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あなたの名前
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ふ、と目を開ければそこは辺りを見渡しても障害物も何も無い空間だった
ぺた、
ぺた、
ぺた、
ぺた、
ぺた、
虚無とはこう言う事を言うのだろうか
「皆、」
上に向かって手を伸ばした時、眩しい程の光りを見た
「…っ」
強い光りがおさまり、弱く温かい光りになった時、翳した手の直ぐ上にはあのオルゴールがあった
爪先立ちをすれば届く位置だ
「……………」
それに触れた瞬間、ぶわっと色んな映像が周りを駆ける
・・・・・
色んな映像
胸に抱かれたオルゴールから流れる音とあわさって、
「 ぃ」
ひゅ、と息を吸い込んだ
「生きたい!!生きたい!!生きたいッ!!」
凪は、生きたいと気持ちを露(あらわ)にした
ぽたり、と涙がオルゴールに落ちた
……凪っ……
ふいに呼ばれた名前
好きな、愛おしい人の、声
「はぁあああ!!」
ガッ!!
秀吉との戦い
あまりにも秀吉は強すぎる
体力も満タンだった訳じゃないし、成実・慶次は片足をつき、もう駄目かと思いながらも、それでも守りたいものの為に気力だけで立ち上がった
「ほぉ、まだ立ち上がるか」
「…ったりまえ…!!」
それでも立ち上がったと同時に攻撃されて、立ち向かう事すら出来ない
「くっ…!!」
ぎり、と槍を握った
(…頼む、神様…!今だけ、後でどんな痛みにも耐えるから、頼むから…!!動かしてくれ、力を与えてくれ…っ!凪と、生きる為に………っ!!)
ぎりっと歯ぎしりをした
それでも、神様はいじわるで…いや、元々あまり信じちゃいないからだろうが、力は沸いてこなくて、くそ…と槍を握っていた力がゆるくなった
♪~
(……なんだ…?)
何処からか、悲しくてでも優しくて愛しさが溢れてくる音が聞こえる
………さん
(凪、)
…………みさん
(も、だめだ…)
な……みさん
悔しさで、涙が出そうになる
(ごめ……ん、凪…)
起きて、なるみさん
(はは、幻聴…、か。終わりかな…)
立って!!!
ふ、と気配がした
♪~♪~~~
顔を上げると、秀吉でも無い、慶次でもない足がそこにあった
透明な足
ぐっと上まで視線を上げると、ずっと見たかった笑顔で足を抱えて座る凪がいた
「はは…っ、幻聴の次は幻覚か…。俺もう死ぬのかな~、ま…凪の姿と声…幻覚幻聴でも聞けたから…良いか…」
死ぬ間際にお前を“見れた”なら、このまま黄泉の世界へ旅立つのも悪くは無い
梵の天下を見れないのは心残りだが………
一人じゃ無理なら、支えます
わたしを、助けてくれるんでしょう?
わたしと、いきてくれるんでしょう?
(…凪と生きる、)
まだ、やらなければいけない事が沢山あるけれど、
言わなければならない事は沢山あるけれど、
ただ今の願いは生きたい…。
生きてもらいたい…。
だから立ち上がって下さい。
立ち上がって、私がそばにいるから………!!
(凪…)
槍を持って
秀吉さんを見据えて
大丈夫ですよ
だって、成実さんは“成実”さんですもん
ぎり………っ
「これで終いだ」
いつの間にか近付いてきた秀吉が拳を振り上げた
それがとてもゆっくりに見える
「……」
成実さん!!!!!
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
風が吹いた
戦場に一つの風が
「………そっか」
大阪城の入口で敵を待っていた少女に、風は兄のように慕っていた人の最期を教えてくれた
これが私の役目だと、言い聞かせながら
暫くして、奥から人影が見えた
四国の異能者と真田幸村の忍の猿飛だ
ジャキンッと銃を構えると、彼女は発砲した
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