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あなたの名前
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夜になるのは、あっと言う間だった
冷たい風が頬を霞める。寒いのは身体に悪いと、匡二が私に外套を渡して来た
それを羽織って、私達は待っている
―――手紙は既に渡した。いや、渡したというより彬が取りに来たのだ
大丈夫、北斗に渡すから安心してほしい、と言った彼は、父親に当てた最後の手紙を持って消えた
「寒くないですか?」
「うん」
今待っているのは、半兵衛さんを連れ出すためと“工作”をしている為。状況証拠なるものを作っておけば、“事情”をしらない人間が事件があった後の部屋を見れば信じ易さは増すと考えたらしい
何か在りました的なモノが部屋にあればいい。そう言って成実さんは慶次さんを連れて、自分達がここに来る少し前位に半兵衛さんがいる部屋へと消えていった。来た時には見張りは倒されていて、縄で縛り上げられていた
「凪」
不意に名前を呼ばれて私は辺りを見回す
すると成実さんが半兵衛さんが居た部屋から出て来た
暗がりだがよく見ると成実の服には血らしきものが付いている様に見える
取り敢えず部屋の前までやって来ると、以前匡二がくれた刀を成実さんは私の懐から出す様に言った。何に使うのか疑問に思ったが、素直に渡すと室内に成実さんは戻った
「何に使うつもりなんだか…」
匡二はぽそりと呟いた
幾つか音がした後、中から人が出て来る
「またせた」
「………」
「……」
刀を渡される
くしゃりと頭を撫でると、成実さんは行くぞと言って皆を急かす様囃立てる
室内がどうなっているのか想像はしたくない。きっとエグいのだろうから
静かな夜に、旅立つ
「―――此所を出たら僕は――」
裏から出て暫く歩いた先に馬がいた
四頭いた。成実と凪、半兵衛、匡二、慶次が乗る馬だ
乗る様に促され馬に乗ると半兵衛が先程の言葉を呟いた
「何でも無い」
半兵衛はそう言ったものの、気になってしまう
しかし今先を急ぐ身としては、ここで止まる訳にはいかない
蹄の音が連なりそれは徐々に速くなる。凪は空を見上た。見上げれば乾燥した空気のせいで、はっきり夜空に星々が輝いて居るのが見える
ふ、と何か大きな鳥が飛んでいると思えばそれは―――
「佐助さん―?」
「あ?猿飛??」
成実も同じく空を見上げた
佐助が大きな鳥に捕まって空を飛んでいた
「見送り兼仕事開始って所か。忙しい奴」
「忍だからね。さぁ、行こう!」
慶次が集団の先を取り、導く様に馬を走らせる
それに四人と三頭はついて行く。先へ、先へと
振り返れない
未来を選ぶというのは
そう言う事だから
兄と今生の別れを直接出来なくても
それを選んだのは自分たちだ
私達は闇夜を駆け抜ける
誰も追手を放す事が無い所まで―――
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