやっと気がついたと思われる恋心について突っ込んでやろうと思った
『やっと自分が凪を好きだって自覚したか。本っ当、お前はHebetude(鈍感)だな』
クックックと喉を鳴して楽しそうにする政宗
成実はいつものように座ると政宗をみた
『確かに、アイツの事は好きだよ。…でも判らない。愛しいって気持ちはあるけど俺にとって、
親が子に対する愛情や、何かを愛しい・愛でたい気持ち、誰かに対して好きだなんだの好意は同じに思えるんだ。ねぇ梵………。信(のぶ)達にアイツがお前は好きなんだよって言われても、俺は…どうすればいいか知らない。』
政宗は事の内容に息を飲んだ
これは自分たちが思ってる程簡単に解決出来なさそうだ
取り敢えず凪を好きだとは自覚したらしい
それは良い事だ
しかし成実の感情の問題には誰も気がつかなかった
これは深刻な問題
想い慕う感情のいわゆる欠陥とも言えるか
想い慕う事は出来る
しかしそれが皆同じ気持ちだと思ってしまっている
想いが皆同じな筈はない
それは子供ですら分かる事
親が子を想うのは、
自分の血肉をわけ、壮絶な痛みの中この世に生み落とす
そして赤子は小さな手で指をギュッと握り、親はそんな子をみて愛を抱く
それは自然界でもみられる愛で
恋や人を守りたい愛したいと思うココロとは違う
(Shit!)
今までの環境に政宗は眉を顰めた
成実を見れば、その瞳は揺らいでいた
『好きには種類があるんだぜ成実。LikeとLove…つまり好きと愛だ。俺が見るからにLoveの方だと思うが…まぁいずれお前もその意味の差に気がつくだろうぜ?どう接すればいいのか判らないなら今までと同じ様に接すればいいじゃねぇか。同じ様に接して、それでいて今までとは違う目で凪を見れば良い。な?』
――――――――――――――――
「成実の欠陥に今まで気がつかなかった俺もFoolだな」
片肘を窓際ついて政宗は溜め息をついた
幼い頃から同じ時を過ごしてきた成実と政宗
生まれの地位は違うが、同じく家を継ぐ嫡男として育てられていた
「仕方ありません。というか女に関しての難は政宗様にもありますぞ」
「Ah?なんだよ」
「凪殿が来る前の女癖。忘れたとは言わせません」
あー…と思い出した様に政宗は声を出した
確かに政宗は昔…といってもごく最近だが女癖が良いとは言えなかった
しかし凪が来てからというもの、政宗は遊びを止めている
「昔の事だ、小十郎」
「そうですな。しかし最近の事でもあります」
「チッ!何が言いたい」
「…私のせいでしょうな」
小十郎は瞼の裏に出るものにギリッと歯を鳴した
「私が街に向かう二人を止めていれば」
「お前のせいじゃねぇよ。そして誰のせいでもない。時間が解決するさ…」
軽快に走る凪
それをみて女中達は可愛らしいものを見る様に微笑んでいた
「なっるみさーんっ!!」
襖を開放つと凪は成実の前に立った
凪の格好はいつもの着物ではなく、この世界に来た時来ていたような服に似ている服を来ていた
「信康さんが呉服屋さんに言って作ってくれたんですよ!どうですか?」
スカートの丈は流石に長くしたらしい
服を作らせたのは………謝罪の証①
「いいじゃん?あー俺も新しいやつ仕立てようかな。お前色とか合わせろよ」
「あたしが、ですか?」
「そうそう」
へぇ面白い作りだなー、とスカートの端を触る成実
それなら成実さんパンツ作ってみたらどうですか?と凪が提案する
同じ意匠で、と話す成実の声はこの城ではあまり聞いたことがない優しい声をしていた
襖一枚隔てて政宗は立っていた
壁にもたれかかり、二人の声だけを聞いていた
続く廊下の先を見据えながらも、耳は成実の部屋に意識を持っていっている政宗
腕を組み静かに息を吐くと成実の部屋の前から去る
成実
今のままで
それがお前らしい
愛しているとか、わからなくていい
俺にだってわからねぇんだ
自分の気持ちにハッキリとした形が取れたな
その時お前は、