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戦局は、所謂不利と言うものだろう
成実だけを先に進ませた迄は良かったが、後になり後悔した
先には、色々厄介な敵が居るだろうからだ
今目の前に居る敵も随分厄介に違いはないけれど
「っ、ハァハァッ…」
厄介な相手に奮戦していた
相手の銃は、既に弾の底を費えてたが、銃が使えなくなった後の彼の方が手強かった
「鎌鼬(カマイタチ)かよ…」
婆娑羅技の様な技を出し始めた頼
弾は尽きた筈なのに、銃口から婆娑羅技とは違う気が漂い、引き金を引いた直ぐ後には身体に傷がついていた
「…」
しかし先程よりその技を連発している頼は、明らかに疲れを見せている
「くっ…」
慶次は今だ!と思い、頼へ攻撃を仕掛けた
銃を弾き飛ばされ頼は体勢を崩す
ひゅんっ
次の瞬間頼は慶次から少し離れた所に姿を著した
はーっ、はーっ、と息を上げている頼。銃を弾き飛ばした後攻撃に転じたが、それが空振りに終わった慶次は、振り返り頼を探し、その姿を捉えると長刀を強く握った
「流石にきついか…」
ズザァアアアッ!
二人の間に入って来たのは佐助だった
「佐助!?」
彼は慶次と同じ様な状態だった
「倒せたら、特別手当が欲しいね…」
グイッと口元を拭うと彼は敵を見据えた
「そっちはどう?」
「行くところ、隠れるところが見透かされてる。俺様、忍としての自信喪失気味」
「ははは、そりゃ大変だな!こっちは鎌鼬が飛んで来る。どっちもどっちだな」
「――――異能って奴か」
「異能?」
「察しは良いんだネ」
颯がいつの間にか頼の隣りに立っていた
「たかだか人の子が俺達に勝てるはず無いヨ。不完全でも、俺達は―――――」
「颯」
頼は颯の肩を掴んで、頭を横に振る
颯はそんな頼を見て溜め息一つ吐いた
「颯、弾が思いの他速く尽きた。あとはアレしかない…。でも此所から先は行かせない―――。例え倒れようと、何が在ろうと、恩に報いる為に」
冷たい風が頼の元へ集まって来た
自ら風を作り出すのでは無い。周りから風を集めている
頼の額には汗が浮かび、時折苦しそうな声が上がる
「颯…」
「……」
す、と颯は一歩後ろに下がり何処かへ消えた
変わる室内の空気の流れ
息苦しくなっていく様な感じだ。いや、感じなのでは無い。息苦しいのだ
「持って来たヨ!!」
颯は茶色い袋を二つ持っていた
その袋を少し切り裂いて、颯は風を集めている頼に向かって投げた
袋から粉らしきものが出て来る
「これは、麦粉…?」
「麦ってあのうどんとかの?」
「あぁ…なんで麦粉………、あぁ!!畜生!!逃げるぞ!!」
「え、何で!?」
「爆発起こすつもりだ!!ここから逃げろ!!」
「爆発ぅうう!!??何、爆発って!」
二人は風で引き寄せられる力の中それに抗い前へ進んだ
その時、風が集まるのを止めた。ひゅんひゅんと頼の周りの風は小麦粉の旋風になって――――――
「はぁあぁあああああっ!!」
「粉塵爆発っ、するんだよっ」
一気に風が放出される!!
そこに、火が放たれれば
「粉塵爆発って?」
「質問に答えてる時間は無い!」
火は、空中に撒き散らされた小麦粉に反応し――――――
「しねぇえええええ!!」
爆発した――――――――
■■■■■■
ドカァアアアン…!!
地響きに似た振動がした
そして何処かで火の手が上がった
「火!?」
半兵衛と敵対していた成実はそちらの方を振り返った
─────たしかあの方向は…
「余所見をしていていいのかい?」
気がつけば竹中半兵衛が目の前にいた
退いてしまいそうになるが、駄目だ。半兵衛の関節剣は相手と中距離にあるからこそ、その威力を最大限に発揮出来る
こちらに降り懸かろうとしている刃を、成実は槍で受け止めた
「懸命な判断だと言おうか」
でも、と半兵衛は呟き――――
「華やかなようにっ!!」
半兵衛の高速連撃が成実を襲う!!
思わず、成実は槍で防ぐが半兵衛の高速連撃は威力衰える事無く続く
「こ、のぉおおおお!!」
連撃といえど、終わりは有る
成実は攻撃が終わる瞬間を見計らい、半兵衛の関節剣を引っ掛ける様に槍を操り、ぐるりと右から円を描く
半兵衛の剣を奪ってしまおうとした
しかし相手もそれなりに戦を経験している。上手くはいかなかった
二人のやりとりを見ている凪
さっきの爆発も気になる
けれども、こちらを見ていなければいけない気がした
「…………」
「くそ!お前外見と中身違いすぎ!!」
「そうかい?」
見掛けによらず素早い攻撃を仕掛けてくる半兵衛に成実は押されていた
「伊達の双璧の一人とまで言われている割りには君は弱いね」
「何ぃ?!」
キィン!カンカンカンッ、ガキィッ!!
ガッ!!
「っ」
上手い事半兵衛に槍を弾かれた
後方へ飛ばされた槍
「あっけないね」
「………」
弾かれた水葬蓮華は、床に転がっている
背中を向けて取りに行く訳にもいかない
「……」
目を、閉じた
何の為にアレを頑張った?
こう言う時の為だ
「どうしたんだい?大人しくなって…諦めたのかい?」
気を集めろ
形を形成しろ
鋭さを持たせろ
ひゅうううう…
ひゅうううう…っ
室内の温度が異様な速度で下がるのを体感する
冷気が、成実から漂って来る
白い靄(もや)は成実の周囲を囲む
成実の手が在るだろう辺りからは、より一層濃い靄が発生していた
「冷気…、そうか君の属性は」
「終わらせるつもりはねぇよ。――――氷流対穿!」
パキィィイイインッ
と音をたてて、それは出来上がった
不透明ではなく、完全な透明度な氷。氷は刃の形を作り、鍔やハバキ、柄は透明だが良く見れば模様も入って確かな刀に見える
両手に二本の氷の刀
靄を作り出した刀で振り払い、成実はそこから一歩踏み出した
「二刀流――――!」
成実は一歩踏み出したあと、直ぐに攻撃へ転じた
先程とうって変わった攻撃方法
半兵衛は成実の作り出した刀を、攻撃を防ぎながら見る
氷なんて折れてしまう程脆い
それなのに、氷の刀は刃こぼれをおこしていない
(――――――これが、双璧の一人の力か)
本気で見くびっていた訳では無い
成実は武術で名を知られる程の人間なのだから
「骨が折れそうだね…」
戦っていられる時間は余り無い
はやく、はやく終わらせなければ………
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