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あなたの名前
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貴方の母親が見た未来
彼女が見た未来は、
死が待っている未来。だったな
彬、説明を
はぁ、面倒くさ…
あの女が見た死ってのは、君が“居ない”未来だった
力が衰えてた一族の最後の魔女だったから、はっきりした未来の先が見えなかっただけ
それを、死と勘違いしたんだろう
“居ない”未来ってのは、世界から消えるって事だ
それについては間違っていない
でもこれは死によって消えるって事じゃない
君は、この世界に来る事が産まれた時から決まっていたんだ
「え―――?」
時折昔から俺達の世界じゃ、神隠しってのが在るだろう?あれは違う世界に飛んで世界から消えた現象
戻る事は二度と無い。稀に戻ることもあるけど、それは墜ちた先の世界の異能者が助けがあったからだ
神隠しにあう人間は産まれた時から、そうなると決まっている
避ける事は出来ない。何故なら、その人間を必要としている人間が―――違う世界に居るからだ
呼ぶ方の世界が、望む限り、生まれ落ちた元の世界からいつかは消える
君の場合は世界が呼ぶ前に
母親の用意した力で少しだけ、はやく渡った
まぁそれでも、行くべき世界へ運命通り渡ったたから、そこの点だけはお前の母親を褒めてやりたいな。その他は余計な事をしたから駄目だけどな
―――この話を纏めると、
お前は産まれた時からこの世界に来る事が決まっていて、ソレをうまく読めなかった母親が勘違いで死ぬと思い余計な事を沢山しでかした。そう言う事だ
成実は
ふむ、と考えて言った
「そこまでは分かった。…異能者狩りはどう説明するんだ」
その言葉に彬は説明を続けた
俺達の様な“異質な力”を持った人間ってのは、それぞれの世界に必ず居る
こ俺達は力を持った異世界への干渉をよく思っていない
なぜかは知らないが、そう、生まれた時から思ってしまうんだ
暗黙の了解ってやつだ
でも、必ずそれを破るやつはいる
それがほかの世界に干渉して文明を変えたり、その世界の正史を変えてしまうこともある
干渉した世界が同等な文明を持って居るなら問題は無い
大なり小なりそんな事をしていると、世界の均衡が崩れる
なぜ現代になって、この世界からの干渉が強くなったのか、その時は分からなかった
でも、そんな状況、見逃す訳にはいかなかった
そんな時、ある魔女が、娘をこの世界に飛ぶ様に策を仕掛けたと聴いた
調べてみると、なんのことは無いただの神隠しを勘違いして狂った女の凶行だったが、これは使えると思った
─────これを利用して干渉を止めさせる
そう思った俺は、お前達の計画を調べ、お前達をこの世界に送り出すと約束した異端な同族を殺した
俺の元へ来る様に
そして北斗、お前が来た
片方のほうはまさか自力で飛ばせるやつを見つけるなんて思って見なかったからびっくりしたけど
北斗に世界を自由に渡る力をあることと引替えに対価として渡し、俺は禁忌を犯すことにした
この世界から、力を悪用するやつを一掃してしまえばいい。それを、北斗にやらせることにした
元々、俺達も困っていたんです
干渉とまでいかなくても、この乱世で力を悪用するヤツらが増えていて
俺らのような異能者は、必要とされた時しか表舞台に立っちゃいけない。目立つようなことをし続ければいつか根絶やしにされる
それは望むところではなかった
姉は霊先見が備わっていて、何が起こるか幼い頃からよく話していた
その為に生きて、その為に死ぬとよく言っていた
本来俺らはそうであるべきなんです
誰かのために力を得て産まれ、誰かのために力を使って死んでいく、それが異能者の
ましてやこれからこの世界の、この国の正史に必要な人が来ると言うのにそれを邪魔されてはたまらない
凪さんがこの世界、この時代に来ることによってこの国は未来が変わる。この国の未来に必要な事だった
ただそれは一部の異能者には生きにくい未来で、それが嫌だと思った彼、彼女らはそちらの世界へ干渉する事でそれを防ごうとした
ただそれよりも世界が貴方を招く方の力が強かった
普通の異能者が、人を世界から世界に渡らせるなんてできません
何故なら世界への干渉をダメだと思っているのですから
それが出来たのは─────貴方が本当にこの世界の未来を変える存在だから、そちらの世界が貴方を異物だと見ていたから、だからそちらの術者が世界を渡る術を施してもなんら問題はなかった
でもこちらはそうはいかない
だから、消えてもらったんです
一族郎党、邪魔をする者たちに
助けたかった人もいた、助けられなかった人もいた
けれどそれがこの世界の、未来に必要なことだったから
────────自分たちの手を汚さず、全て他人に任せることに罪の意識がないとは言わない。互いの利害が一致したからこそ、一夜と俺と四月···俺たちは手を組んだ
────────互いの世界の為に
まだ納得出来ない事も多くあるでしょう
けれどまず、俺は凪に問わなければならない
と一夜は凪の手を取った
凪さん、貴方は生まれた世界を
父親を
学校を
色んなものを捨てて
この世界で一生を遂げる事が出来ますか?
貴方の居た世界とは、劣ってしまうこの世界
戦があって、物騒なこの世界
弱いものは死に、強いものだけが生き残るこの世界そんな世界に、ずっと居ることは出来ますか?
今までの、説明と違う言葉の伝わり方
コレが、きっと彼がさっき言った言霊というものなのだろうか
愚かしくて
きっといつか嫌になってしまうかもしれない
それでも、居れますか
この世界に貴方を必要としている人間がいたとしても、それ以上の負の事が世界には溢れている
それでも、それでも……
一夜の言葉に凪は目を閉じた
よく、考えた
でも、答えは決まっている
「きっと、どこの世界に行っても争いはあるし、弱肉強食なんて無くならない。それでも、人は必要とされていれば其処に居られると思うし、傍に居てくれる人がいれば大抵の悲しみとか嫌なことって、大丈夫だと思う。世界なんて、みんな一緒。嫌気がさす時なんていっぱいこの先あると思う。それでも」
うん、それでも
きっと
「私はここに居たいって思う。世界を捨てても、良いと思えるものがここには沢山ある。帰らなくていいなら、わたしは、ここを選ぶ」
「凪…」
そう言った私の顔は、きっとすっきりしているのだと思う
成実さんは、複雑そうな顔をしている
「そう、か。じゃあ、ここで俺の役目は終わりだ。凪さん、念の為、この世界に縛りつける言霊をかける」
「…お願い、します」
「あんたが、今後帰るといってもそれは出来ない。これは一回しか出来ない言霊だから」
彼は、凪の頭に手のひらをくっつけると小さな言葉を口にした
其処から伝わる冷たい温かさは、自分を死の底で救ってくれた四月と少し似ている
その温かさに凪は目を閉じた
わたしは、ここで
いきていく
next