1
あなたの名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
さて信康宗時(綱元)の進める策に三名は二手に別れていた
宗時は凪の元へ
残る二人は成実の元へ
すれ違う女中達に挨拶を交わしながら宗時は凪の姿をみつけた
「凪殿!」
「…?」
凪はキョロキョロと周りを見回していた
どうやら気付かないようだ
宗時は、おやおやと苦笑して庭に降りた
雪掻きを手伝っている凪はそれに夢中な様だ
宗時は隣りに立つと首を少し傾げる
「そんなに雪掻きがお好きですか?」
「好きってわけじゃ…あ!宗……む、むね…まさ?」
「何名前捏造ですか。宗時です。む、ね、と、き」
思わず突っ込んでしまった
むね…まさ
主の名前と合体された宗時はそれを訂正するとコホンと咳払いする
「あぁすみません!あまりお会い出来ないから覚えられなくて」
確かに
凪が客人として城に住まう様になってから、宗時と話したり会ったりした回数はほんの片手で足りる回数なのだ
凪はけして物覚えが良いと言うわけでははないが普通の頭なので、記憶にあまり残ってない宗時という人物と顔、名前を覚えられなかった
「まぁいいです。凪殿お話があるんですが、中に入りませんか?此所では凍えてしまいます」
さぁ、と手を差し出すと凪は「じゃあ片付けていきますから待って下さい!」と言った
雪は止んでいる
別に雪掻きをする必要は無いのにと思ったが言わないことにした
「宗時さん、いきましょう」
「はい」
取り敢えず。
(これでこっちは大丈夫ですね。そちらは任せましたよ)
■■■■■■■■
「しーげーざーねー!」
信康、綱元は道場にいた
成実が稽古をしていたからだ
木刀のぶつかりあう音がやけに響く
空気が冷たいからだろう
信康が成実を呼ぶと気付いた様で、稽古をしていた成実ともう一人は木刀を下げた
「何?お前らも稽古?」
「するように見えるかこの格好で」
「だな。で?何?何か用事があるんじゃないの?」
信康は着流しだったが、だらりとだらしなく着ていた
綱元も着流しなのだが、きっちり着ている事から性格がわかる
木刀を床に置くと成実はゆっくり近付いて来る
額に浮かんだ汗を手の甲で拭う様を見ると男でも見惚れてしまいそうだ
「ちょっとな。成実」
信康はニヤッと笑うと策を成す為にある言葉を吐いた
で。
なんかそれ本当の事っぽいんだよ。宗時が、凪殿を狙ってる
現にさっき宗時の部屋に入る凪と宗時を見たんだよ俺
アイツの事だからさぁ、手ぇ出しちゃうと思うんだけど
よし!言い切った!!
台詞は宗時が作った。信康の頭が覚えられるか些か不安があったが綱元では迫力、現実味に少し欠けてしまう
綱元は万が一信康が台詞を忘れた時の補佐としてついてきたわけだ
「私も、今頃手を出されてるんじゃないかと思い邪魔をしようとしたんですが、凪殿が宗時に好意を持っていればそれは逆に失礼なので…と。取り敢えず凪と仲の良い成実殿に宗時について何か言ってなかったかと…聞きに来たんですよ」
「手を出す…?宗時…が?」
成実は俯いてしまった
その表情を二人は俯かれてしまった為に見る事が出来ない
よし、策は成功か
と思われた
が、成実は二人が予測した反応と反対の…否、予想もしなかった反応をした
「有り得ないな」
きょとんとしてしまう
有り得ない
それはどっちの有り得ないなのか
宗時が凪を好きかも
か
凪が宗時を好きかも
か
どちらにとらえたらいいのか
というよりもまさかそんな反応だとは二人は思わなかった
部屋を出て宗時の元もしくは凪の元へいく反応をするかと思っていたのだ
お、思ったより鈍い…!!
「じ、じゃあ!確かめにいこうぜ(失敗してたまるかよ)」
「そ、そうですね!(またやるなんて面倒くさいですからね…)」
二人は興味なさげにする成実を引っ張り出そうとする
此処で失敗してたまるか!!
失敗したら宗時に嫌味を言われる事が見えている
はぁ。失敗ですか
ま、貴方達には出来ないだろうと踏んでましたから?
だって貴方達脳味噌まで筋肉になってそうですし
そんな訳あるかァ―――!!
宗時の何故か勝ち誇ったような顔が二人に過ぎる
信康にとってそれは屈辱
好敵手とも呼べる宗時のその様を思うと闘争心がふつふつと煮えてくる
「ふぅん…ま、見に行って見ようかな」
万が一でもあったら大変だし
信康、綱元は安堵した
良かった
これであの勝ち誇った顔は見なくてすみそうだ…!!
さて家臣三名の策…じゃなかった企みはうまくいくのか
NEXT.20thコンタクト