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死んでしまいたいよ
それは、一生涯忘れる事は無いだろう
「生きる意味がなくなった」
ずっと秀吉の天下を治める姿が見たくて、ここまで来たのに…
非道だと言われようと、その為ならばと汚れた道を歩んだ。労咳にかかった時も、身体を休めれば良いのに休まず動いていた。その為だけに
──────秀吉のために
「何もかもどうでもいい…」
「どうでも良くなんか無いだろう…?まだやらなきゃいけない事がお前にはあるだろう」
「何を?残り短い期間で何をするんだい。秀吉が居なくなった世界で、何を成せと言うんだい。離縁して、彼女を解放する位しか無いよ」
そうだ、もう離縁しなきゃね。と半兵衛はクスクス笑った
壊れている。前の半兵衛、軍師・竹中半兵衛の欠片は無い。ただの目標を見失った男に成り果てている
こうなったのは誰のせいでもない、なんて台詞吐けたらどれだけ救われるだろうか。秀吉が死んだのは、その一撃を放った奴が原因だろうが、元を辿せば様々な要因が絡まったせいでそうなったに過ぎない。自分もその要因だし、半兵衛も要因だ。彼が壊れた原因は、彼にもある
だから、皆が原因なのだ。誰のせいでもない、なんて言葉は偽善すぎる
「離縁するなら、それでいい。だけど」
「これで、繋がりは何も無い」
「―――――」
彼はもう、話を聴いていない
人が壊れると言うのは、簡単なのだと思い知る
けれど、あいつは言った
凪にはまだ半兵衛が必要だと。ぽつり・ぽつりと幾度かそう呟いていたのを聴いていた
この時代に来て勘は良くなった方だと思う
いや、そうでなければこの時代は生き抜けない。世界を越える力があろうが、勘は大事だ
勘が告げる、“凪に半兵衛が必要な理由”は一つしか思い当たらない
二人は夫婦だった。当然するべき事もしていた。するべき事の結果は、一つ
それが、流れて無ければ
「凪が孕んでるかもしれないと聴いても、お前は死ぬ気か」
「はら―――――」
毎晩、当然の様に性交渉をし種を蒔けば、身籠もっていてもおかしくは無い
半兵衛は、跡取りを産んで貰う為に凪を毎夜抱いていたのだから、凪が孕んでいてもおかしくはないのだ
もしかしたら可能性は消えてしまったかもしれない
が、“まだ必要だ”と言う言葉に北斗は多分それは無いだろうと、高い確率でそう思った
「赤ん坊が凪の腹にいるかもしれない。それを知って、まだ生きる意味が無いと言うのか」
──────卑怯だと思う
可能性の話をして、それを彼にとっての光にして、最期まで生きてもらいたい、だなんて卑怯な手段だと思う
しかし、彼をこちら側に戻すという術はこれしか思い当たらなかった
「死んでしまいたいと言うのか」
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