1
あなたの名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「政宗様、朝です…ぞ」
小十郎は主を起こしに部屋に入る
そこには予想もしなかった絵図があった
「ままままままま、政宗様…ッ」
政宗は凪の布団で寝ていて、二人の寝間着は着崩れしている
これを女中がみたらなんと言うか
起こしに来たのが自分で良かったと心底思った
「殿ー。四国の長曽我部殿から文…が………………………片倉殿」
しかしそこに鬼庭綱元がやってきた
小十郎は最悪だと思った
昨日凪が政宗の部屋に泊まりをするが、ただの異国について議論だ。変な噂をたてるな。と城にいる人間全てに伝えた。
だから大丈夫だとは思う。思うのだが、この絵図を見るとそれ以外の何かがあったのではないかと言う考えを起こさせるだろう
「えーと片倉殿。確か異国についての議論とおっしゃっていましたよ…ね。これは…」
「鬼庭!」
がしっと小十郎は鬼庭の肩を掴んだ。いきなりだったのでそれに驚いた鬼庭は文を落としてしまう
「な、何ですか…?」
「政宗様は自分の言った言葉には責任を持つ。この様はそう…事故だ。他の者には他言無用、特に!!成実のヤローには絶対言うなよ…!?」
小十郎の真剣な様子に鬼庭はずりっと後退りをした
いいません!いいませんから放してください!!と言われて小十郎は肩から手を退けた
そうすると鬼庭は廊下を走り去る
溜め息をつくと小十郎は政宗を起こそうと部屋に入った
すやすやと眠る様をみて小十郎は顔を緩ませた
「政宗様、政宗様。起きてください、朝です」
声を掛ければ政宗は目をゆっくりだが開けた
小十郎をその視界に入れると「Good morning.」と答えた
「政宗様。その…」
と小十郎が隣りをさしたので見てみれば
「!!!!!!」
着物のはだけた凪が政宗の腕に抱きついていた
それを見て口を開けたままの政宗に小十郎は一言をかける
「つい先程鬼庭にその場面見られましたぞ」
あー、と額に手を乗せる政宗
「綱元にか…」
また微妙な奴に見られたものだ
まぁ他言無用と言う命令を出しているのでこの様が広がる事はないだろう
「取り敢えず着替えて下さい」
「そうだな」
政宗は静かに腕に絡められたものを取ると、起き上がった
すやすやと寝息をたてる凪
「他の誰かが気付かないうちに…」
ドタドタと廊下を激しい音が満たす
一人、いや三人程いる
「筆頭ぉおおお!?」
現れたのは先程の綱元に加えて、宗時、信康だった
どんどん事態が悪化していく
救いは、腕の絡みを既に取った事だった
三人の家臣は立ち尽くし、ひ、筆頭ぉおおお!となんだか嬉しそうな悲鳴をあげた
「筆頭、ついにご結婚なさるのですね…!!」
「ちょっと待て」
「跡継ぎがとうとう!?」
「だからちょっと待て」
「ううう…!!成実が凪殿を好いておられようと、政宗様が凪殿を所望するなら我ら協力をします…!!」
「ちょっと待て!!!!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ家臣三名に政宗は大声をあげた
こめかみを押さえると何か誤解をしている家臣三名を目を細めて見た
「綱元ォ。テメェ、他言無用って言ったよなぁ」
小十郎の眼光に怯む綱元
小十郎のソレには戦で鬼神など言われる者でも怯むだろう
「だだだだだ、だって片倉殿…!!殿が女子と…!!はわわわ!!」
普段口の堅い綱元が混乱している
人が壊れる瞬間をみた
「ハァ。いいかテメェら。お前らが思うような事は一切無い!娶るつもりもない!!今見た事は誰にも喋るなよ!!」
コクコク、と頷く三名
どうやら本当に誤解していたらしい
政宗はぐっと綱元に近寄ると、妖艶な笑みを浮かべた
「お前暫く雪掻き当番だ」
「いっ!?殿!!??」
雪の降る奥州では雪掻きをしないと道が埋もれたりしてしまう
その為毎日が雪掻きなのだがそういったのは兵に任せている。しかし統率をする人がいる。
つまり…
「ゆ、雪掻き頭…!!」
信康がひぃっ!と情けない声を出す
どうやら経験があるようだ
「ゆ、雪掻き頭…」
「頑張って励めよ?」
あぁ何で喋ってしまったのだろうかと綱元は心底後悔をしたらしい
「ん…う」
この騒ぎのせいか凪は目を覚ました
「ぁ…ふぁ…おはよう……ございま…」
まだ脳内は眠っていたいらしい
働かないようだ
「皆様お揃いで何を?」
それは勘違いをしたからとは言えなかった
Next.16th